このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
2001/01/25号 に掲載された記事です

ボラってルアーでも釣れるんだ!
 ボラって、ルアーでも釣れるんだよ。シーバスを狙っていると、時々スレ掛かりとかで釣れてくるボラもいるよね。そんな時のみんなの扱いって、「な〜んだ、ボラかぁ〜!」って反応がほとんどだよね。でも、ボラだってちゃんと専門に狙えば面白いし、しっかりルアーにバイトするんだよ。

 そんな話は信じないって人もいまだにいるだろうけど、実際にボラをルアーでターゲットにしている人はいるよ。ボクも大型のボラが群れているのを見たときなんて、ついついルアーをキャストしちゃうね。

 何年か前は、シーバスを外道扱いして、週に何回も箱根の山を越えたものだ。小田原に住むボクの家からだと、沼津の狩野川はボラの宝庫だった。昼間でも夜でも、特定の条件の場所にいるボラは、活発にルアーを追ってくれたんだ。

 今はそのポイントがなくなっちゃったんだけど、伊豆半島にも似たようなシチュエーションのポイントがあって、出かけたついでに何度も楽しませてもらっていた。

 それじゃあ、特定のシチュエーションっていうのを紹介しよう。まず重要なのは、水が動いていることだよ。できることなら河口域がボラは集まりやすい。例えば河口周辺の河川内で、ちょっとした流れ込みがある場所だね。あとはテトラ際なんかで、水の流れが急激に変化して、流れのスジができている場所かな。

 だけどどこでもいいって訳じゃなくて、いつでも流れているよりは、潮が下げ始めてから流れを作る場所の方が、常に安定しているような気がする。

 例えば、普段の満潮時には表面的に変わらないけど、潮が下げてくると、その流れ込みが露出するような場所だね。そういった場所を見ていると、流れが分かるようになってきたら、どこからともなくボラの群れが集まってくるんだ。

 ボラって魚は、流れがあると群れて上流に向かって泳ぎ出す習性があるよね。その状態のボラって言うのは、みんなで水面でパクパクやってるんだけど、そんなの見たことないかな。よく見てみると、上流から流れてくる何かを吸い込んでいるんだけど、ルアーをこれに見たてて使ってやれば、立派にミノーを追って吸い込むように食ってくるんだ。

 以前の狩野川なんかだと、昼間集まってくるのは40cm級が多かったね。だけど夜になると、5060cm級のデカイのが多かった。昼間でも釣れるんだけど、自然と夜の釣りが多くなったのは言うまでもない。オマケに、夜なら周辺の汚れている部分も気にならないしね。

 さて、ボラのフッキングしてからの疾走はとんでもなく強い。シーバスのつもりで狙っていると、とてつもない引きの強さと、最初の突っ走るスピードに驚かされる。トラウトロッドを使うんだったら、かなりバットのしっかりしたものを使わないと、最初の疾走を止められずに泣くことになるかもしれない。

 たかがボラと笑っていると、その強さに驚くことは間違いない。ボラにはまっているアングラーのほとんどは、この強烈なファイトが魅力なんだよね。最初は笑っていた人も、一度やってみるとしばらく通うみたいなんだよね。

 さぁ、それじゃあタックルを紹介しちゃおう。ボクは7ftのトラウトロッドを使っている。湖でブラウントラウトを狙うくらいのロッドでちょうどいいと思う。もったいないかもしれないけど、サクラマス用のロッドも扱いやすいと思う。

 リールに巻いておくラインは、8ポンドを基準に考えよう。リーダーは付けても付けなくてもいいや。それよりも、100mはリールに巻いておこうね。広い川で流芯に入られちゃったら、予想以上に強烈でラインが足らなくなっちゃうかも。

 ルアーは、フローティングミノーが基本だよ。サイズは6cmが標準かな。先に話したように、ミノーを追いながら吸い込むように捕食するから、あまり大きいとフック部分が吸い込まれずにフッキング性能が落ちるからだ。

 それから、浮力を意識したセレクトをしよう。水面に浮かんでいるモノを捕食しているので、できるだけリトリーブで沈みにくい方が釣りやすいからなんだ。スローリトリーブで、水面で引き波を残しながら引いてこれるくらいが望ましい。流れを横切った時に横を向いちゃったり、沈みすぎちゃうのはダメ!

 濁りのある時だけは、このボラ達も水面直下で捕食している。そんな時だけは、フローティングミノーにこだわらないで、サスペンドミノーやスプーン、ジグヘッドリグなんかも使えるね。その時の状況で、もっとも適したリグを使えばいいよ。最もボクだったら、水面に見えない時は狙わないけどね。

 釣り方は簡単。とにかく群れの集まっている流れの向う側にキャストして、ロッドは寝かせ気味でスローリトリーブする。引き波を見ながらリールを巻いて、群れの一番上流部分を横切るように操作しよう。

 ゴツゴツあたるのはスレがほとんどだ。グィ〜ッと重くなる時に、吸い込まれた本物のアタリが多い。その時は、ロッドをグィーッと引くように、大きく強くフッキングするんだけど、ビシッと動かさないことが重要なんだ。すっぽ抜けを防ぐために、吸い込ませたフックを、ボラの口の中に置いてくる感じかな。

 やってみてって話しても、実際に試す人は少ないかもしれないけど、これがやってみると面白くてヤミツキになるんだよなぁ。なかなかフッキングしない難しさと、実際にヒットさせてからのファイト。これを知ったら、ひょっとしてシーバスを釣るのが嫌いになっちゃうかも。

 以前、「引かないシーバスよりもファイトで楽しめるボラ」って表現が、ボクの仲間達が話していた。たしかにその通りで、シーバスのファイトとは比較にならない。騙されたと思って、一度釣ってみない?

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