夏から秋に掛けての手漕ぎボートは、何があるか分からない。青物の回遊も始まるし、トップからボトムまで狙えるターゲットはたくさんいるから面白い。
今回のフィールドも、何でも釣れちゃう手軽な手漕ぎボートのライトタックルをやりたくて、小田原からわざわざ西伊豆までやってきてしまったんだ。
まずは数日前の天気予報とにらめっこしながら、西伊豆名物の風が吹かなそうな日を予想してみた。結局最終的には風に吹かれたが、まあこの時期にしては午前中は持ってくれたので良しとしよう。
さて、釣行日も決まっていよいよボート屋探しだ。K哲編集長に相談してみたが、あまり西伊豆方面の手漕ぎボートは経験がないらしい。暫く調べてもらって隣の岩地に、やってるかどうか分からないけど1軒のボート屋さんの存在を確認。
しかし、せっかく調べてもらったのに、確か夏の海水浴シーズンの岩地はなんとかコーストとか言って、ものすごく混雑するのを思い出したのだ。結局自分で一生懸命調べた石部に場所を決定して、3軒のボート屋さんを発見した。
まあ、この時期に海水浴場でボート釣りをする人は少ないだろうと思い電話をしてみたが、3軒のうち2軒が電話に出ない。
最後の1軒に望みを掛けて電話をすると、すぐに感じのいい声で電話に応対してくれた。手短にボートを借りたいことを伝え、時間や駐車場などの確認をした。
駐車場は付近に有料があるのでまずは安心。出船出来る時間は、他の地域の感覚で7時くらいですかと聞いてみたら、思いのほか帰ってきた返事は「何時でもいいですよ」という事だった。
しかも、朝早くてもいいなら、終了もその分だけ早いのかと思ったらそうでもない。またまた「何時でもいいですよ」という優しい返事が返ってきたんだ。
信じられない。そんなボート屋さんがあるなんて。アングラーとしては最も魅力的な、朝夕のマヅメ時にルアーをキャストすることができるんだ。手漕ぎボートで!
当日の現地はちょっとモヤがかかった感じで、決していい天気とは言えない。でも、朝から元気がいい若いボート屋さんのご夫婦に迎えられて、お構いなしにボートを漕ぎだしていったんだ。
今回はマゴチも混じればいいなと思っていたのだが、ボートを漕ぎだして10mほどの場所にある海水浴場用のブイに何かが見えた。
早速水面を2人でジグをキャストし始めて、すぐにその正体が判明したのだった。その魚はワカシ。小型だが、辺り一面にポシャポシャとライズリングが出ている。
どうやら何か、小さなベイトフィッシュを追っているようだ。あとで分かったのだが、そのベイトフィッシュの正体は3〜4cmほどのトビウオの子供だった。
写真を撮ってから、風が出る前にと、一気に湾入口の定置網を目指して漕ぎ始めた。目標は定置網手前にあるブイだ。これだけ岸近くにワカシがいたから、ここにもたくさんいるだろうとの甘い考えで。
ところが世の中そんなに簡単にはうまくいかないようで、ワカシやショゴの姿をここで見ることは出来なかった。
しかし、その代役を立派に務めてくれたのが、なんと小さなシイラくんたちだった。全長でせいぜい30cmほどの超小型サイズだ。なんだか嬉しくなってしまう。
暫くすると周りはコサバのナブラが全面に出始めて、20cm級の小型がワンキャスト・ワンヒット状態になってきた。少し沈めてみると、サバのサイズも30〜40cm級が多い。こんなに簡単に釣れてもいいのだろうかという勢いなんだ。
すると突然ボクを呼ぶ声がしたのに気が付いて顔を上げると、同行の近藤さんだ。なんと80cm級のシイラとファイトしていると思ったら、ボクが見たときは既にラインブレイクしたルアーを喰わえてジャンプしながら逃げて行く所だった。
どうやらサバのナブラを突き上げている魚がいたので、狙ってみたらヨーヅリのタイニーティップにヒットしたそうだ。ムムッ、なかなかヤルじゃないか!
その後もコンスタントに釣れ続いたが、どうやら午後の風が吹き始めてきた。そろそろアンカーを打ってボトム狙いにと切り替えた途端にヒットしてきたのは、写真に写っているシロギスだ。
ヨーヅリのメタリックサーディン30gにフォールでバイトしてきたんだ。しっかり口の中にフッキングしていて、滅多にない経験をすることが出来た。しかもその後はカワハギのオマケつき。
最後はブランカの12gでマルイカの連続ヒットまで味わうことができ、本当に楽しい手軽な手漕ぎボートのルアーフィッシングを思う存分楽しむことが出来た。やっぱりボートはいいですねぇ!