2004.02.27 メバルは良型の拾い釣りが面白い!

Report by Fumio Noji

ストラクチャーの狙い撃ち

 先日の釣行で、海の状況が変化してきていることが気になっていた。伊豆半島のメバルやカサゴたちは、独特の潮濁りによって、思うように釣れなくなってきていた。メバルが落ち着いてカサゴが始まったと思いきや、春一番以降からの荒れた伊豆の海は、ウネリを伴って濁りを作り出していたんだ。しかしこの時期に捕食をしないはずがなく、何らかのパターンが存在しているはず。少なくとも濁りの入り始めた冬から春への潮では、いつまでも同じ場所で釣れ続くはずがない。今まではいくつかの実績ポイントで時間をかけて探っていれば良かったのだけれど、これからはラン&ガンで要所となり得るポイントの狙い撃ちへと切り替わっていくはずだ。

 今回の釣行では、こういった状況での小型メバルを無視して、中層にサスペンドしているストラクチャー回りの良型を狙い撃つことを目的にしてみた。この日は数日前の昼間から強い風が続いており、普通に考えたら釣行には適さない海の状況だろう。夕方の早い時間に自宅を出発して、薄暗くなる頃に西伊豆へと到着した。案の定、小田原ではそれほどでもなかった風が、西伊豆では強く吹き荒れていた。外海に面している場所では、風によって起きた波が、岸へとぶつけられている。海岸線のかなり高い場所にある道路でも、時折フロントガラスに飛沫がかかってくる。しかし港によっては港内が風除けになっており、ウネリさえある程度我慢のできる場所であれば、狙い通りのライトゲームが展開できそうだ。


まずはカサゴが・・・

 辺りが完全に暗くなってから、いつもの数釣りポイントへと入ってみた。すると予想通りわずかな濁りとウネリが入り込んでいて、どこからか流されてきたような海藻が水面にたくさん漂っていた。場所によってはスロープの枕木のようなモノまで流されていて、ここ数日の海の荒れ具合を物語っているような状況だ。この時点で潮は上げてきており、これらの浮遊物はまだまだ集まってきそうだ。キャストできる状況ではないけれど、とりあえずはパワーシラスのジグヘッドリグをキャストしてみた。しかし反応がない。念のため浮遊している海藻の周辺をくまなくチェックしてみたが、やはり反応はなかった。

 せっかくきたのだからと、とりあえずヘチにそのまま落とし込んでみる。ボトムへ着底する前にベールを返して、そのまま横方向へとリーリングを開始する。ラインが真下へ来てそろそろ水面からワームが見える頃、突然ロッドが真下へと絞り込まれた。まずまずの引き込みの魚は、上げてみると22cmのカサゴだ。最近はあまりエサを捕食していなかったのか、ちょっとばかりやせているような感じがした。しかし強烈な引き込みはいつものそれと同じで、こんな海の状況でもヒットしてきてくれたカサゴに感謝だ。このあとは小型のカサゴがいくつかヒットしたものの、メバルは予想通り反応がない。ウネリの影響か、それとも先日から続いている濁りの影響なのだろうか。


岸壁沿いはジュボジュボッ!

 とりあえず最近の状況と変わらず、今までのポイントでメバルの反応が悪くなっていることが確認できたので、いよいよこの日の目的であるストラクチャーの狙い撃ちパターンを試すことにする。車に乗り込んで、一気に南伊豆方面へと走った。以前から予想していた場所に到着して、強風とうねりがありながらも、十分に釣りができて、かつ安全なことを先に確認した。海の悪い日には、無理して釣りをするとろくなことがないからね。足場もよく、ここなら安心して釣りに集中できる場所を確保した。ここはポイントと思える場所がかなり広く、数多くのストラクチャーが点在している。外海からのウネリが入り込んでいて、岸壁沿いは時折「ジュボジュボッ!」という波の音がしている。ウネリの影響で上下する海面は、およそ10cmほどの変動だ。しかしウネリで押されてくる潮の流れは、左右にかなりのスピードで動いている。もちろんこれは、あくまでも港内での動きとしての話だけどね。1gのジグヘッドを1m沈めるのに、横へおよそ50cmほど流されていく。

 こんな状況では、ヘチの魚の反応は悪くなる。特にナギの海を好むメバルのような魚にとって、流速を感じやすいヘチでの捕食は難しくなる。すなわちこういったときのベストポイントは、岸から少々離れた場所にあるストラクチャーになりやすい。念のため足元の岸壁沿いを探ってみたが、ここでは反応がない。そこで本命となるストラクチャー狙い撃ちを開始した。開始してすぐに、着水後のフォール中にロッドが絞り込まれた。潮によって抵抗が増えているため、かなりの引き味を堪能させてくれる。ストラクチャーへのライン擦れを避けながら、足元まで寄せてから一気に抜き上げた。重量感のあるその魚は、この日の本命であるメバルだ。サイズを測ってみると、24cmある。もくろみ通りに、予測していたストラクチャーにメバルは居ついていた。


24cmの型揃い!

 その後もいくつかのストラクチャーを叩きながら探っていくと、所々でポツポツと飽きない程度にヒットしてくる。そのほとんどが良型のメバルで、大きいものは24cmの型揃いだ。片っ端から同じサイズというのが不思議だったが、これだけのサイズがポツポツと数釣りできるなんて、なかなかあることではない。ストラクチャーの上層を探るとこのサイズのメバルが釣れて、ボトム周辺を引いてくると20cmオーバーのカサゴがヒットしてくる。こんなことの繰り返しで、この場所をひと通り叩き終わるのに1時間半ほど楽しませてもらった。時折カサゴの10〜15cmくらいのが混じってくるが、これはホンノご愛嬌だろう。予想通りの展開に気を良くしながら、再び同じエリアを叩き始めてみると、なんとまたもや同じサイズのメバルたちがヒットしてくる。荒れた海の影響なのか、ちょっとでも時間を空けていると、後からどんどんメバルが入り込んできているようだった。途中で釣りをやめて、この場所はそっとしておくことにした。

 車へ戻り、南伊豆の港を中心にチェックしてみると、状況としてはどこも似たような感じだ。じっくりと時間をかけながらストラクチャーを叩いていけば、ルアー選定とレンジさえ間違えない限りまだしばらくは楽しめそう。反応のある場所は単純なストラクチャーだけではなく、海底にゴロタ石と海藻の生えている場所に釣果が集中した。こういったことを頭に入れながら、その日の外海の状況も意識してポイントを選んでいけばいいだろう。やっぱり自分で考えながらゲーム展開を進めていくと、ホントに気持ちがいいよね。今度は海が静かなときに、どんな進め方で楽しむのが正解なのか、それを確かめに出かけてみようと思う。