このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
1999/06/17号 に掲載された記事です

夏の風物詩マゴチを狙え!
 ちょっと前にワニゴチを紹介したけど、今回は本物のマゴチだよ。一年中釣れる魚なんだけど、いつが最も釣りやすいかって言うと、やっぱり初夏なんだよなぁ。

 昔から東京湾では、マゴチのエビエサ釣りって有名だけど、これがまた、ルアーでも釣れちゃうんだ。当然、全国各地のルアーマンたちも、様々なルアーをキャストして狙っているよね。それなりに釣れて、そこそこのサイズでファイトも楽しめちゃうから、シーバス、ヒラメ、マゴチってのは、代表的なターゲットって訳なんだね。

 さて、このマゴチのベストシーズンだけど、一般的には真夏の釣り物イメージがあるけど、最近では初夏と言うか梅雨後半の釣り物と言った方が現実的かも。だって、真夏の頃より、梅雨時の方が大きいのが釣れるんだよ。岸からルアーをキャストして、60cm級の大型マゴチだって釣れちゃうんだから。

 特に、夕マヅメはマゴチと切っても切れないゴールデンタイムで、意外なほどに釣りやすいんだ。最も良いと思われている時間帯は、どうあがいてもシーバスの人気にはかなわない現実があるでしょ。でも、それだけにゴールデンタイムにマゴチを専門に狙っている人って、決して多くはないんだよ。

 今でこそ人が多くなって来たけれど、ちょっと前まではマゴチを狙うポイントって空いてたからね。自分の好きなポイントに陣取って、納得のいく条件でルアーをキャストできた。もちろん魚影も濃かったし、それらしきポイントへルアーをキャストして、適当に動かしていれば釣れたものなんだよ。

 ところが、ここ数年でマゴチの釣りやすい条件が知られるようになってからは、各地のポイントはマゴチ狙いの人で埋め尽くされる事だってある。そんな中で、人より少しでもヒットのチャンスに恵まれるためには、やっぱりポイント選定や時間帯などに左右される。

 それじゃあ、マゴチを釣りやすい条件って何なんだか分かるかな。この時期のマゴチは、産卵を控えて浅場で荒食いをするでしょ。だからマゴチがエサを食べやすい状況の場所を探しちゃえば、釣る事自体はそんなに難しくないんだよ。

 例えば前の方でも書いたけど、基本的にはマヅメ時が捕食に対する活性が高まるでしょ。これにはそれなりの理由があるんだよね。マヅメ時には、岸に近い場所へマゴチの好きなベイトフィッシュが集まるからなんだ。えさ釣りのイメージからすると、何となくシロギスやメゴチしか食べてないって思ってる人もいるみたいだけど、実際には色々と食べているみたい。

 テトラ際にいるエビを食べる事もあるし、水深の浅い場所だったら小さなボラだって主食にしちゃう。つまり、マゴチも典型的なフィッシュイーターだって事なんだ。それならみんなも思い当たる場所ってあるでしょ。シーバスを狙っているような場所も似ているよね。

 ボクが好きなのは、港内に流れこんでいる川の河口周辺だ。伊豆半島にも、そんなシチュエーションのポイントは数多くあるよ。その周辺にテトラや堤防があったら、結構狙ってみる価値があるかもね。だって、そういった場所って小魚が集まりやすい条件が揃っているでしょ。いわゆる食物連鎖の基本だよね。

 夜の間、そういった場所に小魚は身を寄せるために集まってくる。最も集まりやすいのって、夕マヅメに満潮が重なるような時だから、そんな場所と時間帯、そして潮を選んで釣行すれば、マゴチのヒット率って意外なほど高いんだ。そこから徐々に潮が下げていく時間帯、すなわち満潮から潮が下げ方向に効き出すと捕食を始めるんだよ。

 ずばり、夕マヅメに満潮が重なっている日で、完全に暗くなる頃に満潮から2時間くらいってのが、ボクの実績ではダントツの結果が出ているんだよ。特に、大潮から中潮にかけてなら、湾内でもそこそこの潮の動きがあるから、マゴチから何らかの反応が来るはずだよ。

 さあ、それじゃあタックルを紹介しちゃおうか。世間一般には、シーバスタックルを流用している人がいるけど、現実にはそんなに大袈裟なタックルを使っても疲れるだけ。よほど遠投が必要だとか、ガンガン流れている川の中から引きずり出すんじゃなけりゃ、湖用のトラウトタックルで十分だよ。ボクは7ftのトラウトロッドで、リールにはナイロン8ポンドを直結して使っている。

 ルアーには、ジグヘッドリグや大きくても9cm程度までのミノーを使うんだ。とにかくマゴチを拝みたい人には、やっぱりソフトルアーを使ったジグヘッドリグが無難だろうね。一発大物に興味のある人だったら、大きめのミノーを使った方が良い。どうもソフトルアーを使うと、信じられないくらい小さなマゴチも釣れちゃうみたい。

 ポイントに立ったら、まずは狙いを定めよう。前の方で説明したように、ベイトフィッシュの集まりやすいのは、川の流れと上げてきた潮のぶつかり合う場所だ。上潮で集まっていたベイトフィッシュが、潮の下げ始めと共にバラケ始める。この時が、マゴチの活発に捕食する時なんだ。だからポイントは潮が上げている時間帯に見極めておき、その場所を決めておく事が大切なんだよ。

 ルアーをキャストしたら、基本的にはスローリトリーブだけ。注意したいのは、ルアーがあまり浮き上がらないようにコントロールする事だよ。マゴチはそんなに広範囲を追いかけてくれないから、ボトムに貼り付いたマゴチの目の上をルアーが通過するようにイメージするんだ。

 アタリは手元にハッキリ伝わってくるから、ルアーを食わえて反転したマゴチの重さを感じてから、硬い口へ突き刺すようにしっかりアワセよう。大型になれば、ドラグを出すほどのファイトなので、流れのある場所では無理しちゃダメだよ。

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