このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
2000/10/19号 に掲載された記事です

タチウオはジギングの入門に最適
 オフショアのジギングと言うと、多くのアングラーは青物を思い浮かべるのではないかな。でも、そんなこと言ったって、本格的なジギングのイメージが強いから、なかなかチャレンジできず今に至っている人も多いんじゃないかと思う。

 一生懸命シャクリ続けるようなジギングはやりたくないけど、そこそこにノンビリ楽しめるジギングってあるよね。もちろんいつでも手軽にって訳にはならないけど、それでも浅場で釣れている時のタチウオなんて、ボクとしてはお薦めしたいターゲットだ。

 釣れない時は辛抱の釣りになるけど、シーズン中の多くの場合は、行けばそれなりに型を見ることのできる強みはある。但し条件があって、昼間の深場(100mくらい)を狙うときはカッタルイ。沼津なんかでやっている夜釣りだったら、狙う水深が極端に浅い。あとは清水港でやっている浅場だね。

 タナが1030mくらいだったら、使うルアーもそんなに重くなくていい。だから本格的なジギングのタックルは必要無いし、ちょっと硬めのバスロッドで十分に通用する。自分の持っているバスタックルで狙うことができるんだ。まあフォールのアタリを取る事を考えたら、ベイトタックルの方が扱いやすいとは思うけどね。

 今回は入門にも最適って事で、このように浅いタナをバスタックルで攻めるジギングのタチウオに絞ってみよう。まだタチウオを釣った事の無い人は、これを読んだらチャレンジしてみようよ。

 さて、簡単にタックルを紹介しちゃうと、67ftのバスロッドか、ちょっとコシの強いトラウトロッドが使える。アクションは胴調子気味の方が、ボクは使いやすいと思う。

 リールに巻くラインは、これはもう間違いなくPEが有利だ。伸びの多いナイロンラインでやったら、それこそアタリを感じる前に切れちゃってる事だってある。鋭い歯でかじられたって、ジグの姿勢すら感じ取れないようじゃあ難しい。積極的に小さなアタリを感じ取り、どんどんアワセてフッキングさせる事を意識しておきたい。

 ここでちょっとだけ話しがそれるけど、ジグが重いほどラインブレークの確率が高くなる事を知っておこう。つまり、ジグが重いとラインに加わっているテンションは高くなるのだ。もうちょっと分かりやすく説明しようか。

 例えば、ピーンと強く張った(重いジグを使っているのと同じ状態)ラインにカッターの刃で触れると、弾けるようにあっけなく切れる。ところがあまり張ってない(軽いジグを使っている状態)ラインにカッターの刃をあてても、簡単には切れないよね。これと同じで、ジグが重いほど、タチウオの刃が触れると切れる可能性が高いんだ。

 それともうひとつ。スレているタチウオを狙う時は、軽いジグでフォールの時間を稼ぎ、水平姿勢などでアピールさせた方が圧倒的に有利なんだ。潮流の影響さえない状況だったら、ボクとしては可能な限り軽めのジグで釣る事をお薦めしたい。最も活性が高くて、素早くジグを沈めたい時だったら、重いジグで一気に沈めちゃった方が有利だけどね。

 と言う事で、話しを元に戻そうかな。こういう理由から、選定するメタルジグも想像がつくよね。詳しくはイラストのタックルを見てもらえば分かると思う。むしろ根気良く釣る事が、タチウオ釣りに重要なんだと思っておこう。

 基本的な釣り方は2通り。浅場だったら、ジグをボトムまで沈めちゃおう。そこから誘い上げてくるか、反応のある一定のタナでリールを巻かずに誘う。また、水深はあるんだけど、タナが浅くなっている夜の場合は、船長の指示ダナより少し多めに沈める。

 面白いのは、活性が上がってくるにつれて、タナを少しずつ上に持ち上げられる事だ。少しでも浅い場所で釣れた方が、トータルの数では多くなるはずだ。逆に一度沈めてしまうと、上に戻ってきてもらうのは大変だ。

 それじゃあアクションなどについても、ここで簡単にパターンを紹介しておこう。場所によっては、単調なリトリーブとフォールの繰り返しで釣れる。でも、オーソドックスなパターンは、スローなジャーク&フォールだ。大きくしゃくって張らず緩めずの状態で沈める。この時のアタリを感じとって、しっかりとフッキングさせてみよう。

 これで反応の無い時は、ハイスピードのショートピッチでジャークしてみよう。但しリールを速く巻きすぎると、ミスバイトしてフッキングがうまくいかない。そんな時には、ショートピッチジャークの激しい誘いの直後に、少しだけストンと落とし込んでやろう。この一瞬の間が、タチウオの捕食を助けることになるんだ。

 ピシピシピシッ、ストンといったパターンで繰り返してみよう。大抵はストンの時に反応があり、そこでアワセてやればフッキングしてくれる。この時に注意したいのが、フォール中のジグの姿勢だ。頭を下げすぎると、下から突き上げるように捕食するタチウオの餌食になる。鋭い歯で、あっさりとラインを切られてしまうんだ。

 これだけ注意してやれば、タチウオの姿を見ることはできるんじゃないかな。とにかく状況がいいよって話しを耳にしたら、事実釣れているかどうかを船宿に確認しよう。2ケタ釣果が出ているようだったら、たぶん初めて挑戦する人だって、タチウオの引きを味わうことができると思うよ。

 それから最後にひと言。ジグを使って釣っていると、ラインを弛ませすぎるとフックが外れてしまいやすい。極力一定のテンションでリールを巻き、首を振られないように注意しながら取り込もう。軽くなっても巻き続けるんだよ。

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