このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
2000/03/23号 に掲載された記事です

ムギイカをジギングで釣ってみよう
 少しずつ陽気が春に近くなってくる。下がっていた海の水温も、これからは徐々に暖かくなっていく頃だろう。春の魚といえばメバルが有名だけど、他にも春を感じさせてくれるターゲットがいる。それが今回紹介するムギイカだ。

 読者の方は既にご存知だろうけれど、ムギイカって麦の穂が出る頃に釣れるからって付けられた名前らしいね。だから実際にムギイカのピークを迎えるのって、これを皆さんが読んでいる時期よりも、ちょっとだけ後になる。

 ところでムギイカって何だか知ってるよね?スルメイカの小さいのだよ。春先に比較的浅い場所で釣れる小型のスルメイカを、ムギイカって呼んでいるんだ。この時期のムギイカって、麦の穂みたいにすくすく育ってくれるから、名前としてはピッタリだね。

 相模湾辺りだと、ムギイカを狙っている主なポイントの水深はかなり浅い。通常は3040mで、時には20mほどの浅場も狙う。50mより深い場所を狙う事は滅多に無いだろうね。そういった意味では、割と手軽に狙いやすいターゲットって言ってもいいよね。

 一般的にはナマリヅノなどを使った手釣りで狙うんだけど、これをルアーで釣っちゃおうってのが今回のお話しだ。シーズン後半の初夏にはマルイカが底の方で混じるから、そういった面でも楽しめる釣りなんだよね。

 ムギイカの船には乗合と仕立があるけど、どっちでも好きな方を選べばいい。ただ、やっぱりルアーと言うだけで拒絶する船宿もあるみたいだから、事前に電話などで確認しておけば安心だ。潮の状況によって、ミヨシかトモを指定してくれるはずだよ。

 ところでムギイカをルアーで釣る面白さって、皆さんは何だと思いますか。ボクはナマリヅノを使った手釣りもやるんだけど、ルアーだとそれ以上にダイレクトな手応えを感じる事が出来る。手釣りだと仕掛けの上部に中オモリを使うけど、メタルジグを使った釣り方だと、そのアタリや引きは直接伝わってくる。その感触が、ボクの思っているルアーで狙うムギイカの魅力だ。

 大雑把に言うと、タックルはリール竿なら大抵の物は使える。比較的イージーに対応できるのも、この釣りの魅力と言える。バスタックル、トラウトタックル、シイラ用のタックルだって使えちゃう。激しくジグを操る釣り方じゃないから、多少ロッドがジグの重さに負け気味だって気にならない。操作している時は、常にムギイカが掛かっていると思っていればいいんだよね。

 注意したいのは、リールに巻いておくラインの太さだ。ナイロンでも良いんだけど、出来る事なら細くて強いPEラインを使いたい。アタリを取りやすくする意味もあるけど、抵抗を減らす事で他の人とのオマツリを防ぎたい。目安としては、PE10ポンドでいいだろう。

 先端にはフロロカーボンのショックリーダーを1〜2mつなげる。その先に、メタルジグをセット。ムギイカの場合は、狙う水深が浅いって話ししたけど、2860gを準備しておき、通常は40gで始めれば良いだろう。慣れてきたらメタルジグを軽くしてみて、ちゃんと他の人の迷惑にならない程度でボトムを確認できればいい。

 ジグを軽くするのは、あくまでもヒラヒラと見せやすくするため。重すぎるとフォールで一気に沈んじゃうけど、軽ければユラユラとアピールする。これがひとつの手段だ。もうひとつは最初から60gだけで考えて、ボトムからどんどんジャークして追わせてのせるやり方があるんだけど、これは活性が高くないと通用しない。状況を自分で判断して、使うジグのサイズと誘い方を決めてやろう。

 先にちょっとだけ話しちゃったけど、釣り方自体はかなり簡単な部類だ。とにかくボトムまでメタルジグを沈めてやって、着底したらシャクリながら誘い上げてくれば良い。ムギイカは群れで移動しているから、ひとつ釣れればそこそこは続いて釣れると思っていい。

 シャクリ上げてくる水深だけど、目安としてはボトムから10mくらいが最もノリはいい。水面近くまで追ってきて釣れる事もあるけど、およその目安はこれくらいだと覚えておこう。フォールの時より、誘い上げてくる時にノル事が多いから、メリハリを付けて操作する事を意識しておこう。

 以上がストレート系のスイミングタイプのジグを使った、オーソドックスな操作のやり方だ。次に反応が渋い時の話しをしておこう。他のターゲットでも言える事だけど、基本は見せてバイトさせるのを忘れずにね。激しくシェイクさせた直後にストンと沈める。そして沈んで行く途中でスゥイッと誘い上げる。このタイミングで掛かってくることが多いようだ。

 そうそう、イラストで見てもらえば分かるけど、通常のトレブルフックだと極端に掛かりが悪い。だからアオリイカのエサ釣り用カンナに交換しておくといい。もし入手が難しかったら、管理釣り場のトラウト用に売られている、スーパーファイン(超細軸)フックを流用してもいいよ。バーブは無くても良いけど、とにかく細軸による貫通力を重要視して選ぶのがコツだ。

 ムギイカと言えどもスルメイカの子供だ。フッキングしてからのファイトは思った以上に楽しませてくれる。イカ独特の引いたり止まったりというファイトをするんだけど、極力ラインが弛まないように巻き上げてこよう。中途半端にドラグを使う必要は無いから、あまりユルユルにしないように注意してね。

 この時期のムギイカは、親のスルメイカと比べると身が柔らかい。この食べやすさと美味しさが、ムギイカファンを引きつける要因だと思える。ルアーマンも味わおうね!

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