このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
1999/06/03号 に掲載された記事です

急深ゴロタでムラソイの穴釣り
 前回は、ミノーイングでのムラソイフィッシングを紹介したよね。今回は予定通りに、ソフトルアーを使った穴釣りを紹介しちゃおう。

 ムラソイが多く集まっているポイントの条件は、だいたい前回の話で分かったでしょ。ポイントのシチュエーションによって釣り方を選ぶのも、大切なテクニックなんだ。ミノーイングでは遠浅のゴロタだけど、ソフトルアーの穴釣りと言うと、それなりに水深はあった方が、ムラソイの魚影は濃い。

 但し、それは足元の水深があるという意味ではなく、足元からちょっとだけ離れた沖側に深みがあるって事なんだ。つまり、すぐ目の前から急深になっているゴロタのことを指しているんだ。このような場所は、ムラソイのような根魚の補充が比較的良い方で、沖からどんどん別のムラソイが足元へ寄ってくる。

 もちろん無尽蔵に沸いて出てくるわけじゃないから、いつかはいなくなっちゃって釣れなくなる時が来てしまうだろうね。ボクたちは、そういった資源保護の面をちゃんと考えながら、末永く楽しめるようにしたいね。だから、必要以上に釣った魚を持ちかえるのは控えようよ。

 さて、穴釣りと言っても、何だかあまりピンとこないって人のためにも、ザッと紹介しておく事にしようね。釣り場の見方を頭に入れておけば、初めてのポイントへ行った時でも悩む事は無いでしょ。

 一般的に根魚って聞くと、ゴロタの場合だったら沖に向かってルアーをキャストして釣るってのが一般的だよね。だけど、ムラソイってやつは、信じられないくらいに足元へ潜んでいるんだよ。驚く事に、水深がナント10cm程度の場所でだって釣る事ができるんだ。

 ところで、海には潮の干満があるのは知っているでしょ。この潮の干満が、ゴロタの穴釣りには重要な意味を持っているんだ。単刀直入に言っちゃうと、潮のド干潮で下げている時が、ムラソイの穴釣りにはベストのタイミングになるんだ。その理由をついでに説明しておこう。

 つまり、岸に向かって接岸してくるムラソイたちは、春の産卵を控えて、満潮の時には水があっても、干潮の時には水がなくなるほどの浅場へ集まってくる。これは、産卵を控えて動きにくくなった重い体を考えて、少しでも少ない行動量で、より多くのカロリーを得るのが理由だと思っている。

 ムラソイやカサゴのお腹から、カニやエビが出てくるのは、そう言った理由があるみたいだよ。例えばカニだったら、岩の上でウロウロしていて、時には波によって岩からズリ落ちたりするでしょ。そんな時にムラソイが下にいたら、労せずして自分の上からユラユラと落ちてくるカニを食べる事ができる。

 ベイトフィッシュを追いかけてお腹を空かすより、ジッとしていてもエサにありつける方が良いのは、ムラソイも人間も同じなんだよね。だから、春のムラソイたちは、極端な浅場にだって平気で寄って来るんだよ。分かってくれた?

 では、何で干潮時が良いのかを説明しよう。満潮時にも釣れるんだけど、潮が上げている時って、波の立ち方も荒いから、アングラーの立場としては釣りにくいよね。潮が下げて行く時だったら、大きな寄せ波が来る事も少ないから、それだけ釣りやすくなるでしょ。

 しかも、潮が下げる事によって水が無くなっちゃうから、少しづつ沖側に移動するでしょ。つまり、ド干潮の時には岸と海との境目にブレイクラインが来るケースが多く、そこには干潮によって移動せざるを得なかったムラソイも集まってしまうんだ。結果として、岸から一定のエリアは、ムラソイの魚影が極端に多くなるって訳なんだよ。

 では、どうやって釣るか。前記のようなポイントを知っていて、何でムラソイが釣れる場所が集中するかなどの知識を知っていれば、特別に難しい事を考える必要はない。ムラソイを脅かさないように注意して岩の上を歩くとか、岩のエグレに隠れているムラソイを、掛けてから根に潜ってエラを張られないように注意すれば良いんだよ。

 穴釣りのパターンとしては、疲れない程度に長めのロッドが有利なんだ。それは、少しでも足を動かさずに、広範囲を攻める事ができるからなんだよ。まあ、長くて7ftくらいだったら、女性や子供でも楽に扱えると思うよ。あまり堅苦しく考えないで、手持ちのバスロッドや硬めのトラウトロッドで十分なのさ!

 ラインはPEである必要は全く無く、一般的なナイロンラインで十分に事は足りる。ボクは8ポンドライン直結でやる事が多く、伊豆半島では1/8OZのジグヘッドを中心に使っている。エコギアのグラスミノーだったら、Mサイズがちょうど良いくらいのフックサイズだね。

 ソフトルアーも、これより小さいサイズを使う必要はない。だって、そのサイズを食わえられないようなお子様サイズを釣ってもしょうがないでしょ。それに、Mサイズを使ってても、10cmくらいのは普通に掛かってきちゃうんだよね。口が大きいからねぇ、ムラソイは!

 釣り方だけど、とにかくムラソイの性格上、沈める途中でバイトすると思っていた方がいいよ。大抵は着底する前に飛びついてきて、そのままの勢いで岩の下へ隠れようとするんだ。そんな生態だから、沈める時はラインを張ったままで、波の動きを利用して岩の下へ流し込むように操作してやる。

 アタリを感じたら、そのまま一気に抜き上げるつもりでアワセちゃおう。この時、ラインが岩肌へ擦れないように、エグレの反対方向へ引くのがコツなんだよ。万一根に潜られて動かなくなっちゃったら、諦めないでラインを弛めて一服しよう。通常は、30秒程度待っていれば張っていたエラを閉じるから、一気に引っこ抜いちゃえばあっさり出てきちゃうんだよね。

戻る