最初に、前号でのイカ一直線を休載させていただきましたことを、皆様にお詫び致します。実釣報告を楽しみにしている読者の方には申し訳ないのですが、今回は番外編でご勘弁下さい。取材に出られるようになりましたら、その分も頑張っていきたいと思います。
さて、そういう訳で、今回は本誌発売の頃には既に突入しているはずの、春から初夏にかけての大型アオリイカ狙いをテーマに、そのコツみたいなものをお話しちゃおうかな〜なんて思ってま〜す。
秋の数釣りシーズンでいっぱいアオリイカを釣った人も、寒くなるにつれて釣りにくくなったって経験をしたんじゃないかな。ほとんどのアオリカが、関東のフィールドでは真冬は釣りにくい。深場に落ちているようだ。船でのエギング釣果がたくさん聞こえてくることからも、陸っぱりのエリアから減っていることは分かるだろうね。
このアオリイカ達が、春の暖かな陽気と水温につられて、岸近くのネストと呼ばれる産卵床へ集まってくるんだ。そしてこの時期こそが、夜だけでなく、むしろ昼間とも言えるマヅメ時に釣果が集中するときでもあるんだ。
最近は昼間のエギングも流行の兆しを見せているようだけど、関東ではいつの時期でも夜と同じように釣れる訳ではない。一番釣りやすくなるのがこの時期であり、逆にほかの時期は釣りにくいのが実情だ。もちろん例外はあるけど、釣り方を変えても、アオリイカの存在自体がネックとなるからだ。
さて、この時期のエギングで重要なのは、どこがネストになっているかを知ることだ。エサ釣りでの釣れる場所を見ていると分かると思うけど、乗ってくる場所が同じであることが多いはずだ。これは産卵準備行動に入り始めたアオリイカが、ネストから中途半端に離れた場所で捕食するケースが少ないからと思われている。
西湘あたりを例にすると、午後3時頃から釣れ始める。そして夕マヅメに釣果が集中する。ところが暗くなってからは、パタッと釣れなくなる事が多い。昼間ネストの近くにいたアオリイカが、暗くなると同時に港の外などへ捕食行動に出かけているのではないかと想像できる。
朝が近くなると、夜明けと同時くらいに再び釣れ始めて、午前9時頃には釣れなくなるのが西湘での基本パターンだ。ボクの知る限りでは、房総半島なども含めて、エギングではこのパターンが通用している。
すなわち、この時期に釣りやすいのは、ナイトゲームよりもマヅメを含めた明るい時間帯ということになるんだ。結局この時期のエギングで重要なのは、ネストとなる場所と、港などを出入りしていく、アオリカが出入りするルートを知っていることなんだ。
これを裏付ける話は、関東の各地であり、一晩中エギをシャクリ続けたのに、「釣れたのは夕マヅメと朝マヅメの明るい時間帯だけだった」なんて事は多い。しかもネストに関連している個体が多いだけに、釣れるアオリイカはほとんどがキロオーバーのグッドサイズばかり。
前記のように、この時期のネストになっていそうなポイントは、実際に毎回釣れている場所を見ていれば想像がつく。潮通しが良くて、海藻の生い茂っている場所が目安だ。移動のルートは、その海藻が途切れている場所や、船道などで海底がチャンネル状態になっているような所に多いようだ。
海藻の少ない場所では、わずかでも海藻の生えている根がある場所を探してみよう。根掛かりしやすいんだけど、カジメの根に刺さらない限り、うまく外れてくれるはずだ。棒引きよりはシャクリの方が、思ったほど根掛かりしにくいことも付け加えておこう。
いいネストというのは、アオリイカを釣り上げてしまったら、次の日には別のアオリイカが入ってきている。つまり、いつも釣れる場所が同じと言うのは、そこがアオリイカの産卵にとって、いいネストと考えられる。
違った言い方をすると、その日にそこで釣れるアオリイカは、何杯かが釣れると打ち止めになる。そしてまた、次の日に期待をかけることになる。
注意したいのは、産卵目的のアオリイカを狙っているのだから、釣りすぎを頭に入れてもらいたい。やる気のあるアオリイカを狙うだけに、そこで釣りができれば釣れてしまうのだ。
この時期のアオリイカは大きいので、持ち帰って食べるのにも1杯あれば十分だと思う。次の年も、そしてまた次の年も同じように釣りたいのなら、1杯釣ったら終わりにするくらいの余裕があるといいな。
いかがかな。この時期のエギングで、もっとも重要なのはポイント選定ということを分かってもらえたかな。ネストの場所と、出入りする通り道を知っていれば、春から初夏のエギングは、決して難しくない。
余談だけど、これらのポイントになる場所は、船道の中にあることも多い。だからラインの擦れや飛距離を考えると、遠投のできるロングロッドが有利だと思う。これを意識して作ったのが、Night Squid-107という訳なんだ。
そうそう、参考までに、夜中に全く釣れない訳じゃない。もちろんフラフラしているアオリイカが釣れるケースも多い。だけど確率を考えたら、もうちょっとアオリイカの多い場所を狙いたい。では、それはどこなのだろうか?
ボクや仲間達の実績では、そのネストの近くにあるサーフや磯場なんだ。特にサーフは専門に狙っている人が少ないので、思ってもみない場所で釣れることもある。ただ、基本的には港の両脇などのサーフで、岸近くから適度な水深があり、周辺に根があったりすると更にいい。騙されたと思って、お試しあれ!
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