●ハードコア SH-50SP●
回遊レンジが深い時の切り札

 夕マヅメのカマス狙いでは、表層の水面直下が狙いの中心になる。そういった状況で強いのが、ストゥープ50SRのように、水面直下でヒラ打ちのできるモデルだ。ところが魚影が薄くなってくると、夕マヅメにライズを繰り返すカマスの数も減ってくる。港内のいたるところでベイトフィッシュを追い求めているカマスも、無理してその時間帯に捕食することをしなくなってくるのだ。

 そうなってくると、カマスたちは群れを作り出す。夜の漁港で、明かりの下に群れを作って、水面下1mくらいをゆったりと回遊している。夜の明かりの下には、大群で浮上しているイワシたちがいる。カマスにとってはあまりにもたくさんのベイトフィッシュだけど、常に捕食を繰り返しているわけではない。時々、思い出したように、イワシが目立つ動きをしたときに、フラ〜ッと近寄って、後方からついばむように捕食している。言い方を変えると、こんな状態でのカマスは、驚くほどにセレクティブだ。こいつらを攻略するのは、決して容易なことではない。何らかの捕食モードへのスイッチが押されない限り、この状況を打破することはできない。シーズン初期ならば、水面直下のミノーイングでも釣れる。ところがスレきったカマスを狙うなら、別の方法が必要になる。

 そこで登場するのが、ここで紹介しているバス用のシャッド、ハードコア SH-50SP だ。ジグヘッドを使ったワームなどでも釣れるのだが、ルアーをある程度見切っているカマスにとっては、それほど魅力的には見えないようだ。そうかといってリアル系のミノーを沈めて使っても、思ったほどの効果を得られないケースが多い。
 ハードコア SH-50SP は、ちょっと深いレンジを群れで回遊するカマスに、あっさりとルアーをプレゼンテーションすることができる。マイクロルアーでありながら、ロングビルのリップが、シャッド独特をアクションを見せながら、確実に深いレンジをトレースしてくれるのだ。だからこそ、深いレンジを狙うときに、シンキングミノーよりも確実にアクションする、ロングビルシャッドの存在が有効になるのだ。


ロッドアクションはつけない方がい

 さて、3月末の某漁港では、たくさんのアングラーが、入れ替わりカマスを狙って通っていた。たしかにそれまで使っていたストゥープ50SRでは、夜の渋いカマスは釣りにくかった。浮かせて釣るほど、カマス自身の活性が高まってくれないからだ。よりヒット率を高めるためには、できるだけ自然に、カマスに魅力的と思われるルアーをプレゼンテーションすることだ。当然のことながら、回遊しているカマスの群れを見つけて、その群れが通過するのにタイミングを合わせ、キャストしたハードコアをリーリングしてくる。するとスローリーリング+トゥイッチに対し、追ってくるけど途中で戻ってしまう。

 この時に気づいたのは、深く潜らせることが目的のひとつとなっているシャッドにとって、トゥイッチが障害となっていたのだ。つまり、トゥイッチすることで、ルアーは更に深く潜ろうとする動きをするため、カマスの目には違和感があったのだろうと想像している。たしかにカマスに終われているベイトフィッシュを見ていても、追われながら潜っていく個体は見当たらない。必ずといっていいほどに、追われるベイトフィッシュは水面に向かって逃げていくのだ。

 この事実を認識して、次の行動を試してみた。それはルアー自身が持っている、小刻みなバイブレーション風のウォブリングに期待する方法だ。ついついアクションを付けたくなりがちだが、スレている状況下では、必ずしもロッドアクションが有効ではないからだ。少し遠くにキャストして、カマスの近くでスローリーリングに切り替えてみた。明らかにカマスの反応は変わった。試しにアクションを加えてみると、やっぱりスッと戻ってしまう。間違いなく、ノーアクションの、更に深く潜らせない方法が効果ありだ。しかし、まだそれだけでは確実ではない。
 そこで試してみたのが、バイトさせたい直前に、リーリングスピードをスッと速くする方法だ。これがバッチリとツボにはまって、それまでは足元で戻っていったカマスも、更にスピードを上げてルアーを咥えた。このテクニックのコツは、確実に足元までルアーを追わせてくること。遠くでスピードを速くすると、トゥイッチと同じように潜ってしまうからだ。足元でそれをやれば、ルアーはそのまま上へ向かって泳いでくる。この瞬間を、バイトチャンスとして考えるのだ。

 このように、ルアー自体が安定したアクションを持っている場合、魚が何で追うのをやめるのか、どういうタイミングでルアーを咥えるのか。それらを考えながらやってみると、ルアーフィッシングはもっと楽しくなると思う。ルアーにはそれぞれの特徴があり、それを生かすも殺すもアングラーしだい。より効果的な使い方は、実際にその場のシチュエーションから生まれてくるものだ。皆さん自身の使い方を、たくさんのパターンで発見して欲しい。


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