「消えゆくフィールド・・・」

やってるヤツがいるじゃないか!

 どんどん増え続けているフィールドの規制。いったいどこまで突き進んでいくのだろう。どこかで何かの歯車が狂っているのかも知れない。気づかない所で、誰かに多大な迷惑をかけているのかも知れない。たとえば夜釣り禁止のフィールドが増え続ける。その多くの理由は、イセエビなどに代表される漁業権対象に属する、海の資産を密漁する輩が原因と聞く。実際に他の釣りで楽しむつもりのアングラーだとしても、いちいちチェックなどやってられないし、目を盗んでやっているのかも知れない。現実にそういう事実もあったのだそうだ。そこで生活をしている漁業者にとっては、それを密漁されるということは、自分の庭にあるものを勝手に持ち出され、他人のモノにされているのと同じことなのだ。

 もうひとつ理由があるらしい。以前のニュースで、熱海の高波による転落事故は記憶に新しいことだろう。「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」という言葉の通り、危ないことをする人はいまだに絶えない。それが原因で転落したり、表面化してこない程度の事故は後を絶たない。だから一部の漁港では、港口などにある堤防の高い段上での釣りのみを禁止にしているケースもある。最初は守っていたけれど、最近ではお構い無しに竿を出している姿を遠くから見かける。波間に漂うウキの明かりが、そこで釣りをしているという事実を物語っている。ある場所では密漁と危険防止のためと言いながら、地元民だけは暗黙の了解で釣りをしている場所もある。たしかにそれは仕方ないかも知れないけれど、よそからきた人にとっては、その禁止場所で釣っているのが地元民かどうかなんて、聞いて見なければ分からない。中途半端に釣りをしている人がいると、「やってるヤツがいるじゃないか!」と大騒ぎする人が出てくるのも事実だ。

遊びに使わせていただいている

 あれだけの騒ぎになった東伊豆の網代でも、今は普通にエギングを楽しんでいるアングラーも多いらしい。ボクは自分の目で確かめてないけれど、一時期は立てられていた看板も、今は見かけなくなったと聞く。事実かどうかは分からないけれど、結局その当時に看板を立てたのが誰かも分からずじまいだ。最近では沼津の内浦で、漁協が書いたのではないと言われる看板がある。マジックに手書きで、「エギ禁止」の文字が書かれているそうだ。こちらは小型を乱獲されやすいので、こういった行動を起こした人が出てきたということらしい。網代のケースと、ほぼ同様の内容であることが分かる。これもしばらくすると、まったく無視の状態になってしまうのだろうか。最悪のケースでは、漁協として釣りそのものを禁止にしてしまう可能性もある。

 漁業施設にいたずらされた・・・、船揚場のスロープにある枕木を燃やされてしまった・・・、作業中に車を放置されて仕事にならなくなってしまった・・・、広げてある定置網の上に駐車されてしまった・・・、他にも数え切れないほどのトラブルが耳に入ってくる。我々に何ができるだろうか。気づけば注意できるから、ボク自身もそんな人に声を掛けることもある。無視する人もいるけれど、多くは「あっ、そうなんだぁ〜。知らなかった。どこなら車を置いても大丈夫かなぁ?」と気さくに聞いてくる人もいる。自分が大丈夫だと思い込んでいても、実は他人に多大な迷惑をかけているかもしれない代表的な事例だと思う。もし誰かに指摘されたら、素直に嬉しい貴重な情報として受け入れて欲しい。

 今のままアングラーにとって悲しい状況が続くとすれば、我々アングラーは相手に対してもっと悲しい気持ちにさせている行動を悔いなければならない。今までに何度も言っているけれど、「海はみんなのもの」「だけどそこで生活している人がいることを忘れずに!」「漁港という漁業施設を好意で遊びに使わせていただいている」そういったスタンスを忘れずに釣りを楽しんで欲しい。自分だけがよければとタックルを広げて場所取りする人もいる。そういったことも含めて、もっとおおらかな気持ちで趣味の釣りを楽しみたい。一部ではついに、アオリイカ釣りの場所取りが殺人事件にまで発展したケースもあると聞く。釣りってそんなに危険な遊びだったのかなぁ?

釣り業界は衰退の一途を・・・

 最近聞いた情報では、南伊豆・下田の犬走堤防付け根に、アオリイカ釣り禁止の看板が立てられたらしい。これの意図は聞いてないのでまだ分からないけれど、何らかのトラブルがあればこそ、こういった看板が立ってしまうのだろう。この調子でトラブルが増え続けていくと、近い将来には陸っぱりから釣りのできる場所がなくなってしまうかもしれない。釣り公園だけしか釣りができなくなったら、おそらくアングラーは激減すると思う。そうかといって船のアングラーが増えるかというと、おそらくそうはならないだろう。コストが低く、いつでも手軽に楽しめるのが陸っぱりの良さなのだから、アングラーは減って釣り業界は衰退の一途をたどることは目に見えている。大手メーカーさんも、そろそろ何らかの対策を一緒に考えていかれないかなぁ。カタログに「マナーを守って・・・」って書くだけでもやらないよりはいいけれど、マナーの悪さを直さない人がたくさんいる。そろそろ次の手段を業界全体で真剣に考えていかないと、自分の首を絞めることになってきているんじゃないかな。こういったコラムを書くことで、わずかでも良い方向でプラスになればいいなと思っています。