とうとうエギングの連載を始めることができた。何年も前からエギングをもっとアピールしよう、イカをどんどん宣伝しようって言ってたんだけど、念願かなってこの連載に漕ぎつけた。
しかし問題がひとつある。アオリイカの関東での釣れ方は、真冬はハッキリ言って渋い。本来はアオリイカだけでいこうって思っていたんだけど、最近人気の出始めているスミイカなどを含めた、イカだけなら何でもござれって方針を打ち出したんだ。
と言うわけで、最初のフィールドとして選んだのは、東伊豆の中でもメジャーな網代港だよ。ひと口に網代港って言っても、この港はハッキリ言って広い。これだけキャパのあるエリアだと、いつでもどこでも釣れるって状態じゃないね。
今シーズンの網代港では、9月からそこそこのサイズが混じりながら釣れ始めていた。ちょっとアオリイカを食べたいと思って出掛ければ、2ケタ釣果も珍しくない。ところが今になって急に渋くなり、釣り場で見かけるイカ狙いの人も徐々に減っていた。
この連載が決まった時には、ひと頃のアングラーはいなくなり、ごく一般的なポイントでも、行けば大抵は苦も無く入る事ができた。そんな状態で、堤防や岸壁上での墨跡も少なく、お世辞にもいい状況とは言えなかった。
取材を決行した11月のある日は、空は何となく雲が多く、いつ雨が降り始めてもおかしくない。でも晴れ間が見えたりして、ちょっとは頑張れるかな…って思いながらの釣行だったんだ。
夕マヅメになって、市場前の岸壁や網干し場などを見て回った。明るい時間帯の網干し場は釣り船の出入りもあり、結局は市場の岸壁で落ち着いた。近くでエギをキャストしている人は既に無く、通りすがりの地元の人も、「もう釣れなくなっちゃったよ」って声を掛けていく。
ベイトフィッシュが多く、水面ではバシャバシャ跳ねている。追っているのはカマス。いつもならマイクロミノーをキャストしちゃうんだけど、今回はグッとこらえてエギを投げ続ける。
夜の9時頃まで頑張ってみたんだけど、結局何の反応も無いまま諦めざるを得なかった。この調子で粘っても難しいと判断し、今度は市場の左側の堤防先端へ移動してみた。ここはかなり水深があり、沖に移動を始めているアオリイカも、ひょっとしたら残っているかもしれないとの判断だ。
しかし海からの反応は無く、2kgほどの海藻が根っこから抜けて上がってきた。今回は自分のホームページで販売しているNight Squid 092 というエギング専用ロッドを使ったが、実際のトルクの凄さを感じ取った(こんな物で感心してどうするんだろう?!)。
堤防の先端付近の投げ釣り師に、「毎晩来てるけど、今週に入ってからは、ここで釣った人を見てないよ」と言われる始末。たしかにいつもの「ビビッ」と来るあの感じが全くしてこない。
時間は夜中の11時。半分諦めかけているところに、目の前ではギラギラ光る姿が飛んでいる。今度はタチウオのお目見えだ。何で狙ってない時に出て来るんだぁ〜!
そのうち小雨がぱらつき始めたので、次回に期待をかけようと堤防の付け根に向かって歩き始めた。付け根まで来たところで、何となくいつもの直感がした。雨が徐々に強くなってきたので、最後の1投のつもりだ。ところが、そこでついに運が向いてきた。
ビシッと気持ち良くしゃくったNight Squid 092 が綺麗な弧を描いて、上がってきたのは700gほどのアオリイカだった。抜き上げて強くなった雨を避け、市場の屋根の下で写真撮影。後で気付いたんだけど、雨に慌ててて、自分で持ってる写真撮るのを忘れたんだよなぁ…。
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