ノジングに向くエギの条件

ノジングは、ボトムで餌木をアピールし、大物を選んで釣るためのメソッドなので、エギが極端に速く移動させないようにします。もっと分かりやすく言うと、ボトムでのアピールする時間を増やしたいのです。

●エギの種類は大分型が向いています。
 シャクリ用のエギは、大きく分けて大分型と山川型があります。どちらもシャクリ用ですが、大分型の方がジックリ探るのに適しています。シャクリの後でユラユラとアピールしたいという意味で、ノジングに向いています。

 なぜ山川型がノジングには向かないのかと言うと、瞬発力重視のセッティングがされているからです。同じサイズで較べると山川型の方がわずかにスリムで重いのです。だから派手に動きすぎて、シャクリの後でのアピール時間が短いのです。更にエギの腰の部分に曲がりが大きすぎます。上からノリに来ているアオリイカが、エギに抱きついた時、カンナに掛かりにくい現象が起きます。
 アオリイカはその体型を見て分かるように、潮流の速い場所を嫌う傾向があります。潮裏やタルミを釣れとも言われます。だから山川型の出番はあまり無いのです。ただ、山川型では釣れない訳ではないので誤解の無いように。

●布巻きと塗りは布巻きが有利です。
 ノリの面で、圧倒的に布巻き有利ではないかと思います。特にアオリイカの数が少ない場所では、その差がハッキリとします。布巻きの感触が安心できるらしく、抱いている時間が長い傾向があるようです。更に布地の表面に気泡がまとわりつくので、アオリイカに興味を持たせるのではないかと思っています。それだけ生命感を与えているのではないでしょうか。

●ボディ素材はウレタンボディが効果を発揮する
 ウレタンと樹脂成型とを比較した場合、同じボディボリュームで考えると、ウレタンの方がより魅力的にアクションします。これは比重の関係のようです。また、ボディの下地の色がアオリイカの気を引くようですね。コスト減のために一時樹脂成型の餌木が増えましたが、明らかにウレタンの方が釣果でも有利なことが明らかになって来たので、最近また復活してきたのです。樹脂成型に較べて製作コストが掛かっているので、それを考えたらあの価格は妥当だと思いますよ。
 木製のものは入手価格が高いため、実釣用にはお奨めできません。エギは工芸品的要素を持ちながらも、やはり使ってなんぼの消耗品です。高価になりがちなハンドメイドである必要は、全く無いと考えています。安ければ良いですが、水を吸い込むような表面処理のままだと、徐々に動きが重くなると思います。

●カンナの形状は半傘タイプがお薦め
 ノジングはボトムを叩くメソッドなので、半傘の方が有利です。その理由は、全傘だとハリの数だけアワセたときの力が分散するからです。そのため、全傘の方が半傘に比べてカンナは刺さりが悪くなる傾向があります。船からのシャクリ釣りの場合は別です。それと全傘タイプは、カンナに海草がまとわり付きやすいのもデメリットとして挙げておきます。カンナが3段のものは同様の理由で不利です。
 しかし、時代は全傘傾向ですね。針の数が多い方が、それだけ掛かりが良く、確実に釣れると勘違いしているお客さんが多いからです。
 また、全傘をカットして半傘にしてしまうというのはダメです。カットすることによる重量的な問題はそれほど無いと思いますが、全傘と半傘とではカンナのフトコロの大きさが違います。全傘の方が小さいんです。その分だけ掛かりが浅くなって、バラシが増えますよ。

●シンカーの形状は海底にある時の動きを考えよう
 アオリーQなどに見られるスナッグレスタイプのシンカーですが、シンカーの前側の角部分に根が引っ掛からないように、あのような形状にしてあります。しかし、実際は回収不能に陥るような根掛りのほとんどは、エギ本体が岩の間に挟まってしまうためなのです。だからスナッグレス・シンカーでないエギでもそれほど回収率に差はありません。むしろスナッグレスシンカーにすることのデメリットの方が問題だと思います。シンカーの高さが低くなった分、着底時の姿勢が低くなり、エギのアピール度を減らしてしまいます。それにシンカーが障害物に当たった時の、魚がヒラを打つようなイレギュラーアクションもスポイルされてしまうのです。アオリーQではそこも考慮して、本体のバランスによりイレギュラーなダーとアクションもできるように味付けされています。

●エギはアオリイカにとって、弱ったベイトフィッシュだと推論しています。

 エギのサイズは号数で呼びますが、これはエギの重さを表現したものではなく、大きさを意味します。例えば3号は3寸という意味です。1寸は約3cmですから、3×3で9cmと言うことになります。エギングに使用する場合、2.5号,3号,3.5号,4号,4.5号くらいまでを使用します。エギをこれから購入しようという方は、最も使用頻度の高い3.5号と4号のピンク、オレンジ、グリーン、ブルーの4色を揃えておけば良いでしょう。根掛りによるロストを考えて、それぞれ2本くらい持っていると安心です。

・季節による使い分け
 →秋の小型(俗に言うコロッケ級)の数釣りシーズンは、3.5号で十分です。
   人によっては、2.5号や3号も使用しています。
  それ以外のシーズンは、4号でどこでも通用するはずです。

