このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
2000/Summer特別号 に掲載された記事です

ライトタックルで楽しむ春から初夏のターゲット!
 春のルアーフィッシングは、秋の次にターゲットが多くて楽しみやすい。段々と暖かくなっていく春の陽射しの中で、気持ちの上でも上昇気流にのって遊べる季節だ。今回は、この春を楽しむためのお薦めターゲットを、タックルや簡単な釣り方を含めてお話してみよう。

 最初に紹介するのは、何と言ってもムラソイ。春のゴロタ磯は、ムラソイが沖から寄ってくる。急深のゴロタ、遠浅のゴロタ、色々なパターンの磯が、ムラソイの宝庫と変貌するんだ。初期はできるだけ水温の高くなっていそうな場所を探そう。目安は水面に顔を出している大きめの岩だ。熱置換が行われやすいので、水温の高い場所に活性の高いムラソイが集まる。

 磯を歩く時には、滑り止めのためにスパイクブーツなどを着用してほしい。場所によっては、ウェーダーの靴底に、スパイクソールを履くこともできる。最も、ブーツで釣りのできないほど水深のある場所は、安全面でもお薦めできない。むしろ、足首ほどの水深で釣れることが多いから、水には入らないような釣り方を心がけよう。

 タックルは、ブラックバス用のお手軽な物が流用できる。長さは7ftまでが使いやすい。軽くキャストして探る方法でも、足元を探る方法でも、適度な長さのあった方が有利なのだけど、あまり長すぎると疲れてしまう。軽くて長めのロッドという選び方でも良いと思う。

 ラインはナイロンの8ポンド直結で十分だ。狙いはほとんどが足元なのだから、それほど感度を重視する必要はない。あまり高価なラインを使っても、どうせそのうち根ズレで痛んでくる。ラインは消耗品として考えて、そこそこのランクのものをリールに巻いておけば良い。

 次に紹介するのはシーバス。春は稚アユの遡上がいたるところで見られる。この稚アユを追って、特に河口域でのシーバスは捕食が活発になる。これを専門に狙って釣るのも、ルアーアングラーとしては、なかなか面白い。

 ただ、そう言った場所でシーバスを狙うためには、一般的にそれなりに本格的なシーバスタックルの必要となる場所が多い。それだと専用ロッドを準備しなければならない。それでは大変だから、ボクがお薦めしたいのは港湾ねらいだ。

 この号が発売される頃は、港の中ではバチ抜けの名残が見られる場所も多い。そういった場所では、夜になるとバチを求めて浮上してくるシーバスがいる。これを手軽なライトタックルで狙ってみよう。

 この水面でグニョグニョ動き回るバチをベイトにしている時は、それを再現してやると案外簡単に勝負がつく。水面を意識したいから、ソフトルアーをバチのイメージで使ってやれば良い。トップウォーターで引き波を立てるだけの釣り方もあるけど、釣果に結びつきやすいのは、圧倒的に前記のソフトルアーを使った釣り方だ。

 ソフトルアーというと、一般的にジグヘッドなどを使った仕掛けが有名だけど、ここではノーシンカーを使ってみよう。小さなソフトルアーにはフックをセットするだけ。シンカーを使わないのが、この仕掛けの特徴だ。つまり、基本的にはソフトルアーを沈めないで、表層を滑らすように、もしくは排水口などの流れに乗せて自然に動かしてやる。

 バチにライズしているシーバスは捕食が目的なので、このライズリングの間合いを予測して、ライズのタイミングにソフトルアーがそこへ到達するように流してみよう。タイミングがバッチリだと、スッと吸い込まれるようにソフトルアーが咥えられる。水面直下を流れていたとすると、ラインが不自然な動きを見せるのがアタリだ。

 こんな時にアワセは禁物。中途半端にアワセようものなら、そのままシーバスの口からすっぽ抜けてしまうのは目に見えている。こんな時はロッドで引きこみを止める程度で良い。そうすれば、吸い込まれたソフトルアーは口から引き出されるようになる。結果として、閉じた口元にフッキングしてくれるのだ。

 呑まれてしまうと、ラインが細かったら切れてしまう。こういったタックルで細いラインを扱う時には、必ず意識して操作しよう。ムダにフックを呑ませたら、シーバスがかわいそうなんだよね。

 ボクは3〜4ポンドのラインを直結で使うことが多いけど、リーダーに6〜8ポンドくらいを使っても動きに差し支えはない。ラインの質としては、自然な動きをさせたいから柔らかめのナイロンラインを使うことがベストだ。

 フックはマスバリや細軸のトラウト用シングルフックを使う人が多いようだ。時にはヤマメバリを使うこともある。もちろんシーバスのサイズが大きい時は、この限りではないのでお間違えのないように。大きなルアーで口を使ってくれる時は、あえてこんな繊細なタックルで望む必要はない。あくまでも、繊細に攻めないと反応しない時だけの手段として認識してもらいたい。

 他にも春のターゲットはたくさんいる。場所によっては、夜のメバルが本格化する所もあるし、港の入口付近でマゴチが群れで接岸してくる場所もある。河川内に入り込んでくる場所も多い。時にはヒラメが混じって驚かされる事もある。

 夜になれば、産卵を終えた後のカサゴが釣れる場所もある。5月いっぱいくらいは、冬の間にカサゴが釣れていた場所で可能性がある。ここぞと思う場所が頭に浮かんだら、是非とも試しに探ってみて欲しい。

 春のフィールドには、まだまだたくさんの楽しみ方がある。船の釣りまで含めたらキリがないほどだ。今回は陸っぱりからの釣りしか紹介しなかったけど、チャンスがあったら船の釣りもチャレンジしてみて欲しい。エサ釣りで実績のある魚だったら、ルアーを使っても釣れる可能性はたっぷりあるよ。

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