今回はちょっとばかり困った。だって、でっかいマゴチを入れ喰いで釣れる場所を探してこいなんて強烈な注文が出ていたんだよ。
知り合いの船宿や、仲間達の情報を頼りに探してみたものの、そんなにムシのいい情報なんてあるわけがない。沖で専門に釣っている船宿に聞いても、「まだちょっと時期が早いんじゃないの?」っていう返事が当たり前のように返ってくるだけだった。
この時期はひょっとしたら陸に詰めているマゴチの方が簡単に釣れるかも知れない。だって昨年バカスカ釣れた日立港のマゴチだって、今年も相変わらずマヅメ時の入れ喰いが始まっているんだよ。
何で手漕ぎボートで難しいマゴチを釣らなきゃいけないの?って思いながらも、取りあえずは実績の高い東伊豆の網代に釣行先を決めた。
今回お邪魔したのは網代の一番手前・熱海側にある内田丸さんだ。ボクは初めてお世話になるのだが、色々と親切なボート屋さんとして有名なんだ。
特にK哲編集長も以前はしょっちゅう通っていて、マゴチもシーズン中にいくつかゲットしていると聞いている。しかし時期がちょっと早かったような気がする。常連さんたちのマゴチ釣りは7月に入ってからだとボート屋さんから聞いてちょっと不安だ。
実際にボートを漕ぎ出して、K哲編集長から聞いているマゴチのポイントを徹底的に叩きまくってみたんだけど、やはりマゴチからの返事は返ってこなかった。
携帯電話でK哲編集長や近くの船長達に連絡してみても、今の時期は水深15〜20mラインを狙えと言う答えばかり。それで反応が無ければそこには接岸してないんだと。
水深1〜2mの超浅場から、イケスの外側の30mラインまで丁寧に探ってみたのだが、マゴチどころか魚らしい反応が全くない。
早朝の5時にボートを出して、時計は既に12時を過ぎている。ボートは3時までだから、この時間で反応が無ければマヅメはない。しかしいくらイライラしながら探ってもいい結果を出せるはずがない。
仕方なくここで最後の手段に挑戦することにした。早朝のボート屋さんでの情報によると、どうやらイケス周りを攻めるとマダコがたくさん釣れるらしい。
最初は堤防とイケスの間を流しながら釣っていたのだが、実はこのボートにはアンカーがない。午後から徐々に吹き始めた風でボートを流しながらの釣りが出来ない。
何しろ何らかのカタチで釣らなければと思い、1〜2分の行程を漕いで港に戻った。アンカーをボート屋さんで借りて、再び同じポイントへ戻ると、風だけでなく潮も速くなっていた。しかしアンカーの威力は絶大で、無事に何の不安も無く釣りに集中できるようになった。
マダコは魚と違ってガンガン動き回らないので、確実にノリを感じてからアワセないとダメだ。
正直言って本当はアオリイカでページを作ろうとも考えていたけど、これは後の楽しみにとっとかないと先が苦しくなる。そう思ってあえてエギを使わずにグラブのジグヘッドリグでマダコに望むことにした。
最初は再び堤防の近くで小型を何バイか確保して、ちょっとは写真で見れるようなサイズを釣るためにイケス周りへと向かった。
イケスは掛かり釣りをしていてもいいらしく、ほとんどのアングラーがイケスにボートを縛り付けて釣りをしている。しかもそのほとんどがボトムを小突いているんだ。そう、みんなイケス周りのマダコを狙っていたんだ。
そこそこの釣果が出ているようだが、少なくともボクの目の前では誰も釣り上げることはなかった。ひょっとして、ジグヘッドリグの方が釣れるのかと思えるくらいに。
14gのフットボールタイプジグヘッドに、ゲーリーの4インチグラブをセッティングした。カラーはソルトルアーの定番であるパールホワイトだ。このカラーとグローがあればソフトルアーはバッチリというのがボクの持論だ。もちろんフグやベラがいなければね。
一番岸よりのイケスを順番に攻めていくと、ちょうど中間のイケスでいかにもと言えるようなマダコのノリを感じた。クィ〜ン、クィ〜ンという独特の引きでゆっくりとロッドに重みが増していく。
頃合を見計らって大きくゆっくりあおるようにアワセを入れると、ようやく写真に写せるくらいのマダコが上がってきた。
そいつは石ころを抱えていてほとんど引きもなく、ただ重たいだけで上がってきたのだった。そして抵抗のないまま、おとなしくボートの中に取り込まれたのだった。
ところがボートに入れた途端に突然スミを吐きまくって、ボートの中は収拾がつかないくらい真っ黒になってしまった。内田丸のおじさん、おばさんゴメンネ!