このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
1999/11/18号 に掲載された記事です

指4本のタチウオをゲットしよう!
 魚屋さんの店先で並べられているタチウオって、切り身になっている事が多いよね。だから、頭が付いたままの状態で見たことのある人って少ないんじゃないかな。銀色の魚だって事は答えが返ってくるけど、頭と尻尾がどうなってるかって、一般の人にとってはどうでもいいことみたいだね。

 さて、タチウオって言うと、関西ではそれだけで釣り業界が成り立つほどの、大人気ターゲットだ。ルアーからエサ釣りまで、幅広く人気を持っていて、シーズンともなれば釣り場が埋め尽くされるほどのフィーバーぶりが随所で見られる。

 こんな現象が起きるのも、関西ではタチウオが湾内に毎年確実に入り込んでくれる事が起因しているんだろうね。毎年釣れるから、太刀魚自身が季節の便りみたいになっているのかもしれない。

 関東では、陸っぱりから手軽に釣れるほどの量が接岸してこない。もちろん年によっては、信じられないくらいに入れ食いになる時期と場所もある。でも、これが毎年じゃないし、現実によく釣れるポイントが狭いから、思ったほど人気が上がってなかっただけなのかも。

 ところが、ここ数年で、陸っぱりで釣れるタチウオの数が急激に多くなったような気がする。特に今年は初夏の頃からタチウオの多さがささやかれていた。今まで釣れてなかった茨城県の常磐方面でも、小型ながら手軽に釣れるタチウオにはまっているアングラーが、とっても多かったのは記憶に新しいよね。

 相模湾では江ノ島の裏磯を中心にして、かなりの広範囲で釣れ盛っていた。この時点で釣れていたタチウオは、既に指4本分の体高を持っていた。たしかに小型も混じっていたけど、大型がこれだけ多く混じって釣れる事も珍しいね。単発で大型が釣れる事もあったけど、そんな時って小型は釣れない事が多かった。

 そんな期待を込めて、これからがタチウオ本来のトップシーズンに突入するんだ。静岡県では清水港が有名だけど、沼津周辺でも大型が釣れるのはまだまだこれからだ。9月頃から釣れ始めて、数は少なくなるけど、徐々に大型化していく指4本サイズのタチウオを釣ってみよう。

 タックルの考え方だけど、これはフィールドのシチュエーションによって決めていけばいいよね。例えば足場の高い堤防や磯だったら、これはもう間違いなく10ftクラスのシーバスロッドが有利だ。また、足場の低い堤防でも、時には水面を割ってピョ〜ンと飛び出してくる大型のタチウオもいる。

 本来ならバスタックルで楽しみたいところだけど、やはり大型に狙いを定めて釣るのなら、それなりにしっかりした、シーバスタックルなどを流用する方が安心だね。よほどスレてない限り、いわゆる大きな仕掛けで勝負した方が安心だ。

 ボクがこんな時に使うのは、基本的にメタルジグだ。ミノーを使う方法もやったけど、上層でヒットする事はあまり多くはないから、広いレンジを思い通りに探れるメタルジグをチョイスする事が多いんだ。

 9〜10ftのシーバスロッドを使い、小さなアタリでもフッキングできるようにPEラインを使う。15ポンドが最も多くボクが使っている強度(太さ)だよ。この先にフロロカーボンのショックリーダーを2mほど付けておく。

 食いの良い時はワイヤーを使ってもいいね。でも、渋い時にはワイヤーリーダーを使うと、フロロに比べて釣果が激減する。タチウオは完全にワイヤーを嫌ってる時があるんだよね。それを考えると、ボクはフロロをお薦めしたい。ナイロンだと簡単に鋭い歯で切られちゃうよ。

 メタルジグは、ストレート系だと極端にフッキングが悪くなる。カーブフォールさせた時に、ちゃんと水平姿勢でフォールできるジグが有利なんだ。例えばDUELのアイルメタル、MGクラフトのスキルジグなんかもいいね。ジグのセレクト次第でバイトの数に差が出る事も知っておいてね。

 夜の釣りだから、ジグのカラーはグローモデルを持っていればOK。キャストする直前には、必ずライトなどで蓄光させてやろう。これだけの気配りで、タチウオの反応は変わってくるから面白い。なるべく長時間発光しているという面でも、DUELのグロー(ハイパブライト)はボク自身素晴らしいと思っている。

 ところで、最近YO-ZURIブランドで発売されている、ジグ兵衛タチウオって知ってるかな。魚の頭の形状にしたジグヘッドの上に、夜光のドジョウを乗せた簡易タイプのルアーだよ。ルアーに馴染めない人は、これをキャストしたらタナまで沈め、そのままゆっくりとリトリーブするだけでいい。手軽さと取っ付きやすさを売り物にしている。

 さて、ジグの操作方法はイラストを参考にしてもらおう。とにかくジャークでアピールさせて、カーブフォールでアタリをとる。そのアタリで確実に下顎にフッキングさせるってのが、ボクの理想として考えている釣り方だ。単調なシェイクを交えたリトリーブだけで釣れる時なら簡単だけど、難しい時にチャレンジして、釣れた時の感激も嬉しいよ。

 釣れたらタチウオはやっぱり持ち帰りだよね。食べるために釣っている人がほとんどじゃないかな。美味しいよね、タチウオの塩焼き。熱々の塩焼きに醤油とレモン汁で食べるんだ。あぁ〜、これ書いてたらタチウオを食べたくなってきちゃったよ〜。今夜にでも、近くの港でタチウオの塩焼きでも…じゃなくって、タチウオでも釣りに行こうかな!

 そうそう、美味しく食べるためのアドバイス。もうみんな分かってると思うけど、タチウオって比較的いたむのが早いよね。釣ったらちゃんとクーラーに入れておこうね。保存状態がしっかりしてないと、料理する時に身がとろけちゃって、せっかくのタチウオ料理を楽しめなくなっちゃうよ。

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