釣れそうな週末
この週末は月夜で天候・波の具合も申し分なし。当然、四国南東部へアオリイカ狙い。土曜にするか日曜にするか、どちらも天候は良いので迷ったが、土曜は狙いの場所に入れない可能性があるので日曜に行くことにした。
順調に移動して日没の30分前には駐車場に到着。幸い先行者は無し。車を置いて林の中の階段を降り、Myロープを伝って急斜面を降り、波に注意しながら崖下にわずかに露出している満潮前の海底を歩いてサーフにたどり着いた。新しめの足跡があったので土曜日には釣り人が入っていたようだ。左右を高い崖に囲まれ、背後に森が広がる小規模なサーフは秘境のような雰囲気で、いつもながら気持ちの良い場所だ。
謎の物品
ゆっくりと準備してエギング開始。サーフ中央に荷物を置き、少しづつ右へ移動しながらキャストを繰り返す。するとサーフ右端の後方に小さなクーラーボックスが置いてあるのが目に入った。前日の釣り人が腰掛けにでも使ったのだろうか。
右端に到達したので、クーラーボックスの所へ行ってみる。サーフには色々な漂着物があり、クーラーボックスもそうだろうと思ったが、あまり傷もなく少し前まで使われていたように見える。そしてすぐ近くに何やら物が落ちているのに気が付いて目をやると、激しく驚いた。
、先行者がいる? 遠目には気付かなかったが、砂利の上に3つの物が並べて置いてある。左から磯釣り用のベスト、次にアルミ製の背負子、右には青いロッドケースが。ベストはくたびれてはいるが破れてはおらず、まだ使おうと思えば使えるレベル。背負子は黒いベルトがきれいでこれもつい最近まで使っていたものとしか思えない。ロッドケースはチャックが閉まっていて側面の印字周辺に光沢があり、こちらも現在使用中と言われても不思議ではない。
クーラーボックスと合わせてこれらの物品がまとめて置いてあり、漂着物がたまたまここに集まったとは絶対に思えない。どう考えても人がそこに置いたものだ。思わず振り返ってサーフ全体を見渡すが、もちろん誰もいない。荷物を置いてどこかで休憩でもしているのかと思ったが、そもそも駐車場には1台も止まっていなかったので釣り人はいないはず。背負子があるので忘れ物ということもありえない。この不自然な状況がどうやって生じたのか、いくら考えても思いつかない。
ベストやロッドケースの中身を詮索すれば何か手掛かりがあったのかもしれないが、そのような気にはなれなかった。事件や事故の可能性もあるので写真を撮っておこうかとも思ったが、それも止めた。誰かと一緒に来ていたらその辺色々やったと思うが、一人ではちょっと・・・。鼓動が早くなっているのが分かる。誰かがこちらを見ているような気がして気味悪く、もはやこの場所から立ち去りたい気持ちでいっぱい。
釣りを再開
う~嫌なものを見てしまった。それでも釣り欲の方が勝るので帰るようなことはせず、気を取り直して釣りを再開。周囲が薄暗くなっても目をやれば白いクーラーボックスがそこにある。突然人影が現れたりしないかと気になって仕方がない。
するとエギがかなり手前に来たところでスーッと持って行くアタリ。これは掛けるのは難しそうと思いつつ合わせると、ヒット。クンクンと引く小型だが、早めの時間にうれしいアオリイカ。この一杯のおかげで以後は釣りに集中することが出来た。追加を期待して引き続きキャスト。しかしその後は長くアタリの無い時間が続く。
久々のアタリが
この日は午後7時過ぎに月が出る。だが東側は切り立った崖があるので月が照らすのはもう少し先。真っ暗な中でしゃくっていると、コツコツッというボトムの感触の後にガッと根掛かり。竿をグーッと立てるとわずかに動いたので大きな海藻を引っ掛けたようだ。巻き取ろうとすると一瞬グッと竿先が引き込まれた。ん、イカ?魚? 慌ててアワセを入れるが、相変わらず重いままで反応は無し。
するとパッと離されて軽くなってしまった。今のは一体何だったんだと想像する。デカイカの場合は抱く力が強いので、合わせが弱いとカンナに掛かからないことがある。半信半疑だったので合わせが少し弱かったかもしれない。最初に海藻と間違えた時点で負けだったが、生命反応に気づいた時にもっと強く合わせていれば・・・まあ悔やんでもしょうがない。修行が足りないのだ。
月光の下
やがて東の空がうっすらと明るくなり、西側の崖の上の方が月明かりに照らされてきた。そのうち海面まで照らされてきて、月が顔を出す。さあこれからが本番。期待して探っていると、クンッと明確なイカパンチが。すかさず誘うが乗ってこない。もう一回誘いのシャクリ、それでも乗ってこない。おかしいなと思っていると次のシャクリでドスンとヒット。強い引きでまずまずサイズ。
よっしゃ~待望の2杯目をゲットだ。イカパンチのあとは誘いのあとですぐ乗ってくるイメージだったが、そうではなかったので警戒している感じ。そしてまたまたイカパンチ。今度は丁寧に誘うが、やはり乗ってこない。そして何回目かの誘いの後でクイクイと持って行くアタリが出た。あ~こりゃ小さくて掛からないなと思ったが、とりあえず合わせるとヒット。やはり小さかったが追加に成功。
すでに終了予定時刻を過ぎているのだが月が出てアタリも増えているので時間の許す限り延長したいところ。しかし翌日は仕事なのでもう許されない時間なのだが(笑)。まああと一杯だけ釣って終了ということに。そういう時に限って後が続かないものだが、しゃくった乗ったでまたすぐヒット。グイングインと良い引きでそこそこのサイズ。アタリは取れなかったが、いや~嬉しい。
無事に釣れたので終了、のはずだがこの状況では終われない。もう少し延長。するとまたまたコツンとイカパンチ。パンチの多い日だ。今度も誘って誘って・・・乗らない。投げ直して誘い続けるが、根掛かりしてしまった。ここで無念のラインブレイク、終了。
開始早々に不思議なもの見てしまい、薄気味悪い中で夜釣りをするのかと気分が沈んでいた。しかし月が出てからはアタリが一気に増え、嫌なこともすっかり忘れて夢中でエギングを楽しむことが出来た。何とも不思議な夜だった。