このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
2000/11/02号 に掲載された記事です

ダツのフッキングは難しいぞ〜
 今回はちょっと特殊なターゲットの話をしてみよう。写真を見てもらえば分かるけど、見てのとおりこの魚はダツだ。ひょろっと細長い魚体に似合わず、ヒットしてからの派手なジャンプは、予想をはるかに上回るほどにエキサイティングだ。

 何年か前に大量に回遊があったとき、ボクはかなり専門に狙ってみたんだけど、フッキングの難しさと、さながらミニカジキのようなジャンプに魅了された。今でもダツを見かけるとウキウキしてしまう。

 今年の西伊豆では既にメッキが絶好調だけど、それに混じって多いのが、今回紹介するダツだ。例年ならやる気の無さそうなヤツが、スロープ辺りにポカ〜ンと浮かんでいて、ルアーを見ると追ってくる。

 でも今年はちょっとばかり様子が違う。港内の真中や、堤防から外海へ向かった場所に多く、やけにルアーに対する反応がいいみたい。だからメッキを狙っていると、うるさいくらいにチェイスしてくる。ルアーを追い始めて咥えるまでのタイミングが、メッキよりも断然早い。

 こんな感じで今年の西伊豆のメッキと共に、ダツのフィーバーは各所で始まっている。ちなみに今回ここで掲載している写真は、能登半島を金沢より北上した、増穂浦という美しい砂浜の横にある、外海に面したポイントだ。ダツは様々な場所で楽しむことができるので、チャンスがあったら狙ってみようよ。

 さ〜て、それじゃあタックルの話でもしてみよう。ご存知の通り、ダツの口はとんでもなく硬い。だから中途半端なアワセでは刺さってくれない。だからダツはすぐにバラシてしまうって悩んでる人が多いんだよね。それを解決するには、アワセもそうだけど、それなりにしっかりしたロッドが必要だ。

 ダツだけを専門に狙うなら、ちょっと長めの7ftくらい。多めのストロークで確実にアワセたいから、ショートロッドより楽なんだ。アクションも胴に乗ってくるものよりは、ティップだけが曲がるエクストラファーストのアクションがアワセやすい。つまりティップだけが曲がったら、そのままバットの強さでフックを貫通させるんだ。

 もちろん他のロッドではダメってわけじゃないよ。こんな話を紹介しているボクだって、ペニャペニャで6ftに満たないミノーイングロッドを使っているから。但し、ちょっとばかりアワセ方にコツがいるんだけどね。メッキロッドを流用する人が多いだろうから、ちょっとだけ紹介しておこうかな。

 まずはアワセのタイミング。後方から追ってきてルアーにバイトするダツは、そのままアタリと同時にアワセてもフッキングしづらい。前にも話したけど、ダツの口はとにかく硬い。確実にフッキングさせようと思ったら、硬いロッドが欲しくなるんだ。だけど柔らかいロッドで、どうやってフッキングさせるのか?

 ボクはダツが頭を横に向けるだけの時間を与え、アタリが来てもすぐにアワセない。大抵は咥えた瞬間に首を振るんだ。その横を向いた瞬間を感じとって、自分も後ろへ下がるように大きくアワセを入れる。横を向いた時にアワセれば、口元の側面の柔らかい部分に貫通させやすいからなんだ。

 あとはフッキングさせる時のアワセのスピードも重要だ。一気にロッドをあおってしまうと、針先が口に立ってくれる前に、口から飛び出してしまう。だから最初はスローで動かし始めて、重みを感じた時が針先の立った時と判断する。そこから一気にフッキングのためにロッドを動かすスピードを速くする。

 これがボクの柔らかいロッドを使った時の、ダツをフッキングさせるテクニックだ。もちろん一瞬のうちにこれをやるんだから、タイミングを合わせるのは口で言うほど簡単じゃないと思う。でも完全にフッキングさせない限り、大抵は何度でもアタックしてくる。だからチャンスは何度かあるはずだよ。

 さて、だいたいのフッキングテクニックは分かったかな。話が前後しちゃったけど、ダツを誘うルアーのアクションを話しておこうか。今まで書いてきたフッキングの話の内容で、何となくイメージできた人も多いんじゃないかな。とにかくスローに動かしていたら、アワセのタイミングそのものを感じ取ることが難しいよね。適度に操作して動かしていると、その勢いでタイミングを取りやすい。

 いくつかのパターンでボクは攻めているんだけど、意外とハイスピードで攻略するケースが多い。最も、常にハイスピードだと追いきれないので、速い動きの中にも、食わせの間を与える基本は変わらない。派手に動かしてアピールさせて、興奮させながらルアーにバイトさせてやれば良いんだ。

 例えばファーストリトリーブの最中に激しいジャークを加えたとしよう。そうすると食わせの間というのはジャーク直後にルアーの動きが止まった瞬間だ。小さなトゥイッチだと、思ったほどダツにアピールする事ができない。

 それから連続的なトゥイッチングだけど、これはかなり激しく操作した方がいい。小刻みで小さなトゥイッチングだと、どのタイミングでバイトしてきても、中途半端な状態でフックが刺さりやすい。もちろん貫通の確率はかなり低くなる。アピールしてバイトの回数は多いかもしれないけど、フッキング率が低下するのは否めない。

 どうしてもやるのだったら、ボクは活性の低い時だけに限定して使っているよ。たしかに活性の低い時には、連続トゥイッチは効果を発揮してくれるからね。

 でもトゥイッチというよりは、ジャークさせるほどの大きな動きで攻める。だからミノーよりはトゥイッチャーが有効になるんだ。多くのトゥイッチャーは、レーンチェンジをするからアピールは抜群なんだ。まあ、色々と試してみてね。

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