「やっぱりルアーはお手軽!?」

後片付けが面倒

 最近はルアーだけではなく、昔とったなんとやら・・・で、エサ釣りを含めた取材がかなり多くなってきていた。昨年から急激に多くなって、今では取材や原稿のボリュームとしては中心になってきている。それというのも昨今のフィールドやアングラーの事情により、手軽なエサ釣り、とくにファミリーフィッシングに目が向けられてきたことだ。多くの総合メーカーはファミリーフィッシングを意識して、それに関連するタックルやグッズの開発販売に余念がない。それほどまでの市場に膨れ上がることを、多くの関係者が意識しているのだろう。

 ボク自身もファミリーフィッシングのススメは大賛成で、それがきっかけとなって未来のアングラーが育ってくれることを祈っている。ルアーアングラー自身もエサ釣りの面白さに気がついて、さまざまなジャンルに挑戦する人が増えるだろう。とても喜ばしいことだ。「ちょい投げ完全攻略U」「ちょい釣り完全攻略」といったムック本を、昨年から今年に掛けて出版発売してきた。読者の皆さんからの反応は信じられないほどよく、まさにグッドタイミングで的を得たムック本を出版することができたと確信できた。あまり知られてないけれど、実は10年位前からもペンネームを使って、エサ釣りの原稿も書いてきていた。もちろんムックなどの企画監修もやっていたので、今回はそれらの集大成であったかもしれない。

 しかし面白いことに、これだけエサ釣りをじっくりと続けていると、準備や片付けの面倒な部分も露呈してきている。出かける前に多くのタックル準備、そしてエサやコマセを仕入れる。釣り場によっては入手できない場所もあったので、現地調達ではなく購入してから出発になる。車の中はコマセ臭くなるし、とにかく準備と帰ってきてからの後片付けが面倒だ。うちの場合はharukaも片づけを手伝ってくれるからまだ楽だけど、ひとりで全てをやるのでは嫌になってしまうかも。もっとも取材としての釣りに出かける頻度が多いから、それだけ面倒だと感じることが多いのかもしれない。たまに行くのなら気にならないのかな?

ちょっと矛盾した意見

 最初からエサ釣りしかやってないアングラーにとっては、それが当たり前になっているだろう。だから準備や片付けも気にならないのかも。いつも思うのだけど、カートップボートで釣りをしているアングラーは、これよりも準備や片付けは大変だ。よほど好きじゃないと、とても続けられないと思う。そこまではいかないにしても、お手軽なルアーだけをやってきたアングラーには、このちょい釣りと呼ばれている釣りそのものに、お手軽さを感じなくなる日がくるのではないかと心配している。

 正直な意見を言うと、これまでのエサ釣り取材でお手軽だと感じたのは、ボクとしてはちょい投げだけだった。まあ事前にキス釣りの仕掛けを作る手間はあるのだけれど、コマセを使わないし、準備や後片付けは苦にならなかった。とにかく短い時間でやれるのがいい。それでもルアーに比べれば、仕掛けとしてセットする時間がかかるし、エサもつけなければならない。でもちょい釣りと呼ばれているジャンルの中では、かなりお手軽と感じることができている。自分でちょい釣りとして他の釣りを紹介しながらも、ちょっと矛盾した意見だということは分かっている。だからあくまでも個人の感覚として受け止めてもらいたい。


アングラーの違い

 それとは反対に、カゴ釣りやカゴサビキをお手軽な釣りと認識するアングラーも多い。それは準備に関してではなく、お手軽に釣果を出すことができるからだという。いくら準備や片づけが簡単お手軽でも、釣れなければ意味がないと考える人が多いのだ。でもたぶんそれは、普段はルアーをやっているアングラーではないと思う。エサ釣りが中心のアングラーの考え方ではないかな。ボク自身はルアーとエサのどちらでも釣果を出す自信はある。もちろんこれまでのムックでも、ちゃんとそれなりに取材で結果を出してこれた。

 もしエサ釣り師とルアーアングラーに違いがあるとしたら、そこに何かがあるのかもしれない。ルアーアングラーはいつでもどこでも手軽に釣りができること。そしてエサ釣り師は、簡単に釣果を出すことができること。こんな感覚的なお手軽の違いを感じ取れるような気がする。ボクはエサ釣りから釣りを始めて、そしていろいろな釣りをやりながら今ではルアーが本職のようになっている。だからやっぱりルアーが一番お手軽で簡単と感じてしまうのかもしれない。エサ釣りの取材でも、エサで釣りにくく周囲でも釣果が上がらず、ルアーではいくらでも釣れるという状況もかなり多かった。回遊魚や渓流のイワナなどがそうだった。

面倒と感じても楽しさに・・・

 それぞれの魚の釣りやすさは、釣り方によっても違うと思う。だからもちろん一概には判断できない。しかし確実なことは、そこにいるターゲットを一番釣りやすい方法は存在するということ。釣るだけだったら、その方法を選んで結果を追い求めればいい。そこに自分なりに釣り方を楽しみに含めるのなら、そういった方法を選べばいい。ここで言いたかったのは、何にこだわるかを自分自身が持ち続けさえすれば、面倒と感じても楽しさになってくれるということ。たぶんボクは今後もルアーを続けるだろう。そして合間にやるエサ釣りは、シロギスのちょい投げが一番多くなると思う。それでいいんじゃないかな。

 でもね、やらないで決め付けるんじゃなく、やってみて結果を導き出したいな。やらずに悔やむよりやって悔やむ。まあ釣りで悔やんでいるようじゃしょうがないけど、やってみなければ面白さも大変さも分からないから。それらを含めた全部が、釣りのいいところなんじゃないかと思う。皆さんは、満足のいく釣りをやれてますか?