「磯メッキ開幕か?!」

 ここ数年の関東では、ライトアングラーの大好きなメッキの状況は、決して好調とは言えなかったと思う。シーズン初期と言われる夏から秋にかけての、台風や黒潮の接岸状況などが、このメッキの量に影響しているのだろう。ところが今年こそはと思えるような潮の状況でも、蓋を開けてみるとガッカリさせられる年ばかりだったと記憶している。そして今シーズンも、メッキのシーズン開幕となった。

伊豆の動向は?

 ボク自身、今シーズンは何となくいけそうな予感がしていて、ちょっとばかりリトルトゥイッチャーの復刻に向けて、真剣に取り組み始めていた。多くの支持を受けながら、生産の都合で作れなくなっていたので、何とか復刻させたいものだ。そんな気持ちを抱きながら、夏の終わり頃からはメッキの話題が多くなってきた。

 蓋を開けてみたら、同じ関東周辺でもかなり接岸状況に差の出ていることが見えてきた。例えば西伊豆メッキロードで一躍有名になった伊豆半島だけど、ここは8月末に小型がたくさん確認されて、育ち遅れの心配もあった。ところがほどなくして、所々で20cm級のヒット情報が増えてきた。ボク自身も8月末の釣行で、20cm級を平均サイズとして、ずいぶんと数を釣ることもできた。いわゆるメッキロードが成り立つレベルの数がいたので、今シーズンは盛り上がれることだろう。

そんなに急激な成長は考えられないので、おそらく別の群れが沖を回遊していて、何かのきっかけで接岸したのではないだろうか。大型シイラが大量接岸した記憶も新しいが、これらも何かに関連しているのかも知れない。いずれにしても、海という大きな自然の中で、まだまだ分からないことはいっぱいある。

他のエリアは?

 他にも気になるのは、数年前から注目され始めた、外房から南房を中心とした千葉エリアだ。こちらもかなり早い時期から状況チェックが入っていたけど、現実にはかなり低調だった。超小型の群れは入っていたようだけど、それなりのサイズの群れはかなり少ないようだ。伊豆半島がいいのに何でそんなに差が出るのかも気になるところだ。この辺りは予想でしかないけど、黒潮の分流が入り込む位置や方向が関係しているようにも思える。

 例えば房総半島先端付近が最も黒潮の接岸エリアになっているため、毎年釣れ始めるのはその周辺が早いような気もする。ボクの実績では、サイズが良くなり始めるのもこのエリアが早いと感じている。そこから徐々に展開していくのだろう。ところが伊豆半島に近づくのは、あくまでも黒潮の枝潮だ。メッキは本流からどんどん枝潮に乗り換えて、最終的な本流で流れていく量が減っているような気もする。この辺りは本当に想像の域を脱しないけど、考え始めるとなかなか面白い。

 最後にボクの近所?である相模湾だけど、ここ数年では真鶴半島を中心に、メッキの分布が多くなってきているように感じる。数年前は小田原の早川港にかなりの数が回遊していたけど、港口の大々的な工事を行い形状が変化してきた頃から、極端に数が減ったように思う。ところがその影響か、早川周辺ではサーフでのベイトフィッシュを追いまわすメッキが多く目撃されている。しかも釣果も素晴らしい。港内へ入りにくくなると、周辺のエリアに群れが回遊するケースの見本だろう。

磯メッキが楽しみ!

 そして気になるのが、このタイトルにもある磯メッキだ。先日の房総でのメッキロードをしてみた感触では、港内にはかなりの小型しかいない。いても数が少なく、とてもロードの対象になれる量ではなかった。そこで南房のある磯の様子をチェックしてみると、実はそこが大当たりの状況。

 ここで理由を考えてみた。港内にはベイトフィッシュが少なく、その近くのサーフにも姿があまり見られなかった。それではベイトフィッシュを追い求めるメッキたちは、いったいどこにいるのだろう。いくら潮の影響で量が少ないとはいえ、あまりにも数が少なすぎるというのが、単純なボクの疑問だった。そうなった場合、他にベイトフィッシュを探す手段としてすぐ頭に浮かんだのが、港周辺の磯だった。

 南房周辺では、ご存知のようにクロダイ釣りが盛んだ。いろいろな釣り方があるけど、一見してメッキにつながったのが、平たい波の影響をそれほど受けてない磯だ。こういった場所にクロダイ釣り師が多く、そしてコマセをたくさん撒いている(千葉県ってコマセ禁止じゃなかったっけ?)。このコマセに、小さなボラを始めとした小魚が沸いているのだ。これだけいれば、その周辺で潮の動きがあれば、メッキが寄っていても不思議ではないと考えた。

 予想は的中して、コマセを撒いている小魚の多いエリアから少し離れ、外海からの潮の動きができている境の辺りを攻めてみると、1投目からメッキのチェイス&ヒットを得ることができた。こういったエリアがたくさんある房総では、同じようなパターンで狙える場所は多い。結局はベイトフィッシュの動きに合わせて、メッキたちは活動範囲を決めていたのではないかと思う。現時点の磯メッキは、数少ないといわれている今シーズンの房総半島で、確率良くメッキを釣るための必須事項になるのではないだろうか。