このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
1999/12/16号 に掲載された記事です

エギングはスミイカにもバッチリ
 エギングって聞くと、普通はアオリイカを思い浮かべるよね。ボクもアオリイカのエギングは、数あるイカ釣りの中でも大好きだよ。でも、エギングやっていると、実際には色々な種類のイカが釣れる事ってあるよね。

 スミイカ、スルメイカ、アカイカやヤリイカといった、コウイカタイプから細長いイカまで、幅広く釣る事ができる。細長いタイプのイカっていうのは、群れが接岸している時にしか釣れないけど、スミイカやシリヤケイカと呼ばれるコウイカタイプは、釣れ始めると比較的長期に渡って姿を見ることが出来るんだ。

 その中でも、伊豆半島を中心に釣りやすいイカと言ったら、やっぱりスミイカが一番有名なんじゃないかな。特に南伊豆の下田港では、毎年暮れからお正月にかけて、スミイカの群れが岸壁に居ついてくれる。しかも嬉しい事に、スミイカって昼間でも釣れるんだ。関東で釣れるイカって、わりと夜釣りが多いよね。でも、スミイカは昼間でも夜でも、それほど気にしなくても釣れる。もちろん最も良い時間帯ってのはあるけどね。

 さて、このスミイカ釣りだけど、下田港で最も多い釣り方が、スッテを使った胴付き仕掛けだ。仕掛けの一番下にオモリを付けて、その上には2本程度の浮きスッテを枝バリとして付けておく。ルアーに例えるとダウンショットリグみたいなものって言えば、分かりやすいかな。

 スミイカって、岸に寄って来たらそれほど沖には出て行かない。だから、思いっきり遠くへキャストする必要もない。だからエサ釣りの感覚でスッテを使って釣っているアングラーは、最初にとにかく岸壁沿いの足元を狙うんだよ。真下に沈めて、底の方でチョコチョコと動かして誘っている。それで足元で何も反応がないと、軽くスッテの仕掛けをキャストして、巻いては止めるの繰り返しで広範囲を探ってくるんだ。

 でも、ルアーマンだったら、ここでスッテを使わずに、是非エギングで挑戦してもらいたいなぁ。アオリイカのエギングが好きな人だったらなおさらだね。釣り方は同じなんだから、それほど難しく考える必要もない。ただ違うのは、大きすぎるエギを使ったら、ノリがあまり良くないって事かな。3〜3.5号を使えばちょうどいいね。

 これくらいのエギを使うんだったら、本格的なアオリイカに使うエギングロッドを使う必要もない。むしろ、小刻みなシェイキングで誘ったりする事もあるから、7ftくらいのトラウトロッドの方が扱いやすいかもしれないね。バスタックルを使うんだったら、反発が比較的弱めの、低弾性カーボンのロッドを選ぶといいね。あまり硬すぎると、いくら身切れしにくいスミイカと言えども、無理したら身がむしれちゃう。

 ラインはナイロンでもPEでも、それほど釣果に差は出ないように思う。アオリイカのシャクリほどに強烈な音を立てる訳でもないし、かと言ってPEが原因となる身切れが頻繁に起きる訳でもない。ただ、小刻みなシェイクで常にロッドを動かし続ける釣り方が必要な時は、ダイレクトに重さが伝わってくるPEだと手首はかなり疲れるだろうね。

 ボクの場合、それほど長時間釣らないから気にならないけど、一般的にはナイロンラインの8〜10ポンドくらいを直結すれば良いんじゃないかな。8ポンドに1620ポンドくらいのリーダーをつなげてもいいね。PEを使うんだったら、10ポンドで十分だよ。PEの場合には、リーダーは付けた方がいいね。

 エギのセレクトは、前にも書いたようにサイズ基準で決めれば良いと思う。3〜3.5号で、アオリイカ用の大分型や山川型でOKだよ。カンナも全傘、半傘のどっちでも気にしなくていいや。ただ、海底に障害物の多そうな場所では、半傘のカンナの方が根掛かりは少ない。

 釣り方は至って簡単で、スミイカさえ寄っていれば、すぐに何らかの反応はでてくる。最初はやっぱり足元狙いだね。岸壁から2m程度の足元に着水させて、そのままフリーフォールでボトムに着底させる。10秒くらいそのままにしておいて、最初はスミイカが乗っているつもりで強めにしゃくってみよう。このタイミングで乗っている事って案外多いから、最初のシャクリは大切にね。

 残念ながら乗ってなかったら、そのままジッとして10秒くらい待ってみる。今度はチョコチョコと竿先を小刻みに動かしてみよう。海底のエギが震える程度の動きを頭に描きながら、数回シェイクしたら止めて待つ。次はロッドをスゥーッとサビクようにゆっくり動かし、この時にスミイカが触っていれば、徐々にジワァッと重みが加わりながら、クイックイッとスミイカの引きが伝わってくる。

 これを繰り返しながら、しばらく誘い続けてみよう。あまり広範囲を移動してエサを捕るイカではないので、探る位置を横に2mほど移動しながら群れのいる場所を探すのがこの釣りの楽しさと言えるかも。これで探り当てる事ができなかったら、今度は軽くキャストして、出来るだけ広範囲を満遍なく探ってみるのが一般的な狙い方だね。

 それから、シーズン後半になって極端に渋くなると、全く誘わないほうが良かったなんて事もあるんだ。だから、全然スミイカの反応が無かったら、軽くキャストしてしばらく置き竿にでもしておいたらどうだろう。そんな時には、仲間と釣り談義でもしながら、冬の寒さを吹き飛ばそう。それで釣れればラッキーって程度のつもりで、ノンビリ釣りをするのも良いんじゃないかな。

 最後に注意をひとつ。スミイカの墨は、他のイカ以上に付いたら落とすのが大変だよ。抜き上げても良いんだけど、墨だけは浴びないように注意してね。できれば玉網を使ってすくった方が、水面で墨を出してから上げられるから安心かな。掛かりの悪い時用にも必需品だね。

戻る