いよいよ手漕ぎボートの楽しい季節がやってきた。秋、それはボクたちルアーマン、そして手漕ぎボートアングラーにとって大漁を予感させる季節なんだ。
今回ルアーロッドを片手に挑戦したのは、真鶴半島西側の付け根付近に位置する、尻掛(しっかけ)と呼ばれている場所だ。そこの国分ボートさんにお邪魔してみた。
ここは海岸といえる部分が非常に狭いから、ここではボートが上の方に積み上げられているではないか。このボートをかついで降ろすのかなぁと驚いていたのだが、更に驚いたのは、このボートを電動ウインチで上げ降ろししている事だ。
通常はボートやさんと一緒になって、重たいボートにたくさんの荷物を載せてエッサホイサッと出すんだけど、ここではそんな体力消耗は一切必要ない。ボートを漕ぐことに体力を使えばいいんだ。
さて、取材の当日は原稿の締切に後がないとギリギリの日程だ。
「もしもし、明日ボートをお借りしたいんですが空いてますか?」
「どうぞ、お待ちしてますよ」
いつも賑わっているボート屋さんだけに、あっけない返事に驚きつつもひと安心。あとはポイントの情報収集だ。偶然な事に(ウソ、承知してて狙った場所なんだけど)、ここからボートを漕ぎ出すと目の前は福浦沖だ。いつもオフショアのライトタックルでお世話になっている福浦港・まるせ丸の庭先なんだ。
ポイントは重々承知、今回のターゲットは最近調子のいいカンパチ(
ショゴ)狙いに決定だー!
当日の朝、仲間の近藤さんと重たい荷物を持って長い階段を降りていくと、たくさんのアングラーが待っていた。様子を聞いてみると風が出てきているから様子を見ているとのこと。今日もどこかで風の神様がイタズラをしているのだろうか?
結局2時間くらいしか持たないだろうとの結論だったが、それでもいいと判断したアングラーのみがボートを出すことになった。最終的には全員釣りに出て行ったけどネ。
とにかくこの時期のカンパチはコマセをうたれたら終わりだから、他の人よりも先にジギングをやらねばと、急いで最短距離にあるポイントのブイを目指した。
水深はたしか25mくらいだったはず。そう、魚探のトラブルでジギングやるのに魚の確認が出来ないんです。もうこれはまるせ丸で鍛えたカンで攻めるしかない。
ボクは手軽なライトジギングではいつもバスタックルを使う。DUELのスピニングバスロッドに、PE2号を巻く。
30ポンドのショックリーダーを付けて、ジグは・・・、えーい、今回は取材を外すと後がないから、試作のジグで釣っちゃエー!
金赤カラーの28gをリーダーにループノットで結び、まずは自分の信じたポイントでジグを沈める。今回カメラマンで?同行してくれた近藤さんはまだ遠くにいる。ボクが始めたのを見てボートを漕いでる。
ボトム着底直後から、渾身の力を込めてジギング開始だ。1回目、何の反応もナシ。澄んだ海中には10cmほどのシマダイがジグを追って大量に集まっている。
再びボトムへ沈めて今度はストロークを短くしてバーチカルシェイキングだ。ピシピシピシッ、ズンッ、
「えっ?ヒットー!もう来ちゃったよー!カメラマン早く早くー!」
近藤カメラマン?は写真を取り始める。浮いてきた魚は本命だ。無事にランディングしたカンパチは40cm弱だが、無事に任務を終了したと自己満足。
絶対の自信で狙った最初のポイントは、釣れるべくして釣れたというのがボクの感じたところ。とは言っても、取材のプレッシャーの中で確実に本命をヒットさせる事の難しさは、やった経験のある人でないと分からないだろうなぁ。
正直言って「釣れて良かったぁ」というのが本当の感想なんだ。しかもここではかなりのグッドサイズだからよけいに嬉しかった。
写真を取り終えた近藤さんがジグを落とし込んだ時は、既に風が強くなり始めてしまった。結局彼は本当にカメラマンの日になってしまったんです。可哀想・・・。
そして風が更に強くなったので、戻りながらメタリックサーディンのドラッギングでボトムを叩いていると突然のアタリ。フッキングさせてから浮かせ始めると、40cm級のヒラメの姿が見えた。
ニコニコしながら上げてきたら途中でバレてしまった。まあ、そんなに世の中うまくいかないよネ!
ボートを岸に付けた頃には、入り江の外側は強烈な突風が吹き荒れていた。みんな無茶はやめようね。あまりにも危険な思いをしてまで釣りをするのはよしましょうね。
えっ、今回は苦労が無かったのかって?ありましたよ、最後に。帰りの階段で重い荷物を持って昇るのが最大の苦労でしたよ!