このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
1999/05/20号 に掲載された記事です

遠浅のゴロタでムラソイのミノーイング
 本誌が発売される頃は、春の濁り潮の真っ只中じゃないかな。春は三寒四温って言葉がよく使われているよね。読んで字のごとく、これって3日寒かったら4日暖かい日が続くって事でしょ。こうやって徐々に春の海に移り変わって行くんだ。3日と4日で合わせて7日だから、これが幸か不幸か、1週間のサイクルと同じ。だから、週末アングラーにとっては、ヘタすりゃ毎週釣果が最悪の可能性もあるよね。

 こうやって、春の陽射しで暖められている表面の海水は、冷たい海底の冬の水と上下に入れ替わりながら熱置換されて、水温も高くなって行くんだよ。これが、春に潮が入れ替わるって言われてる現象なんだ。

 この潮の動きが活発になる時、上下の潮の入れ替わりで潮が一時期だけ濁ってしまう。これを、ボクたちは春の濁り潮って呼んでるんだ。この濁り潮の時期は、前記の通り海底までベッタリ潮が濁っている事が多い。だから、時には釣果の上がらない場所もあるかも知れない。

 でも、そこそこに潮通しの良い場所なら、表層だけが濁っていて下の層は澄んでいる事が多い。そんな事もあるから、潮が濁ってるからって諦めて釣らないで帰る事はないんだよ。ちゃんとルアーをキャストしてみれば、結果は大成功って事だってあるんだよね。

 さて、そんな春の海でボク達を楽しませてくれるターゲットと言ったら、やっぱり忘れられないのがムラソイ君だ。カサゴと同じように、春の産卵に備えて浅場へ接岸してくるんだよ。冬の間は深場にいるようだけど、春の水温上昇と共に、極端な浅場へ寄ってくる。そこで、カロリーの高いカニやエビなどを食べて育っているんだ。

 岸近くに寄ってくるって事は、それだけボクたちルアーマンが釣りやすい状況になるって事だよね。一般的に、ムラソイは2通りの釣り方で楽しまれている。ひとつは今回紹介する、フローティングミノーを使ったミノーイング、そしてもうひとつはジグヘッドリグ使ったソフトルアーの釣りだ。

 いずれの釣り方も、条件によって使い分けるのがお得なやり方だ。ミノーにはミノーの、ソフトルアーにはソフトルアーの、シチュエーションにマッチした効率的な使い分けをしたいものだよね。その使い分けができれば、大抵の状況ではムラソイ君をキャッチするなんて簡単さ!

 それじゃあ今回は、ミノーを使ったムラソイのミノーイングに絞って紹介しよう。次回は、もうひとつのソフトルアーについてを紹介することにしようね。では、ミノーイングのお話に入ろうか。

 まず、どんな時にミノーを使うのが良いかを知っておこう。ムラソイは根魚の類にもれず、大幅な移動は夜の間に行なわれる。だからアングラーが多くて人的プレッシャーの高い場所では、あっさりと釣り上げられて減ってしまう。だとすれば、人の入る前に自分が釣れば良いわけだよね。

 超浅場に寄っていて、10cmも水深があれば釣れちゃうくらいだから、いる場所さえ分かっていれば、移動して居付いた直後のムラソイを狙う事になるんだよ。だから、人より早い早朝狙いが有利になるんだ。いなくなってからいくら狙ったって、食い気のあるムラソイは既に釣られた後だから。もちろん人の入ってない場所なら、昼間だってミノーで釣る事ができる。

 
条件的には、岩の下に潜り込んでいるムラソイを釣るんだから、アピール重視でシチュエーションを考えたいよね。そうすると、最も釣りやすい場所って遠浅のゴロタなんだよね。遠浅の場合は、ジグヘッドリグよりも、根掛かりしにくいフローティングミノーの威力は絶大だ。

 ちょっと大きめの岩が露出している場所に大型が集まるから、そこを中心に色々な角度からキャスト&リトリーブしてみよう。必ずムラソイから見やすい角度があるから、そこへルアーをトレースできたら、初めてスムーズにバイトしてくれる。時にはブラックバスみたいに派手な飛び出し方をする事もあるから、興奮度抜群の釣り方だと思う。

 ロッドはゴロタ磯って事を考えると、ラインが岩肌に擦れにくい事が重要になる。だから、あまり短いと悲しい目に出会うかもしれない。ボクが使っているのは、短くても6.6ftのバスロッドかな。遠投が必要な場所では、7ftのトラウトロッドを使うこともある。まあ、普通のゴロタだったら、6.6ftで十分だと思うけどね。だって、それ以上の長いロッドを使わなきゃならないほど波があったら、とてもじゃないけど釣りなんかしてられないもんね。

 ラインは8ポンドの直結が一般的だ。PE5ポンドにフロロ12ポンドリーダーで強引に釣ってもいいんだけど、PEに慣れてない人はライントラブルを考えるとナイロンラインの直結が安心できるかも。

 ミノーはフローティングの7cmが基本だ。通常はシャロー用のあまり深く潜らないもので十分。場所によっては、潜りすぎて根掛かりするから注意しよう。ただ、ちょっと水深のある岩の下を直撃したければ、一気に潜るロングビルミノーを持っていると、攻略できるエリアが縦に広くなるよ。

 誘い方だけど、ムラソイは岩の下に潜んでいる事を忘れないでね。だから、岩の下にいるムラソイの目にアピールできるように動かす。カサゴよりも行動は活発だから、少しぐらい岩から離れてもルアーを追ってくれる。だからといって、いい加減に攻めていたら釣れないよ。

 リトリーブは、ロッドでチョコマカと動くように操作する。とにかくアピールさせて、じらせて岩陰から引きずり出すんだ。バイトがあったら、ロッドに重みを感じてから、反転した瞬間に止めるような感じでアワセると簡単だよ。あとは、一気に岩から引き離して、そのまま巻いて寄せてくるだけでOK

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