●2001/12 これからのエギング●

 この号が皆さんのお目にかかる頃には、秋のエギングシーズンも本格的に開幕してるだろう。早い時期からアオリイカの子供がたくさん確認できたから、今シーズンも盛り上がっていると思う。
 ポイントの問題や場所取りに関するトラブルの問題、それぞれの思惑の中で楽しく釣りたい。今回は、全般的なエギングの動向を見つめ直しながら、これからどう変わっていくのかを考えてみたい。

 エギングアングラーは、予想以上に人口を増やしている。ひと頃のブラックバス人気ほどではないにしても、ジワジワと浸透しているような感じを受ける。
 一過性のものではなく、ひとつの文化として日本人に受け入れられ、そして見直され始めている。伝統的な釣り方でありながらも、今になってアングラーが認知しているような感じがする。

 ちょっと前だと、関東では夜のエギングが常識だった。ところが昼間でも釣っている事が宣伝され始め、ジワジワと昼間のエギングもにわかに脚光を浴びている。たしかに見えているアオリイカを、誘いながらエギに乗せる釣り方は面白い。
 さながら夜のエギングはジギングのイメージと重なり、昼間のエギングはトップゲームに近い魅力があると思う。見えない部分での想像の釣りと、見えている部分でのアイデアの釣りだろうか。そんなことを感じているのは、ひょっとしたらボクだけなのだろうか。

 いずれにしても、狙ったターゲットが釣れるのは嬉しいし楽しい。アオリイカだって、決して例外ではない。昼間だろが夜だろうが、釣れないよりは釣れた方がいい。シーバスのルアーフィッシングが盛り上がってきたように、エギングも各地で研究されるようになったのは、これからのエギングシーンにとって、とても意義のあることだと思う。

 ではこれからのエギングに、どんな事を求めていかれるのだろう。最も重要なのは、フィールドキャパシティーの問題。そしてどんどん変化していく、釣り方の展開だろう。
 フィールドの問題は、やっぱり手軽な堤防周りに集中しており、磯やサーフのエギング人口は非常に少ない。今後エギング人口が減っていくとは思えないので、これからは異なるシチュエーションに展開していく事で、フィールドの人口密度を低くしていきたいものだ。

 実績の高いポイントには、当たり前のようにアングラーも集中するだろう。確かにアングラーが多くても釣れるんだけど、狭い場所で嫌な思いをしながら釣るよりは、アングラーの少ない場所で楽しみたい。
 ポイントにまで入りにくい場所、車から離れた場所には、まだまだアングラーは少ない。磯やサーフは、その代表的な場所だろう。特にサーフに関しては、エサ釣り師がウキを並べているのを見たことないし、エギングアングラーの唯一残されたエリアだと思う。

 釣り場の話はこれくらいにして、次は釣り方の話だ。各誌などで様々なアングラーから紹介されている釣りだけに、徐々に多くのテクニックや考え方などが目に付くようになってきた。それだけにフィールドのプレッシャーが高くなってきているのも事実だろう。
 最近の各地を見てみると、夜は昔から狙っているアングラーが多く、昼間は最近始めたアングラーが多く流行に乗っているように見える。昔から夜のエギングにのめり込んでいた人にとっては、夜から昼間への転換は違和感があるのかも。

 でもひと頃よりは、時間帯がずれた事によってか、少しだけ釣り場が空いたような気もする。こうなってくると、あとはそれぞれ個人の好みの問題になってくるだろう。昼間でも夜でもそれなりに釣果が出ると分かれば、あとは自分の動ける時間帯に合わせて、やりやすい方に力を入れれば良い。
 ボク自身も最初は昼間のエギングに抵抗を持っていたけど、思っていたほどに昼間のエサ釣り師とのトラブルが聞こえてこなかった。むしろ夜の方が、ポイントの争奪のトラブルは多かったような気がする。

 夜のエギングは様々なテクニックは紹介され、現時点では昼間のエギングの方が目新しさを感じる人が多いだろう。ただやっぱり、どんな場所でもどこでも釣れる訳ではないようにも思える。追わせて乗せる場所はエリアが拾うようにも受け取れるけど、最初に反応してくれる場所はいつも同じことも多いからだ。
 言い換えれば昼間は簡単に釣れるかもしれないけど、ピンポイントをある程度は知っておかないと、予想に反して「昼間は思ったほど釣れないじゃん!」ってことにもなる。そうならないようにも、重要なのは釣りやすいポイントを見る目を養うことも重要なのだ。周囲が明るくて見えるだけに、ポイントを見やすいけど選びすぎるかも。

 見えるだけに面白くもあり、なおかつ難しくもある。それを有利に利用できるかどうかは、アナタ自身の考え方と観察力だ。人気があるからやってみるのもいいけど、そこで釣るためには人一倍の努力も必要なのだ。
 アオリイカがどこを回遊してくるのか、そしてどこに居着くのか。捕食するときにはその場で一気にくるのか、それとも追いかけてくるのだろうか。状況判断を、多くの経験によって確実なものに近づけていきたいものだ。

 美味しいアオリイカは、正直言って数年前よりは釣りにくくなったと思う。毎日のように繰り返されるキャスト、加え続けられる人的プレッシャー。どれをとっても、今後が良くなるとは思えない。
 そんな状況だとしても、これからも長く楽しみ続けるために、ボク達は何を考え、どう行動したらいいのだろう。今日も、そして明日も・・・、これから末永くエギングを楽しむために・・・。


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