このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
1999/09/23号 に掲載された記事です

手漕ぎボートでカンパチを狙う
 沖の方ではカツオやメジが騒がしくなり、だんだんと秋の魚たちにターゲットが移ってきている。秋といえばイナダやカンパチだよね。カンパチの小さいのを、この辺りではショゴって呼んでるけど、それが案外簡単に釣れるんだよ。

 夏の間はサーフでワカシに混じって釣れていたショゴが、少しだけ大きく育って沖で釣りやすくなる。3040cm級が、ジギングなどのターゲットとして楽しめるんだ。

 通常はジギングでボトムを攻めるんだけど、場所によってはブイ周りでも釣る事ができる。しかも、ボトムから誘い上げてこれれば、ショゴはそのまま水面でウロウロしている事も多いんだ。そんな時に出会えれば、目の前に居るショゴが、全部釣れちゃうなんてことも決して珍しくないよ。今回はそんな嬉しいターゲットのショゴ(カンパチ)を紹介してみよう。

 カンパチって魚は、本来ボトムに多く棲息している傾向のある魚で、夏の終わり頃になると一部を除いて岸からは釣りにくくなる。みんながこれを読む頃には、たぶん船で狙わないと難しくなっているんじゃないかな?

 だけど、それくらいの手軽に釣れるサイズを専門に釣らせてくれる船なんて、そこらにいくらでもあるって訳ではない。真鶴半島などでは、このショゴの魚影がすこぶる濃い年があって、そんな時にはカッタクリで釣らせてくれる船が出ることもある。でも、そのほとんどが仕立船なんだけどね。

 そこで、大きな船で専門に大人数で釣りに行くんじゃなく、手漕ぎボートで小さなポイントをこまめに拾って行く方法をお薦めしたいんだよね。ショゴは群れで回遊している事が多くて、ブイのロープや海底の根なんかに足を止めると、入れ食いで釣れる事がほとんどだ。

 つまり、1尾でも釣れる場所を見つければ、そこで釣果を伸ばす事も可能だし、毎回同じ場所に他の魚が居つく事も多いから、1度釣れた場所って毎回釣れるんだ。だから、どんな小さなポイントでも丁寧に拾い釣りしていけば、1日が終わってみると大漁ってこと!

 まあ、毎回そんな調子の良い事にはならないかも知れないけど、手前船頭で気楽にルアーを楽しむのもいいもんだよ。だから、今年の秋は手漕ぎボートでショゴを釣りに出かけてみようよ。

 手漕ぎボートでの釣りとなると、海が穏やかで風の影響をあまり受けない場所が釣りやすい。特に、ジギングという性格上、アンカーロープを降ろしてからノンビリ釣り始めるなんて事はない。そんな事しちゃったらショゴも逃げちゃうだろうし、それに水深も深いから大変だよ。

 潮の流れや風を自分で判断して、ジグを沈めてボトムに着底した頃、ボートがポイントの真上で、更にラインが真下となるように調整するんだ。それができれば、カンパチさえ居ればジギング開始直後にヒットしてくれる事が多いよ。

 まずはタックルだけど、前記のようにカンパチと言ってもショゴと呼ばれるサイズは小さい。湾内で釣れるのは、大きくても40cmくらいがいいところだろう。だから、手軽さと釣り味を楽しむために、ボクの場合はバスタックルを流用して使っている。ベイトでもスピニングでも、自分の好みのタイプを使えば良いと思うよ。

 ボクの場合は、魚を掛けてからのやり取りが楽だと感じている、スピニングタックルを使っている。ショゴはメチャクチャな動きが大好きなんだから、高速リトリーブの必要はない。だからむしろ、重心が上にあるベイトタックルよりも、下にあって安定しているスピニングタックルを使うことが多いんだよ。

 手漕ぎボートの上は狭いから、ロッドの長さはどんなに長くても7ft以下が便利だね。ボクは6ftのヘビキャロロッドなんかを多用しているよ。リールには、伸びの少ないPEラインを使う。ジグにジャレついてくるショゴを確実にフッキングさせるには、キビキビと動かせるという意味で、絶対的にPEラインが有利なんだ。

 ラインの太さは、1520ポンドの強度があれば十分。20ポンドを超えるものは、間違っても必要ない。太ければ太いだけ、潮の影響を受けて釣りにくくなるし、抵抗が大きくなる分、沈めている間にボートがたくさん流されちゃう。細ければ早く沈められるし、潮の影響を受けにくいから有利だよ。

 但し、あまり細いラインを使うのも考えものだ。10ポンド以下を使っていると、激しいジギングの最中に切れちゃう事もあり得るよ。伸びの少ないPEだから、瞬間的な衝撃のようなシャクリに耐えられない時もあるんだ。ロッド先端に絡んで切れちゃうこともあるから、ジギングに不慣れな人は、20ポンドから始めるのが無難かも知れないね。

 ショックリーダーは、ちょっとしたキズでも簡単に切れないフロロをお薦めしたいね。ナイロンでも十分なんだけど、狙うポイントの特徴として、ロープや根ズレの可能性もある。だから、わずかなキズで弾けて切れちゃうナイロンリーダーより、フロロリーダーの方が安心して有利に釣れるんだよ。

 メタルジグは、水深にもよるけど2840gまでだね。DUELのアイルメタルは、かなりこういったアクションを意識して作っているから、最初のジグとしてもお薦めできる。カラーは、ブルーを主体に考えて、濁りが入っていたら金オレンジで、強い濁りだったらパールやグローが強さを見せてくれる。

 ボトムまで沈めたら、とにかく小刻みなストロークでシャカシャカとシャクリ上げてこよう。大抵はボトムから5m程度のレンジで勝負がつくし、それを3回ほど繰り返せば何らかの反応がある。反応が無かったら、あっさり諦めて別のポイントへボートを移動させるといいね!

戻る