このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
1999/05/06号 に掲載された記事です

春の潮にワニゴチも浮かれて・・・

 さ〜て、今回紹介するのは、一般的に馴染みの薄い魚だよ。マゴチって魚は有名だから知ってると思うけど、ボクたちルアーマンの間で、ワニゴチって呼ばれている種類のコチがいる。マゴチみたいに大きくはならないんだけど、春先には意外と手軽に釣れるターゲットだから、特別に紹介してみようね。

 ボクの実績フィールドは、伊豆半島の東側付け根にある沼津周辺なんだ。綺麗な砂底や砂泥底、多少は石がゴロゴロしている岩礁混じりの砂底などに生息している。沼津周辺では、少し岩が点在している砂泥底のエリアが多いみたいだ。

 代表的な実績ポイントとして挙げられるのは、フローティングホテル・スカンジナビア号で有名な木負周辺だ。このエリアを中心に、内浦湾一帯から西伊豆全域に広く生息している。残念ながら、それ以外の地域では、ボク自身満足のいく釣果は出ていない。

 最も、ワニゴチを釣りたいと思ったら、あまり深く考えずに「沼津へ釣りに行こう!」って行動すれば良いんだから、考えようによっては気楽に狙えるターゲットなんだ。しかも、みんなの大好きなライトタックルで釣れちゃうんだから、こんなに嬉しい事は無いでしょう?

 シーズン的には、冬から春にかけてが最も釣りやすい。初冬の頃から釣れるのは、何故かナイトゲームに集中する。ところが、暖かい春の潮に入れ替わってくると、ワニゴチたちは昼間でも釣れるようになってくるんだ。「やっぱり冬の夜釣りは寒いから嫌だ!」って人には、昼間釣れてくれる春が待ち遠しい事でしょうね。

 それから、絶対にそうかと聞かれると自信は無いけど、傾向として冬の夜釣りが岩混じりの砂泥底、春の日中から夕マヅメにかけては、泥が多めの砂泥底で釣果が良いような気がしている。この辺りは、チャンスがあったら皆さんからも、釣果報告していただけるといいなぁ。みんながお互いに情報を出し合って、みんなが同じように良い思いをする…、そんな考え方が大好きだよ!

 さぁ、今なら昼間が釣りやすく、実績のあるポイントも分かった。これだけ知っていれば、あとはフィールドへ足を運ぶだけだ。とにかくルアーをキャストしなけりゃ魚は釣れないんだから、どんどん出かけて見ようよ。

 さて、タックル紹介をしておこうね。基本的には、みんなが頭に思い浮かべているようなライトタックルでいいんだよ。釣れるワニゴチのサイズは、大きくても30cmまでだから、渓流用トラウトロッドみたいにペニャペニャだってヘッチャラなんだから。

 ボクは、自分が出かけるフィールドのシチュエーションによってタックルを使い分けている。例えば、堤防から足元付近を静かに狙う時は、6ft前後のペニャペニャなトラウトロッドを使う。遠投して広範囲を探りたい時には、6.6ftのバスロッドを好んで使っているんだ。

 もちろん、これにはちゃんとした理由がある。足元を釣るだけなら、アタリをキャッチする事に重点をおく。だから、柔らかめのロッドを選んでいるんだ。それと、ソフトルアーで狙う事が多いんだけど、ワニゴチは少しづつワームを吸い込んでいく。だから、ロッドティップが硬いと、あっさり離しちゃうんだよ。

 バスロッドを使う時は、ヘビーウエイトのショットを使う事が多いから、それを背負えるロッドという事で、ちょっと硬めのスプリットショットロッドを選ぶんだ。これだと、キャストする時はバットで弾き、アタリを感じ取る時には繊細なティップでキャッチできるでしょ。スプリットショットロッドって、根魚を含めた底生魚狙いには適したロッドなんだよ。

 完全に足元が絶好のポイントと分かっている時以外、ルアーは基本的にソフトルアーを使う。ワニゴチの存在が分かっている時は、シンキングミノーを使えば勝負は早いんだけど、やっぱりソフトルアーの方が釣果は確実だね。

 前の方でも書いたけど、ワニゴチって魚は食わえ直しながら徐々に吸い込んで捕食する。だから、ハリス部分の無いダウンショットや、ボトムにベッタリと張りついてしまうジグヘッドリグは向かない。ボトムのズル引きで広範囲を探るので、ワームがユラユラとボトムよりも少し上を漂えるようなリグが適しているんだ。だから、スプリットショットリグが釣りやすいってわけ。

 通常は食い込み重視で釣るので、結果としてはナイロンラインが扱いやすい。感度が良すぎるラインを使っちゃうと、どうしても違和感を覚えられちゃうらしくて吐き出されてしまう。結局PEを使うのは、前記のようにヘビーウエイトで遠いポイントへリグを届かせたい時に限られるね。だから、ボクが使っているのはDUELのアイルSW4ポンド!

 スプリットショットとソフトルアーとの距離をよく質問されるんだけど、目安としては10cmくらいが標準だね。それ以上長いと、キャストする時に投げにくいだろうし、短すぎるとアピール度の面で不利になっちゃう。ボクが色々と試してみた限りでは、やっぱり10cmがどこでも安定している。

 操作は簡単で、キャストしたらとにかくボトムまで沈めてやる。活性の高い時だったら、近くにいるワニゴチがススッと寄ってきて、何気なくパクッと口にしてジッとしているのを目にする事もある。それが最初のモゾッというアタリとしてロッドに伝わってくる。普段はズル引きとシェイクだけでいいよ。

 軽くテンションを掛けてやると、そこから慌てるように食い込み直すんだ。その時、ロッドにはググッと重みが掛かってきて軽く引き込まれる。その時が、アワセのタイミングだよ。ロッドを手前へ引き付けるようにアワセてやれば、上手い具合に口元へフッキングする!


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