アオリイカと並んで、最近はスミイカの人気も急上昇している。カミナリイカやシリヤケイカも有名だけど、やっぱり食味の面ではスミイカに人気が集中するようだ。今シーズンは、房総方面にコウイカの人気が集中しているようなので、あえて南伊豆・下田港に行ってみた。
下田港のスミイカと言うと、昔からコンスタントに釣れていたことで有名だ。元々スミイカは東京湾を始めとする船からの釣りが有名だったけど、ここ下田港では当たり前のように狙われていた。
特に地元アングラーが磯竿にスッテで狙う釣り方が多く見られ、昔から人気のあった釣りと言うことが伺える。今でこそ各地で陸っぱりからのスミイカ狙いは定着しているが、エギングで専門に狙うアングラーが一般的になったのは、関東近辺ではここが最初ではないだろうか。
さて、実は前の週にも夕マヅメに様子を見に来たのだけれど、その日の地元の方の話しを総合すると、先週まではそこそこに釣れていたらしい。しかし山に降った雪の影響なのか、その後は全く釣れたのを見ていないらしい。
ボクもちょっとだけエギをキャストしてみたけど、とにかく寒くて釣りをする気になれなかった。足元のスミ跡を見て回ったけど、古い跡ばかりで最近釣れていたような気配は感じられなかった。
この日は下田港のスミイカを諦めて、ほかの港でのアオリイカ狙いに切り替えることにした。南伊豆、西伊豆、沼津と楽しみながら朝を迎えた。状況としては、決して芳しいとは言えなかった。
次の週末は、前の週とはうってかわった澄みきった青空だ。陽気も暖かく、いかにも釣り日より。潮回りも大潮に突入して、入れ替わった潮で再び接岸しているはずのスミイカに期待をかけた。
現地に到着したのが午後の2時頃で、3時頃までは全く反応なし。岸壁のスミ跡も、新しいものは何もなかった。この調子だと、思ったような結果が出なくて取材が成立しないのでは?という思いが…。
岸壁の正面を諦めて、普段は狙わない脇の部分を気分転換に探ってみることにした。ここは正面よりも意外なほど水深があり、あまり釣っている人はいないけれど、何となくその日は予感がした。
しばらくそこでネチネチと探っていたけど、全く何の反応も伝わってこなかった。諦めかけていたところで、何となく水面下1mくらいの場所で漂うものが視界に入った。最初はゴミかと思っていたのだけど、よく見るとフラフラと前後に泳ぐような動きを見せている。
半信半疑で近くへエギを静かに着水させると、その物体はエギと一緒に潜っていった。その時点ではイカだと判断できたのだが、その種類までは分かりにくかった。昼間浮いているのだから、おそらくアオリイカだろうと思っていた程度だった。
途中でラインが止まるわけでもなく、そのまま何事もなかったようにエギは着底した。念のため軽くシャクリを入れてみるが重みは加わってこなかった。
再び着底させてから、今度はロッドティップを振るわせるように誘ってみた。その直後にロッドをゆっくり立ててみると、「クィッ、クィッ」と、かすかな動きを感じた。ところが、反応はすぐになくなった。
1mほどゆっくり誘い上げて、再び沈めてみた。するとさっきと同じ反応が来た。そのまま繊細に誘いを続けていると、今度は逃げない。少し送り込んでから、ロッドを大きく誘うように立ててみた。
バスロッドは大きく弧を描き、しっかりとエギに乗ってくれた。アタリの一部始終から判断していたが、上がってきたのは正真正銘のスミイカだった。かなり長い時間を費やしたが、見えているイカを狙えるチャンスは意外と少ない。そういった意味で、今回の釣行は気分的にも十分楽しむ事ができた。
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