まだ真冬の寒さが残る中、茨城県南端の波崎へ行ってみた。ここは日本地図を見ても分かるように、岬が尖がっていて、かなり沖に突き出している。この先端は、利根川を挟み込む形で茨城の南端が波崎、千葉の北端が銚子なんだ。
さて、寒い季節に少しでも根魚たちの姿を拝みたくて、釣行を決行したのが2月の中旬。ちょっとでも岬の先端に、そして温かい場所に行けば、多少は釣果も良くなるのではないかとのもくろみだった。魚は、それこそ1℃でも水温が高くなれば、それだけ捕食に対する活性も高くなる。それが上手く当たってくれれば爆釣だって夢じゃない。
ところが、数日続いた暖かい陽気も、春一番が吹き荒れた後に、寒い風で体を冷え込ませてくれた。取材当日も、沖から吹き荒れる冷たい強風に悩まされ、ポイント選定にも苦労させられちゃった。
この日波崎周辺の案内をお願いしたのは、関東周辺ならどこにでも出没すると言う、地元茨城県(と言っても茨城は広い)のさかいさん。さかいさんは今日のために、以前から目をつけていた波崎周辺の情報チェックをやってくれていた。当然、よほどのことが無い限り、バッチリたくさんの魚が釣れる予定だった。
でも、その「よほどの事」が起きてしまい、残念ながら密かに狙っていたポイントで、思う存分の釣りを楽しむ事ができなかった。つまり、前記のように冷たい強風に悩まされて、目をつけていたポイントで釣りができなかったんだ。本来なら、クロソイ、メバル、シーバスのオンパレードになるはずだった。
ところが、この日のクライマックスが、意外な場所から始まった。それは、ボクが周辺のスポット撮影に出掛けている時の事だ。辺りは夕闇が近づいてきて、徐々に暗くなってきた。周辺の撮影を終えて波崎新港へ戻ったら、ちょうどTakaちゃんがこっちへ向かって歩いてくる。ニコニコしながら、手には何やら魚をぶら下げている。
「またドンコですよ。いつもこればっかりですよねぇ」
「えっ、またぁ。Takaちゃん、ドンコばかりよく釣るねぇ」
ところが、そのドンコは堤防から釣った割にサイズが良い。そこで思いついたのが、いっその事、みんなでこのままドンコを釣りまくってみようと考えたんだ。世間ではドンコをバカにして相手にしない風潮もあるようだけどね。
ボクもみんながいる場所まで行って、早速釣り始めてみた。しばらくはアタリがあってもなかなかフッキングさせられず、どんどん時間が過ぎて行く。するとボクの所属するクラブ(Club The Gentle Craft)の宮ちゃんから電話が掛かってきた。
「野地さ〜ん、これから釣りに行きたいんだけど、どこか美味しい情報ない〜。たまには一緒に釣り行こうよ〜」
「えっ、今ちょっと遠くに来ちゃってるからなぁ。おっ、ヒットォ〜。ちょっと待って〜。誰かリール巻いてぇ〜」
ボクは携帯電話を片手に、そのままヘチをソフトに探っていた。その動きと、中途半端に誘い上げるようなアワセが、どうやらドンコにはピッタリのようだ。今まではアタリと同時にアワセていたんだけど、どうもフッキングが悪かった。何となく口からそのまますっぽ抜けて出てきてしまうような感じだった。この「ひょうたんからコマ」的なアワセのタイミングが、この後のドンコ爆釣に一役かってくれた。
「えっ、何があったの?何が釣れたの?何、何?」
電話の向こうでは、宮ちゃんもこっちの様子が気になるようだ。
「ドンコだよ。結構大きいよ。宮ちゃんもこっちに来る?波崎にいるんだけど」
「波崎って茨城の波崎…。オレこれからアオリイカでも釣りに行く。頑張っていっぱい釣ってね。…遠すぎるよぉ!」
アワセの極意をTakaちゃんに確認すると、「そうです、そうなんですよ。吸い込むから、乗せるようにアワセるのがコツみたいです」との予想通りの返事が返ってきた。そしてTakaちゃんを中心に、みんなで、ドンコを面白おかしく釣り続けた。
Takaちゃんの彼女も、ラインブレイク(飲まれると歯が鋭いので切れてしまう)を連発しながらも奮闘している。苦労の末に釣り上げたドンコは、25cm以上ありそうなグッドサイズだった。あの時の彼女の笑顔は輝いてましたね。釣りって良いですよねぇ。更に最後には、さかいさんが大きなクロソイを釣って盛り上げてくれた。
ドンコのアタリがピークを過ぎた頃、フィッシング大洗店の仲間たちが到着して、みんなで記念撮影。そのまま釣りをせずに、利根川を渡って千葉県へ移動した。すると、そこで美味しい超穴場を発見したのであった。この続きは、来月号のお楽しみですよ〜!
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