みんなぁ、漕いでるかい。ボクは一生懸命漕いでるよ。
ボート釣りってとっても楽しいんだよね。だって、自分が思ったとおりの事が人目を気にすることなく気楽に出来るんだよ。こんな気ままな釣りなら大歓迎だって人も多いんじゃないかな。
ところでソルストの読者の皆さんはボートを漕げるんだろうね?
今回からの連載は見ての通り、手漕ぎボートのルアーフィッシングなんだよ。始まり始まり〜。
さてさて、記念すべき第1回は何とか魚の姿を見なけりゃいかんなぁって事で、取りあえず手堅くカサゴくんに願いを賭けてみることにしたんだ。だってこの時期に確実に釣れる保証のあるターゲットって少ないんだもんね。
去年は堤防釣行記の開始時期がやっぱり尻すぼみのこの頃で、出だしはお先真っ暗だったのを思い出した人もいると思う。今年は絶対に出だしでくじけちゃならないとK哲編集長と相談したんだ。
本当なら沼津の古宇でチャレンジするはずだったんだけど、何故か予定するたびに海が荒れてたり風が強かったりで出船出来なかった。
結局ツキを取り戻そうとクラブの茂木くんと2人で釣行することにした。これが正解で…と言いたかったんだけど、やっぱり海はそれなりにちょっと強めの風が出ている。
「しかたないよなぁ」
「取りあえず出てみますか?」
今回お世話になったのは沼津の木負にある金指釣具店だ。ここの名場所スカンジナビア号横のゴロタ場に一番近いボート屋さんだ。
まずはお約束のボート屋のオヤジさんから情報を聞いてみた。
「風は強いけどこれくらいなら何とかなるだろ」
「ルアーでカサゴでも釣ろうと思ってきたんですけど、どんな状況ですか?」
「ウ〜ン、堤防の横が急激なカケアガリになっていて、その辺りがいいポイントなんだけど…」
言われるままにその場所に行ってみたけど、やっぱり風はボクたちの味方になってくれなかった。
「なっ、ないっ。アンカーを借りてくるのを忘れた!」
そうなんです。ここのボートにはアンカーがついてないんです。
何とかメタルジグでヒットさせたんだけどバラシ。ここでこのポイントをあきらめることにした。
「やっぱりスカンジナビアの影しか出来そうにないよなぁ」
「そおっすねぇ!」
一生懸命ボートを漕いでスカンジナビアの影に移動したけど、風はいっこうに弱まる気配がない。
「しょうがないねぇ。夜いつも岸からやってる場所まで行っちゃおうかなぁ」
ボートの底が擦りそうな超浅場で何とか釣りになったものの、釣れてくるのはアナハゼばかり。グラブをボトムに沈めただけでアナハゼが喰わえてしまうから全くカサゴなんて釣れない。
「やっぱりもう少し水深のある場所でやらないとダメなのかなぁ」
岸とスカンジナビアとの中間にある岩場の沖側を頑張って攻めてみることにした。ボートは相変わらず少しづつ流されるから、ジグヘッドを上流?に向かってキャストする。まるで川で釣ってるみたいだ。
たかだか水深2mのポイントでボトムをとるのに苦労してしまう。キャストしてからボートが流されて、ちょうどボートの真下にジグヘッドが来るようにキャストポイントをコントロールしてやらなければ全く釣りにならない。
何でこんな状況で釣りをやらなきゃならないんだ…とガッカリしながらも根気よく頑張ってみた。
午後になって徐々に風が弱まってきて、ボートを何とか自分の思っていたポイントへ持っていくことが出来た。しばらくするとようやくカサゴのアタリがきた。
「来たゾ〜!」
「本命ですか?」
「やっと釣れたよ。おっ、24cmあるよ。まあまあのサイズだね」
ボトムをとった直後にピョ〜ンと跳ね上げたら小気味良いアタリが来たんだ。一気に抜き上げて予想以上のサイズに驚きを隠せない。
「いいなぁ〜。でっかいんだもんあぁ〜」
「ヒットォ〜!」
「えっ?!、またですかぁ〜?」
すぐに同じくらいのカサゴがまたまたボクに微笑んでくれた。
「悪いねぇ、また釣れちゃったよ」
「フン、私はアナハゼ釣ってるからいいんですよ!」
結局この日のカサゴはボクが釣ったこの2尾だけだった。でも、あまりにも邪魔だったアナハゼをボートのイケスに泳がせておいたのを数えてみたら40尾もいたのにはさすがに驚いた。
まだまだ寒い冬の一日はそれなりに楽しく幕を閉じたのだった…。