ムツっ子を夕マヅメに楽しむ |
この時期のマヅメ時は、漁港の岸壁などで小物と戯れる楽しい釣りがある。それが今回紹介する、ムツっ子釣りだ。小さなうちは漁港内に大挙押し寄せるので、釣れ始めると面白いように釣れる。サイズはバラバラだけど、10〜20cmくらい。それでもライトタックルでサイトフィッシングを楽しめるから、1度やるとヤミツキになるアングラーは多い。 元々は、カブラをノベ竿で操る釣り方でやられていて、各漁港には時期になると毎日通っている、年配のアングラーが多かった。そこで同じような釣り方をルアーでできないかと始めたのが、この釣りのキッカケだった。今では小さなワームを使ってノーシンカーで遊んだり、ちょっと大型相手になると、ミノーを使って楽しんでいるアングラーを見かけるようになっている。 この近辺で実績のある場所は、真鶴の福浦港、東伊豆の各漁港、南伊豆の下田犬走堤防や、沼津の内浦周辺の各漁港などが挙げられる。伊豆半島では、小アジの群れに混じって回遊してくるので、小アジ釣りの人の様子を見ていると、釣れている場所を見つけやすい。 水中を見慣れている人は、直接群れを探してみるといい。明るいうちに藻の多い場所を探して、その影に見え隠れする小魚がいれば、大抵はムツっ子だと思っていい。暗くなると藻場から出てきて、小魚やエビなどを捕食している。小さなワームを通してみると反応してくるので、実際にキャストして確認してみるのもいいね。 場所が分かったら、まずは捕食の時間帯を見極める。多くの場所は、夕マヅメの薄暗くなり始めてから、完全に暗くなるまでに最も活性が高まるみたい。何回か通っていればポイントごとの特徴が分かるけど、実績場所だったらほとんどは同じ。とにかくチャレンジしてみよう。 後で詳しく話すけど、面白いのはワームを水中に沈めるより、水面でチョコマカ動かし続けながら誘うのがいい。2〜3cmのボラの群れが水面に波紋を残しながら移動している…、そんなイメージでワームを水面で操作するのがベストだ。 さて、更に条件を絞り込んでみよう。この手の魚は、潮に乗って入り込んでくる。だから、できることなら夕マヅメに満潮が重なる日の方が魚影は濃いように感じる。そして群れが大きいほど、活性が高まり始めた時のチェイスも多くなる。 時には水面に飛び出し、時にはチェイスの瞬間にラインを鋭い歯で切ってしまったり。およそあの小さな体からは想像もつかないほどに、果敢なアタックを繰り返す。それがまた、アングラーにとってたまらなく盛り上がってしまう。 タックルを紹介しておこう。まずはロッド。ボクが楽しむ時は、基本的にマイクロサイズのワームをノーシンカーで使っている。時には小さなカブラを使ってみる事もある。しかしこの欠点は、とにかく軽い、軽すぎるという点だ。いくら足下で釣れるといっても、5mくらいは少なくともキャストしたい。 これを考えると、軽いリグでもそこそこにしなってくれるロッドが欲しい。ここでも管理釣り場のトラウトロッドが便利だ。軽いルアーをキャストするのに適している。小型リールをつけて、ラインは2〜3ポンドで決まりだ。 問題なのは、このライン。ムツの口を見た事のある人は分かるだろうけど、触れただけで血が出てしまうほどに鋭い。これは小さなムツっ子でも同じことだ。小さいからといって甘く見ると、ラインは切られるし手をケガする可能性もある。 細いラインを使うに越した事はないんだけど、もし2ポンドを使うんだったら、先端には4ポンドをリーダーとして10cmでいいから結んでおこう。ちなみにボクは、3ポンドを直結で使っている。常に動かし続ける事によって、バイト時のラインブレイクは防げる。これは慣れだから、初めての人はリーダーを取り付けた方が安心だね。 ラインの先端には、前記の極小ノーシンカーリグを使う。ボクはグラスミノーSSのグローか、それより更に小さいカブラを使う。そこで気になるのが、ワームにセットするフックだ。ここでも貫通力を少なくしたいから、めいっぱい細軸のフックを使う。そこで登場するのは、やはりヤマメ用のエサ釣りのハリだ。これだと刺さりの面では申し分ない。ただ、ムツの鋭い歯で削られてしまうから、刺さりが悪くなってきたら、新品のハリを結び直そう。 ハリには極力ワームが真っ直ぐになるよう、注意してセットする。少しでも曲がっていると、連続トゥイッチした時に、クルクル回転してしまうからだ。そうなるとフッキングは望めない。 タックルは分かったかな。とにかく繊細なほどに釣り味が楽しい。それだけに、こまめなラインや針先のチェックなどが、アナタ自身の釣果を左右するといっても過言ではないのが分かってもらえただろうか。 釣り方は最初にさらっと紹介したけど、とにかく居場所を見つけること。遠くから追ってきてチェイスする魚ではないから、居場所の真上を通過させる事が重要なんだ。そして場所が分かったら、とにかくその向こう側へキャストする。そして水面をチョコチョコと波紋を出しながら引いてくる。これを何度も繰り返してやる。 最初は反応しなくても、繰り返していると浮いてくる可能性が高いから、2〜3回キャストして反応がないからと諦めないでね。ねちっこく続けるのがコツだよ。そのうち水面に飛び出してくるはずだから。チェイスは吸い込むようにワームが見えなくなったり、水面に飛び出して咥えたりと様々だ。時期的にはエンピツサイズのカマスも混じるから、案外色々と楽しめる。 最後になるけど、小さいからって雑に扱わないでね。優しくそっとリリースしてあげましょう。 |