煽られて
今シーズンのアオリイカは好調のようだが、釣行のタイミングが悪く風や波に悩まされ、パッとしない釣果が続いていた。前週も四国南東部へ行き、お気に入りのサーフで狙ってみたが波が高く全く釣れなかった。移動して別のサーフで何とか2杯は釣ったが、期待した釣果には程遠かった。そろそろ水温も下がるので、もう今シーズンはあまり期待出来ないのかと思い始めていた。
ところが数日後、その地方で爆釣が始まったとの情報が。主にヤエンでの釣果だが、入れアタリだの大漁だのと煽ってくる。何でも良い潮が入って来たとのこと。沿岸のアオリイカ漁の定置網も大漁らしい。これはリベンジするしかない。悶々と数日を過ごし、待ちに待った土曜日、四国南東部へ向けて出発。
風裏のはずが
これまでサーフがパッとしなかったので、烏賊影が濃そうな磯へ行くことに。西高東低で北西風の予報だが、風裏になる場所だ。場所確保も兼ねて早めの午後3時に到着。ところがなぜかイカ釣りの人は居ず、魚狙いの人が一人。その人も夕方に帰ってしまった。もしや好調は終了してしまったのかと不安がよぎる。でも本番は暗くなってからだろう。それまで磯の様子をチェックしながらエギを投げる。
日没前になって小ぶりのアオリイカがヒット。とりあえずイカは居るようでホッとする。日も暮れて、さあこれからだと気合を入れるが急に風が強くなってきた。追い風になるように磯の先端に立つものの、もはや爆風状態でシャクリもままならない。これはアカンということで、泣く泣く移動を決断。しっかり防寒していたので登りの山道で汗だくになったしまった。
月とともに
前週も来た小規模なサーフへ移動。回りを山に囲まれていて、弱い追い風と好条件。前週には無かったイカの定置網が仕掛けられていて、釣り場が少し狭くなっている。定置網がある場所はイカがまわって来る場所のはずなので、これは前向きに考える。そして再びシャクリ始めるが、全くアタリがなく時間だけが過ぎて行く。今回も敗戦のような気がしてきたが、元々釣れなくても月が出る時間までは頑張ってみるつもりだ。
午後9時ごろ、山の上から月が顔を出してきた。一気に周囲が明るくなり、月光が海面も照らすようになったところでヒット。しかしすぐにバレてしまったので、そのままシャクリ続けていると小さなアオリイカがヒット。月が出て急に喰いだしたのか、それとも群れがまわって来たのか、いずれにしても時合い到来のようだ。
その後は夢の入れアタリ。これまでの我慢の釣りが嘘のよう。クイクイと引くアタリは小型のようでアワセてもなかなか掛からないが、グッと重くなるアタリはまずまずのサイズ。しっかりアワセてロッドが大きくしなる時は至福の瞬間。続いての寄せでは腕が痛くなるが、それも嬉しい悲鳴。そして午後11時過ぎ、アタリが減ってきたので終了した。
私のリベンジは失敗に終わることが多いが、今回は大成功。月の出を待ったのが正解だったようだ。計13杯の水揚げ。殆どの釣果は月が出てからに集中し、早めに出発した意味が殆どなかったが、終わりよければ、だろう。帰りの山道は引きずる様な重い足取りだったが、心はこの夜の空のように晴れ晴れとしていた(嬉)。