このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
2000/07/13号 に掲載された記事です

河口域でシーバスを狙う!
 渇水という言葉を聞いたことがあるかな。雨が少ない季節は、河川の水量が減って、場合によっては川が干上がってしまう。完全渇水ではないにしても、夏の間は多くの河川で水量がグ〜ンと減ってしまう。水の少ない河川で、とくに夏のリバーシーバスが難しいと言われるのは、そんな部分にも理由がありそうだ。

 しかし水がそこそこにあれば、多くの河川内でシーバスを釣ることは可能だ。この時期に釣れるシーバスは、完全に2種類に分けられる。ゲッソリとやせてしまった居付きの個体と、新たに川に入り込んでくるデップリした大型の群れだ。

 この居付きのシーバスはなかなかやっかいなんだけど、新たに川へ入ってくるシーバスに限っては、捕食を目的にしているケースが多く、群れに当たれば凄いことになる。それこそ並んで釣っている人全員に、端から順番にヒットしちゃう事だってあるんだ。

 ではどんな場所を考えて、どんな釣り方をすれば良いんだろう。これはやはり、単純にストラクチャー周りを狙うというだけでは、何となく物足りない。リバーのストラクチャーには、テトラや橋ゲタ、葦など、様々な物が存在する。いずれ劣らぬシーバスのポイントだ。

 しかし夏の渇水期には、もうひとつ水温というファクターが存在するのだ。ただでさえ水量が減って水温が高くなっているのに、ゆだるような場所でのんきに捕食なんてしないだろう。暑い日中よりは、やっぱりマヅメ時や夜間に集中する。

 ところが夜になったからと言っても、この時期の水温はあっさり下がることはない。そこで見直してもらいたいのが流れ込みだ。それも水温が安定しているほどいい。本流よりも水温が低ければさらにいい。

 例えば流れ込みの上流に、ちょっとした養魚場があったとしよう。ちゃんとしている場所だと、それなりに温度管理もされている。ボクがよく出かける場所にある流れ込みの上流には、夏にしては水の冷たい養魚場がある。流れてくる水は、本流にぶつかる部分でもそれほど水温は高くない。

 シーバスに限らず、河川内でシーバスのエサになっている小魚達も、どうせならそういった場所で過ごしたいはずだ。日中は難しいけど、マヅメ時に岸に寄るならば、こんな場所に行きたくなるのは自然の成り行きと言えるかも。

 当然それを承知しているシーバスだって、他のストラクチャーにエサを求めて移動するよりは、ベイトフィッシュの集まりやすい流れ込みに狙いを定めたくなる。だからこそ、夏のリバーシーバスは、流れ込みがキモになるんだ。

 もちろん流れ込みに他のストラクチャーが複合していれば、よりシーバスの存在が確実になるかも知れない。ただ、あくまでも捕食目的のシーバスを狙うんだから、エサとなるベイトフィッシュの存在は忘れないように覚えておきたい。

 それから1つだけ付け加えておこう。夕マヅメっていうのは、ベイトフィッシュたちも岸寄りに群れで集まりたがる。そんな時にアングラーがその場にいたらどうだろう。外敵になりそうなら、おそらく近寄ってこないだろう。むやみにウェーディングするなどの行為は控えたほうがいいだろう。静かにして、ベイトフィッシュとシーバスが、寄りやすい環境を作ることも、シーバスを釣るために重要な条件なんだ。

 さて、状況が分かってポイントを決め込んだら、いよいよタックルと釣り方の紹介だ。まずはその場所の状況を考えてみよう。浅いシャローが周囲にも広がっているなら、さほどヘビーなタックルでなくてもいいだろう。浅いことにより跳ね回るシーバスに対処できればいい。

 まあ目安としては9ftくらいのシーバスロッドに、中型スピニングリール、ラインは12ポンドくらいかな。ショックリーダーは30ポンドを付けておくと安心だね。場合によってはリーダーをつかめる状態というのが、ランディングでかなり安心できるだろう。

 ルアーは基本的にシャローランナーだけで大丈夫。一般的な流れ込み周りはかなり浅いシャローが多く、そのシャローの上や肩の部分でシーバスが捕食するケースが多い。深く潜るミノーなんか使っちゃったら、それこそシャローの餌食になってしまう。ルアーを何本持っていても足らなくなってしまう。

 活性の高いときだったら、ベイトフィッシュに向かってボイルを繰り返し始める。そんな場面に出会ったら、とにかくルアーをキャストしてみよう。着水音とかあまり気にしなくてもいいから、とにかく普通に素早くキャストしよう。そんな時だったら、着水と同時にガバッと出ることもある。

 派手さはないが捕食していそうなときは、できるだけ静かに近づくように注意したい。着水音もなるべく意識して静かにする。こういった場合には、バイトしてきそうな場所よりも向こう側へキャストして、リトリーブすることでポイントにルアーを通過させる。

 キャストポイントは様々だけど、ボクは2通りのやり方で攻める。ひとつは流れ込みの中で、U字効果を狙った食わせの釣り。これは川幅が狭いから、捕食エリアが特定されるので、精通しているポイントではヒット率が高い。

 もうひとつは、本流との合流部狙いで、水温差による潮目の部分をヨタヨタと流すようにリトリーブする方法だ。これはマヅメの早い時間に使い、流れ込みまでシーバスが到達してないと思われるときに効果を発揮するようだ。その都度の状況によって、探るエリアも異なる。

 フッキングさせて、前の方でも書いたがとにかくよく跳ね回る。浅場では必要以上に暴れる傾向があるから、エラ洗いでばらしてしまうケースが多い。慎重かつ大胆に、ファイトを楽しもう。

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