このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
1999/09/09号 に掲載された記事です

メッキはライトターゲットの王様だ
 毎年、夏の終わり頃になると、ドキドキしながら待ち望んでいるターゲットがいる。これを釣ってこそ、ライトタックルルアーを制した気分になれるターゲット、それが今回紹介するメッキだよ。メッキをよく知らない方のため、先に簡単な説明をしておこうね。

 メッキってのは南方系の魚で、関東圏には夏の終わり頃から姿を見かけるようになる魚なんだ。黒潮や台風による荒れた潮に乗って、南の海から回遊してくる。元々水温の高い海に生息している魚だから、南に比べて水温が低いこっちの方面では、水温の低下する冬になると生き続ける事ができない。このように、せっかく回遊してきても大きく育つことなく死んでしまう回遊魚の事を、死滅回遊魚と呼んでいる。

 メッキってジャイアントトレバリー(GT)で有名なロウニンアジや、ちょっと小型のギンガメアジの幼魚の事なんだ。ギンガメアジは、水族館などでも泳いでるのを見かけるよね。最近では、ロウニンアジやカスミアジが泳いでいる場所もあるんだよね。見た事あるかな?

 伊豆半島が超有名フィールドだけど、他にも実績のある釣り場はたくさんある。ベイトフィッシュの多い場所だったら、サーフや磯場でだってメッキを釣るチャンスはある。この時期、波打ち際などで小魚を追いかけている姿があったら、必ずしもワカシやカンパチだけとは限らないんだ。ルアーサイズを小さくした途端に、メッキが爆釣なんて事だって十分にあり得るんだよ。

 さて、陸っぱりのターゲットとしては、珍しく真っ昼間に釣れるターゲットで、冬だってポカポカ陽気が続けば釣れるチャンスは残されている。だからメッキの釣れるシーズンは、夏の終わりから初冬までのロングランと考えていいんだよ。ひと口にメッキと言っても、釣り場の状況によって釣り方やタックルも異なってくる。それらをここで全て紹介するにはページが足りないから、基本的な伊豆半島をベースに紹介してみる事にしよう。

 例えば昨シーズン絶好調だったのが、南伊豆の青野川河口周辺だ。一般的には河川内を攻める人が多かったんだけど、実際に好調を持続していたのは、その横の弓ヶ浜側の石積み堤防だった。波打ち際から先端までを居ついたメッキがグルグル回遊していたから、10分に1度は群れに当たって爆釣できたんだ。

 とにかく回遊しているメッキにアピールさせるためのルアーとアクションがキモとなり、それを意識した釣り方を駆使した人が良い結果を出していたみたい。今回は、それに最も適しているタックルとテクニックだけを紹介してみようね。更に他の詳しい事を知りたかったら、ボクの出版している単行本やムック本を読んで参考にしてちょうだい。

 まずタックルだけど、連続的なトゥイッチを行うから、ロッドは6ft以下のトラウト用のもので十分。ボクが好んで使っているのは、渓流でヤマメやイワナ狙いで使うミノーイングロッドだよ。軽いし飛距離は出せる。その上ヒットさせてからのパワーもそこそこあるんだ。シャキッとしたタイプを選べば、操作も楽になるんだ。

 いくらトレバリーと言っても、やっぱり幼魚である事には変わりないから、できる事なら硬いロッドよりも柔らかいロッドで楽しみたいと、ボク自身は常々思ってる。背中を出してルアーを追ってくる姿に興奮して、ヒットしてからの平たい魚独特の引き味を楽しむのが、この釣りの醍醐味と言えるだろうね。

 ラインはソルト用のものを使うようにしよう。長時間の連続的なトゥイッチをやってると、ラインにもかなりのストレスがかかる。フレッシュウォーター用のラインは、潮の付着によってラインが重くなるものもあり、小気味良いアクションをさせたいこの釣りでは、そういった面でもソルト専用でやってみたい。

 ルアーは小型のミノーを基本に考えておけば、初めてでも安心だ。とにかくキャストしたら一気に動かし始めるんだ。勘違いしないで欲しいのが、ルアーを動かす速度だよ。リーリングを速くするのじゃなく、動いているルアーを止めない事が大切なんだ。常にチョコマカと動かし続け、弱った小魚がヨタヨタとキラメキながら泳いでいる姿をさせてやるのがコツだね。

 ボクがこの原稿を書いている8月初旬現在、伊豆半島には既にメッキたちは入り込んでいた。まだ10cm程度の超小型が多かったけど、それでも相変わらずの元気さを見せて楽しませてくれている。9月になれば海水浴客も減り、海の家などもしまるところが多くなる。そうなれば僕達が楽しめるフィールドも多くなるから、思いっきり伊豆半島のドライブフィッシングを楽しめる季節の到来だね。

 シーズン当初の狙い目は、港内の船揚場スロープや、波の静かな湾内のサーフだ。メッキを釣っていて嬉しいのは、マヅメ時にこだわらなくても、日中十分に相手をしてくれる事だよね。毎日かなりの広範囲を回遊しているから、それを探しながら移動してみるといいね。

 昨シーズンは西伊豆が居つき狙いで、南伊豆が回遊狙いというのがパターンだったけど、今シーズンはどうなるかが楽しみだ。特に海が荒れた後には、大きな群れが港内に入ってくる事もある。台風が通過して海の荒れが落ち着いた頃には、伊豆の海はメッキフリークでいっぱいになる。今年は皆さんも、このメッキアングラーに仲間入りしてみたら?

 最後になるけど、今年はボクが自分のブランドでメッキ用のルアーを発表する予定だよ。特に伊豆半島のメッキに的を絞っているから、興味のある人は注目していてね。ボクのインターネットホームページで紹介するからね。去年のメッキ特集も参考にするといいかもね。

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