このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
1999/07/01号 に掲載された記事です

オフショアのカサゴでテクニックを磨こう!
 ゴールデンウィーク頃にかけて、岸近くの浅場でカサゴたちが産卵しているのは知ってるかな。その年によって、産卵のタイミングは多少変化するけど、春先から初夏にかけては、昼間でも十分に活性の高いカサゴと遊べちゃうんだよ。

 みんながこれを読む頃は、ちょうど絶好調の時じゃないかな。でも、このカサゴたちも徐々に深場へと戻って行っちゃう。と言っても、しばらくの間は浅場から急激に落ち込むブレイクに潜んでいるんだよ。

 例えば岸から届く範囲では、ダラダラした浅場が続いてるとするでしょ。そんな場所は、その先に急激なドロップオフがある事が多いんだ。カサゴ釣りで有名な真鶴半島の三ツ石では、先端の右側にそんな場所がある。もちろん岸から普通に攻めたら届かない。でも、船からだったら意外なほど簡単に攻略する事ができるんだ。

 伊豆半島にも、規模は小さいけどそんな場所が多くて、沼津の木負や西伊豆の田子湾なんかに多い。沼津から西伊豆に掛けては波の無い湾が多いから、手漕ぎボートでポイントの上から直撃するって方法もあるんだよ。これは凄く効率的な釣り方なんだ。

 そこで今回紹介するのは、乗合船・仕立船や、手漕ぎボートを使った、オフショアからのカサゴ釣りのテクニックだよ。冬の間に岸からあまり釣れなかった人も、船から攻めれば意外なほど簡単にカサゴが釣れちゃう。とにかくカサゴをルアーで釣ってみたいって人には、絶対にお薦めの釣りだと思うんだよね。

 乗合船や仕立船で有名なのは、伊豆半島の東側にある真鶴半島。その半島の西側の付け根に福浦港っていう小さな港があるんだ。この周辺には、なかなかのカサゴのポイントがあり、この港の「まるせ丸」はルアーで釣らせてくれる。自分自身もルアーのアングラーだから、ルアーのやりやすい操船をしてくれるのが魅力なんだよ。

 一般的に船からのカサゴ釣りと言うと、ヘビーウエイトのダウンショットリグを思い浮かべちゃう人もいるでしょ。だけど、まるせ丸での釣り方はそれだけじゃないんだ。船底が擦りそうなほどの浅場にも船を入れて、岸に届くようなポイントまで釣らせてくれる。岸からは届かないけど、普通のエサ釣りの船が攻めないような浅場だから、カサゴさえいれば比較的簡単にヒットさせる事ができるんだよ。

 だから、タックルも陸っぱりでキャスティングしているのと同じ物で良いんだ。ただ、感度を重視して根掛かりを避けて釣りたいから、PEラインを基本に考えて欲しい。目安はPE10ポンドと覚えておこう。これより細いと、岩肌で簡単に切れちゃうし、太いと潮の影響を受けて操作しにくいし、アタリも取りづらい。少しでも有利にゲームを組み立てる事は、無駄な根掛かりで根が荒れる事を防ぐ意味もあるんだよ。

 さて、この根周りを釣るカサゴ釣りで、みんなが頭を悩ませちゃうのって、たぶん根掛かりの多い事なんじゃないかな。一生懸命釣っているのに、キャストのたびに引っ掛けてたら釣りにならないよね。でも、みんなが思ってるほど、船からだと根掛かりしないんだよ。

 岸から釣ってると、波に打ち寄せられたラインが岩に潜りやすくなるけど、沖から岸に向かって釣っていると、岩に挟まっちゃうなんて事がそれほどないんだ。だからジグヘッドなんかが岩に挟まっちゃうタイプの根掛かりはあまり無くって、フックがカジメなどの海藻に刺さっちゃうケースがほとんどなんだよ。

 ここで注意して欲しいのが、船はいつも動いているってこと。どんなに船長の操船が上手くったって、船は潮やウネリの影響を受けて上下左右に揺られちゃう。そんな時に何も考えずラインを張っていると、岩の間に挟まることもあり得るんだ。

 こんな時のためにも、感度重視のタックルを使っている必要があるんだよ。つまり弛んだら巻き取り、張りすぎたら送り込むといった基本的な動作を、自分のテクニックで保証してやるんだ。これができれば、カサゴはストレス無くあっさりバイトしてくれる。もちろん根掛かりもほとんど無い。

 大切なのは、ボトムのイメージを常に思い浮かべること。それから「根掛かりをさせないぞっ!」って常に思って釣る事なんだ。根周りを釣るカサゴ釣りでは、根掛かりさせない事が、ヒットへの近道だって事を忘れずにね。

 カサゴはワームを食わえながら巣に戻っているから、アタリの後にカサゴの動きを感じてから軽くテンションを加えて、更にハッキリしたアタリの時にしっかりアワセてやるんだ。飲み込んでいる時は、一気にアワセるとすっぽ抜けちゃう事もあるから、口からワームを引きずり出しながら、最後にガシッとフッキングさせるつもりでアワセると上手くいくよ。

 もし根に潜られちゃっても大丈夫。岩の間でエラを張っているだけだから、無理に引いてラインブレイクさせるのはもったいないでしょ。しばらくラインを弛ませて待ってれば良いんだよ。カサゴだってしばらくすればエラを元に戻すから、30秒程度待ってから、気づかれないように一気に引っこ抜いちゃえばOKなんだ。

 確実にフッキングさせたカサゴは、そう簡単に外れちゃうことは無い。だけど、また根に潜られちゃう事もあるから注意しようね。とにかくラインを弛ませないで、一気にリールを巻いて寄せちゃおう。しっかり掛かっていれば抜き上げちゃえば良いし、掛かりが浅かったらネットですくおうね。

 どうかな。船だったらカサゴの潜んでいる場所を狙いやすいし、バイトのチャンスもグッと多くなるでしょ。少しでもチャンスを多くして、自分自身のテクニックを磨いてみない?!

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