●2001/09 沼津のジンドウイカ●

 最近のフィールドは、今まで以上にイカ釣りアングラーで埋め尽くされている。様々なジャンルの釣りを経験している人たちが集まって、エギングあり、泳がせ釣りありといった混雑を見せている。
 この混雑が半端じゃなく、あちこちで場所取りのトラブルまで起きている始末。できることならトラブルは避けたいから、人の多い場所は遠慮してしまう。ところがそんなことを言っていると、キャストする場所がなくなってしまう。

 正直言って、アオリイカの人気が増えすぎてしまった・・・、そうボクは思い始めている。でもね、ここまでアオリイカだけに執着しなくてもいいのになぁ・・・ってのが、ボクの正直な気持ちだ。エギングで釣れるイカは他にもいる。
 この連載を始めた当初は、イカ一直線と言っても、アオリイカに絞ろうと思っていた。ところが今のこんな状況をみてしまうと、これ以上にアオリイカを盛り上げる必要はないなと感じる。そこで軌道修正ってわけじゃないけど、「こんなにいるぞ、エギングで釣れるイカ!」って方向に持っていきたくなってきた。

 さ〜て、先月は房総半島へ出かけたから、あえて釣れている情報を無視して、人ばかりの沼津へと車を走らせた。久々に天気もよく、風もふいてない静かな夜だった。沖にはムギイカ釣りの船が、たくさんの明かりを灯している
 沼津から大瀬崎までを眺めてみると、どこの堤防もアングラーでいっぱいだ。特に取材の頃に新聞で速報が載りまくっていた足保や西浦周辺は、車も人も入る余地がないほどの混み具合だ。車を再び沼津方面へと向け、重須周辺まで来て、ようやくアングラーが少なくなってきた。

 この重須の湾内は、木負のスカンジナビアから沼津方面へ戻った場所に位置している。途中にあるイケス周りを狙える位置に、誰もいない場所(ようやく1人が入れる程度)を発見した。そう、イケス周辺に居着いているであろう、ジンドウイカ(ケンサキイカ)を狙ってだ。
 沼津の特徴は、岸近くから水深があり、イケスがたくさん並んでいることだ。このイケス周りは、アオリイカはもちろんのこと、ジンドウイカの集まりやすい場所になっているのだ。灯りの下の回遊狙いが有名だけど、こういったイケスには、大きめのジンドウイカが居着いているケースが多い。これは昼間にも言えるのだ。

 ポイントまでの距離は、目測でわずか20mほど。ナイトスクィッド092をセッティングして、ラインはアイルSW12ポンドの直結。エギはナイトスクィッド35を、今回も活躍を期待して結んだ。カラーはあえて、ブランクを選んでみた。オリジナルカラーを皆さんが塗れるようにと、下地の金テープ+模様のみとした、特徴?のあるエギだ。
 近くには常夜灯があり、こちらにもわずかな光が差し込んでいる。ボクの目の前にあるイケス部分は、ちょうど影になっていた。最初のキャストは、この影の境界を狙うべく、着水したらカーブフォールで沈めてみた。時々軽くトゥイッチを加えてみたけど、反応はなかった。

 ジンドウイカは、こういった場所ではいれば一発で反応してくる。イケスから離れた位置にはいないと判断して、2投目はイケスの際へ着水させて、そのままフリーフォールでボトムまで沈めてみた。
 最初は大きくロッドをあおってアピールさせて、ボトムに着底する前を見計らって、ツンッと鋭くシャクリ上げてみた。するとナイトスクィッド092は、突然の重みを感じて曲がったままだ。少し待つと、ロッドがグイッグイッと絞り込まれた。
 予定通りというか、狙い通りに信じたピンポイントで、アオリイカならぬジンドウイカをヒットさせることができた。しかも人気のなさそうな、背中に塗装を施してないエギで釣れたことは、これから先の金テープが持つ可能性を見せている。


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