・水深と潮流による使い分け
  →西湘や伊豆半島では水深5メートル以内のポイントがほとんどです。
   ほとんどが4号で通しています。
   潮流は、基本的にあまり速い場所は避けるので気にしていません。
   どうしてもという場合は4.5号を使います。

 それでは、具体的なカラーセレクトの話しをしましょう。まず、様々な条件下でのカラーセレクトについてです。基本となるカラーはピンク(赤系),オレンジ,グリーン,ブルーの4色です。このカラーの中から、その時の状況に応じて使い分けて下さい。

●時間帯による選択
・朝夕のマヅメ時(日没直後、日出直前)はブルー,グリーンが基本です。

・夜間の日没後直後はピンク,深夜はオレンジ(光量不足を補う)が基本です。
 月夜は遅い時間でもピンク,闇夜と濁り潮の時は早い時間からオレンジに切り替えています。

・晴れた日の日中(初夏)はブルー,曇りの日はグリーンが基本です。

※その時の水色に合わせるのが基本です。これは回遊魚狙いのカラーセレクトと同じです。

※西湘から東伊豆限定カラーセレクト
 秋の港内における、コロッケ〜メンチ級限定として、DUEL(ヨーヅリ)の大分型A17U−12(カラーテープ仕様)という、ピンクとオレンジの混ざった複雑なカラーなのですが、これがよく効くんです。まだエギングがこんなにメジャーになっておらず、一部のアングラーの密かな楽しみであった頃、西湘地区で何度か大ブレークしたことがあるカラーです。一度絶版になったのですが、復刻しました。ちなみに同じ秋でも、港外にいるアオリイカを狙う場合は、赤が強い方がいいようです。同じくDUEL(ヨーヅリ)の大分型271番が実績は高いですね。

●潮色による選択
 次に、潮が澄みやすい冬ならではですが(ちなみに春先は潮が濁ります)、

・澄み潮にはグリーン系統にいい結果の出ることが多いです。
特にDUEL(ヨーヅリ)大分型No.69番が最高です。

 実はNo.69に限らず、昔から西湘地区でヒットカラーと言われたエギは、ボディサイドの金色が強めに入っているんです。アオリイカが好んで捕食するベイトとしてアジが知られていますが、西湘地区の沿岸にいるアジは黄アジとも呼ばれ、体側が金色を帯びています。No.69にはボディサイドの金色を意識して加えてあり、黄アジの体側の色と似ているからヒット率が高いと推測されているのです。おそらくアオリイカは、黄アジが大好物なのでしょう(黄アジは、人間にとっても普通のアジよりも美味とされ珍重されています)。

・濁り潮にはオレンジ系が圧倒的に有利です。
雨後の濁流河川の影響による泥濁りには、日中でもオレンジを使います。
 但し、初夏によく見られる潮ッカスが出ている場合は、
 昼夜を問わず潮ッカスが薄ければピンク、濃ければオレンジですね。
特に初夏から盛夏は、水温によって潮ッカスがどの水深に存在するかが問題です。
 潮ッカスが目で見て分かるのなら、薄いほどナチュラルカラー(ブルー、グリーン)です。
 つまりブルー、グリーンで大丈夫ということです。

●エギのチューニング
 まずナマリカットですが、ノジングに関しては不要です。次にエギの目玉についてですが、目玉は夜光に限ります。夜光ではない目玉のエギもありますが、もし間違えて買ってしまったら、ハイパブライトの塗料を販売しているのでそれを目玉に塗ってください。テールにも夜光テープが巻いてあるものもありますが、逆にこちらは蓄光してはいけません。

 口糸のタイプですが、チチワ結び用のもの、輪になっているタイプのもの、スイベルタイプとありますが、輪のものがベストです。チチワ結び用は船でのシャクリには良いのですが、キャスティングではラインにタルミが出た場合、稀に外れる可能性があります。また、スイベルタイプはヨリ取り効果はありますが、根ズレという面ではボトムにこすれやすくなるので不利です。ですから、スイベルタイプを使う場合はループノットで結び、少しでもラインが上へ向くように意識して下さい。

 それと胸ぼろ(胸びれを模した鳥の羽根)は取らないで下さいね。あれが無いとノリが悪くなります。アオリイカは、あの鳥の羽根の感触を嫌うと言われています。アオリイカはまず獲物の頭部に攻撃を仕掛けます。ところがそこにはあの胸ぼろがあります。羽根を避けるためにエギ後部に滑ります。それですんなりカンナに掛かることが知られています。もちろんそれが全てではないでしょうが。また、鳥の羽根に含まれる油分が気泡を包み込み、本物の魚のようにリアルな演出ができ、アオリイカに興味を持たせるとも考えられています。

 話の中に出てきましたが、ボクはエギが気泡を身にまとうことによる効果に注目しています。その効果を出すために、頻繁に乾いた餌木と交換すると良いでしょう。また、ボナンザなど市販の撥水剤を吹きつけておくのも効果が持続して良いのでは?と考えています。皆さん、ぜひ試してくださいね。


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