このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
1999/12/02号 に掲載された記事です

サーフのシーバス接岸中!
 12月になると、西湘方面の夜はにわかに騒がしくなってくる。騒がしいと言っても、暴れまくって大騒ぎするのではなく、夜な夜なサーフでロッドを担いで徘徊するアングラーが多くなってくるんだ。伊豆半島を中心に、この時期はサーフの大型シーバスをキャッチできる数少ないチャンス到来ってわけだね。

 駿河湾側と相模湾側では様子が少し違うみたいだけど、特に相模湾側にはこの傾向が強く現れている。昨年は12/20頃から年末にかけて、かなり広範囲でシーバスが爆発したようだね。釣れれば70cm以上は当たり前で、小さくたって65cmくらいだったと記憶している。

 ボクもこの時期には毎晩のように通って、常に1〜2尾の釣果を出す事ができた。時間的には完全な夜だったから、仕事が終わって晩御飯を食べ、寝る前にちょっと1〜2時間だけキャストしてくるパターンが多かったんだ。実際に釣っている時間も、これくらいの短時間で、その日のベイトフィッシュの状況で、キャストする位置を決めていた。

 サーフのシーバスは難しいと話すアングラーも多いけど、実はポイントの絞り込み方さえ覚えておけば、それほど辛い思いをしなくてもいいんだよね。去年、某誌でも「シーバスの待ち合わせ釣り」と称して紹介したんだけど、一般的なサーフの河口域以外にも、シーバスを釣りやすい場所と言うのは存在するんだ。

 それにはシーバスの捕食をある程度知っておく必要があるね。つまりこの時期にサーフを回遊するシーバスは、完全に捕食を目的に集まっているって事だ。だから、当然エサになるベイトフィッシュが多い場所を知っていれば、シーバスもそこに集まっているはずなんだ。

 西湘ではちょうどこの時期になると、波打ち際を中心にコノシロが大挙押し寄せてくる。時には夜になると、沖で網を引いて獲ってしまうほどだ。だから、時にはコノシロを網で獲っている船の明かりを頼りに、その夜シーバスを狙うサーフを決めるのもいい。まあ、ベイトフィッシュの群れも毎年同じような場所に集まるから、おのずとシーバスを狙うエリアも決まってくるけどね。

 ただ、エリアが決まっても、まだまだ広大なサーフではポイントの絞り込みが難しい。では、どうやってポイントを具体的に絞り込むか。それはやっぱりベイトフィッシュの存在を知ることなんだよ。サーフに立ったら、その日に攻めるエリアを最初に決めちゃうんだ。それで数投づつキャストして、ルアーにベイトがゴツゴツぶつかってくる場所を探すんだ。2〜3回キャストして表層をリトリーブしてくれば、何となくぶつかっているベイトフィッシュの量は分かってくるはずだよ。

 西湘では、後方に西湘バイパスがあって、その明かりが海を照らしていたりする。その明かりの境目に、最もベイトフィッシュが集まっているケースが多いみたい。それとサーフの形状にも注意しよう。よく見ると、サーフには引き波と寄せ波でできた山と谷があるよね。その山が多い場所が何ヶ所かあるから、その山の両脇にできる引き波の先で、最もベイトフィッシュの多い場所を探し出す。こういった場所が、全て重なっていれば、シーバスは捕食を最も高活性で行なうと考えていいようだね。

 ボクのパターンとしては、最初に明かりの下に行く。それから波打ち際にしゃがんで、大きな山を2〜3ヵ所見つける。次に、その山の両脇へルアーをキャストして、その中でベイトフィッシュが最も多くぶつかってくる場所を探すんだ。その間、およそ30分くらいかな。そこが、その夜ボクがキャストを続けるポイントになるんだ。

 この時期は、それだけベイトフィッシュが多くて捕食の条件が揃っていれば、滅多な事で外れはない。そのポイントを見つけたら、およそ30分もキャストすれば、いつも結果は出ていたから。つまり、くるべきポイントを見つける目こそが、サーフのシーバスを攻略するための秘訣なんだ。そのためにも、頭を使って考える事が大切なんだよね。

 普通はみんな河口がある場所へ行っちゃうから、ボク達が行く場所って言うのは未だに貸し切り状態が多い。それだけ一般的には、情報だけに左右された釣りをしてるって事なんだろうね。自分でポイントを見つけて釣る楽しみっていうのを、どんどんみんなにはやってほしいと思っている。ポイントって言うのはいつも同じじゃなくて、微妙に毎回変化していくものなんだ。だから同じポジションに立っていても、釣れる時と釣れない時がある。

 簡単にタックルを紹介しておこうね。ロッドはやっぱり遠投を意識しておこう。ただ、必ずしも遠投が必要なのではなくって、波で揉まれにくくしたり、ランディングを楽にするためと考えてもらえばいいね。沖めでバイトする事は少なくって、ほとんどがサーフの波裏でヒットしてくる。アングラーが少なければ、斜めにキャストしてアピール距離を長く取ることも可能だね。

 ラインは12ポンドで十分なんだけど、ショックリーダーはあった方が安心だよ。ボクは直結でやっちゃう事もあるけど、砂ズレや魚体、歯へのこすれを考えたら、30ポンド程度を付けておきたい。波に乗せて引き上げる時も、リーダーをつかんで引きずり上げちゃえば楽だしね。

 ルアーは大きめの125mmで十分だよ。ベイトの中でアピールさせるには、もっと大きくてもいいと思ってる。なんたって、この時期のコノシロって20cmくらいだから。西湘ではあまり深く潜らない方が良い結果の出る事が多くて、アイルマグネットでバイトが無くても、アイルマグネットDBにチェンジした途端にヒットする事も多い。それだけシーバスが、表層を意識しているんだと考えて良さそうだね。ロッドを立ててちょっと速めのリトリーブってのが、ボクの釣り方だね。

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