このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
1999/11/04号 に掲載された記事です

楽しく釣れるゴロタのアナハゼ
 メッキのドキドキする感覚を十分に楽しんだら、次はノンビリ楽しく遊ばせてくれるアナハゼをターゲットにしてみよう。沼津から伊豆半島にかけての堤防からゴロタには、無数のアナハゼが集まっていると言ってもいいくらいだ。

 アナハゼを知らないアングラーのために、どんな魚かちょっとだけ紹介しておこうね。写真を見てもらえば大体分かると思うけど、一言で表現しちゃうと、小さなアイナメの口をカサゴにしたような感じかな。とにかくからだの小ささの割には、ガバッと開いた口がでっかい!

 からだの表面は、ちょっとばかりヌルヌルしていて、大きな口にはザラザラしたこまかい歯が並んでいるから、親指を入れてのバス持ちすると、結構親指の腹がザラザラになっちゃうくらい。こう言うと、なんかちょっとドキドキしちゃいそうだけど、別に毒を持っているわけじゃないから安心してね。

 どんな所にいるかって言うと、障害物があれば様々なところに潜んでいるんだ。例えば漁港の岸壁に張り付いているとか、係留してある船のロープに乗っかっているなんてのも見たことがある。もちろん遠浅のゴロタ磯なんて、アナハゼにとっては絶好の棲家って言えるだろうね。

 ボクがよく遊びに行く場所は、西伊豆の戸田港の御浜崎。ここの堤防では石積みの岩の隙間にた〜くさんのアナハゼくんが隠れている。穴の上でミノーを通過させると、ヒョコンと顔を出してくる。とぼけたようにユーモラスな動きをして、少しづつ動いてくるんだ。

 一気に飛び出してきてフッキングする事もあるんだけど、アナハゼを釣っていて最も楽しいと思うのは、ルアーにつられてヒョコヒョコと追っかけてくる姿だろうね。これは1度でも経験すると、絶対に病み付きになる。猫じゃらしでもやっているような錯覚にさえ陥る事もある。みんなにも、是非遊びに行ってみることをお薦めするね。

 そうそう、ボクの知る限りで一番魚影の濃いのは沼津周辺で、中でも木負のスカンジナビア号横の狭いほんのわずかなゴロタ場だ。風の無い海の穏やかな日に行ってみると、水深わずか30cm程度の超浅場から、アナハゼたちが一生懸命ルアーを追ってくるのが見える。

 最初は広範囲にキャストしてチョコマカ動かしながら誘ってくる。そうすると、周囲にいたアナハゼはみんな集まってきちゃうんだ。そうやってアナハゼを近くに集めてから、サイトフィッシングを楽しむのが、アナハゼ正統派の楽しみ方かな!

 さて、アナハゼと言ってもバカにしちゃぁいけないよ。魚の反応を見ながらルアーを操作するにはうってつけのターゲットなんだから。これをしばらくやっていると、見えない場所でルアーを操作していたって、海の中でのイメージができるようになってくる。当然食わせの間や、ルアーをアクションさせた時の魚の動きをイメージできるってわけ。

 タックルは、ホントに小さな魚を相手にするものでいいよ。根掛かりする事も滅多に無いだろうし、いくら歯があるからって簡単にその鋭さで切られるような事は無い。だからペニャンペニャンのトラウトロッドで十分だ。硬いロッドなんか使っちゃったら、何やってるんだか分からなくなっちゃうよ。

 ボクは6ft以下の渓流用ミノーイングロッドを使っている。短めの柔らかいロッドに小さなリール、ラインは3〜4ポンドだね。ラインの太さで反応が変わる訳じゃないけれど、小さなルアーを思い通りに動かすには、これ以上太いと少々かったるいかな。

 とにかく軽いルアーを使うから、できるだけ糸グセが付きにくい柔らか目のラインを使うと安心だね。硬いゴワゴワしたラインを使うと、どうしてもライントラブルが多くなっちゃう。柔らかめのナイロンがベストチョイスだね。

 ところで、いくらアナハゼと言っても、しつこく攻めていたらいい加減飽きて反応しなくなってくる。そうなってしまったら手遅れだから、なるべくスレさせないで長時間楽しめるようにしてみよう。つまり、ルアータイプをローテーションする事で、アナハゼの好奇心を長続きさせるんだ。

 まず最初はフローティングミノーを使う。ボクはアイルSR50のホログラムブルーを使う。これで集魚させちゃおう。前にも書いたけど、サイトフィッシングを楽しむなら、自分の目で見える範囲にアナハゼを集めておく必要がある。ちょっと速めのリトリーブでチョコチョコ動かしながらリトリーブしてくれば、気がつくと足元には無数のアナハゼが集まってくるはず。もちろんそこにアナハゼゼが居ればの話しだが。

 今度は狙いたいアナハゼのちょっと向こうにキャストして、目の前でミノーの頭をお辞儀させながら超小刻みなトゥイッチをやってみる。ほとんどは、その時にピュンと浮き上がってきてフッキングとなる。

 そのうち反応するけど追ってこなくなるはずだ。そうなったら、次はジグへドリグだ。1インチでテールがピラピラしたカーリーテールタイプが反応はいい。カラーはチャートリュースを多用する。これを使い、アナハゼの目の前を通過させてやればいい。目の前でチョンと誘ってやれば、大抵はそのまま飛びついてくる。これだけ釣れば、普通は満足できるよね。

 でも、もっと釣りたいって人は、クリアチューブのラメ入りをチョンがけして使ってみよう。ボトムまで沈めたら、ボトムをチョンチョン小突くような感じで誘ってくる。意外なほどクリアの中でキラキラ光るラメが目立ち、一瞬操作している自分でさえも、本物の小魚やエビと勘違いしてしまうかも。

 最後になるけど、アナハゼもボク達にとっては貴重なターゲット。だから、粗末に扱う事の無いように楽しんでみてね!

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