このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
2000/08/10号 に掲載された記事です

キャスティングで狙うオフショアのカツオ
 本誌が皆さんのお目に掛かる頃、今シーズンのカツオはどんな状況なんだろう。例年以上の爆釣になるのか、それとも群れもまばらにガックリしているのか。ここ数年ボクが感じている印象は、確実に濃い魚影が沿岸に来ていると感じる。今シーズンも、秋までじっくりと楽しめる事を期待したい。

 さて、カツオのルアーフィッシングというと、ナブラなどを狙って釣るキャスティングを主体としての釣り方、そして魚探でカツオの群を追いかけながらのバーチカルジギングの2通りがやられている。バーチカルジギングは次の機会に紹介するとして、初期に群れを追いかけながらのキャスティングを、今回は重点的に話してみよう。

 去年あたりの相模湾を見ると、感覚的には初期が移動の速い群れをキャスティングで追いかけて、後半になってくるとイワシの群れとともに深場を移動するケースが多かったように感じる。特にコマセを使ったカッタクリが本格的に出船を始めてからは、キャスティングをしようにもうわずって来ない事が多かった。出船している船の多さを考えると、初期はやっぱりキャスティングで狙うことが多くなりそうだ。

 さて、ジギング以上に気を使いたいのがキャスティングするためのロッド選びだ。ジギングだけだったらショートロッドでも良いんだけど、現実には足の速いカツオを確実にキャッチするためには、ここ一発という飛距離が重要になるケースが多いのは周知の事実。ましてやナブラ狙いの場合、飛距離が届かずにナブラを直撃する人がいたら、現実には群れを沈めてしまう。

 飛距離が届かないとか、ちゃんとキャスティングできない場合、自分が釣れないばかりか、同船者のチャンスをも潰すかもしれないんだ。できることなら、シイラ用のボートロッド並のタックルを準備してほしいものだ。

 ラインに関しても同じ事がいえると思う。たしかにカツオって魚は口が切れやすい。中途半端にフッキングしていると、抜き上げられないほどの事もあり得る。ナイロンラインなら適度な伸びが吸収してくれるけど、PEだったらごまかせない。口切れによるバラシの連続をする人もいる。しかし、ちゃんとフッキングさせているアングラーは、それほど気にせずガンガン抜き上げちゃう。

 カツオの一本釣りだって平気なのに、なんでルアーだと口が切れちゃうんだろう。ボクが単純に気にしているのは、ルアーに付けられているフックのサイズだ。ワンサイズ大きめで、懐が広めのフックに交換してやれば、そんなにばれることはないと思っている。

 とにかくボクがここで言いたかったのは、とにかくカツオをヒットさせないことには、ランディングまでの事を考えても仕方ない。ヒットさせる確率を高めるために、可能な限り遠投しやすい条件を整えておきたいという事だ。

 ただ、ひとつだけ覚えておいてもらいたいのは、通常レベルの活性の群れだった場合、誰かがキャストミスしただけでなく、ばらしただけでも群れが一気に沈んでしまうことは多い。針から逃れて逃げていくカツオに、他の群れが付いていってしまう事がある。掛けたからには、やはりばらさないための努力も怠らないことだ。

 ところでいつも気になっていることをひとつ。それはキャスティングで、ルアーを引いてくる深さだ。ナブラが目の前に出ていると、それが消えないうちに、着水直後から一気にファーストリトリーブしたがる人が多い。ところが何故かヒットしないと嘆いた経験はないかな。

 ナブラをよ〜く見てみると、実は水面のイワシを食べているんじゃなくて、かなり下の方にこぼれている弱ったイワシを食べている。そんな時には、着水と同時にではなく、2〜3m沈めてからのリトリーブが有効になる。焦って水面をスキップさせるような釣り方ではなく、沈めるときはちゃんとカウントダウンする余裕を持ってほしい。

 また、必ずしもファーストリトリーブだけがカツオのテクニックではない。たしかにファーストリトリーブで食わせても良いけど、水面をはねながら移動しているような群れでは、ファーストリトリーブに反応しないことが多い。

 こんな時には、むしろスローな動きに効果がある。例えば着水したらカーブフォールさせ、手前にゆっくりと泳ぐようにする。数m沈ませたら、再び大きくジャークして、そこからまた沈める。ウォブリングに反応するケースが多く、飛距離さえ足りていれば、ミノーでも十分にヒットさせることができる。

 もちろんこのような釣り方をするのなら、それに適した泳ぎを持ったルアーを選ばないとダメ。ストレート系のあまり泳がないジグよりも、圧倒的にスイミングタイプのジグに釣果が集中する。特に横を向いてヒラヒラとフォールするよりも、頭部重心でテールを振りながらミノーのように泳いで沈むジグが抜群の性能を発揮する。

 現在市販されているジグでは、このような動きのものは限られているようだ。しかし、「渋くて口を使わないカツオ」と言われている群れに対しても、この方法だとかなりの確率でヒットを連発できる傾向にあることをお話ししておこう。もちろんこれが全てじゃないけれど、ボク達の仲間は確実に結果を出している。

 飛距離が出て、そして確実にナブラの下を攻めることができる。そしてフォールでスイミング姿勢をとれるジグが、ボクの最近のキャスティングでのカツオを攻略するひとつのパターンになっていることは間違いない。

 なかなか良いシーズンにぶつからないかもしれないけれど、とにかく沖に出ていないとカツオは釣れないよ。船に弱いなんて言ってないで、今シーズンはチャレンジだね!

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