●1999/07 銚子外港のクロソイ●

 さ〜て、前回の予告通り、波崎新港から利根川を渡って千葉県入りした面々のドラマをお伝えしよう。ボクたちは、フィッシング大洗店の仲間たちと共に、利根川を渡って銚子へと移動した。
 風が避けられる場所を一生懸命考えながら、さかいさんの案内で銚子外港のポートタワー前に到着。車のドアを開けると、突風でドアがガバッと開いてしまった。何ともはや、悲しいくらいに苦労させられそうな状況だ。それでも念のため、車を停めた目の前の岸壁に、ジグヘッドリグを沈めてみた。

 ところが、3ポンドラインに1/16OZのジグヘッドでは、風が強まった時にフワッと浮き上がってきてしまう。せっかく沈めてもこんな状況の連続で、とても釣りにならないほど。仕方なく、不本意ながらも1/8OZのジグヘッドに交換した。ボクは、ボトムが取れる限り極力軽めのショットを使うようにしているんだ。少しでも自然に近いフォールができるようにとの配慮だ。
 結果としてボトムは感じ取れるようになったけど、残念ながら魚からの返事は全く返ってこなかった。このまま解散かなぁ?とこぼし始めたが、念のため市場の方へ移動しようということになった。あそこなら風裏で、少しは快適に遊べるかも知れないと考えての行動だ。

 市場前の岸壁へ行くと、なにやらエサ釣り師たちが明かりで海を照らしながら、投げ釣りをしていた。さかいさん達は、情報収集を兼ねてそこへ話しを聞きに行った。その間にボクは目の前の岸壁を探ってみたんだけど、凄い泥底でジグヘッドがズボズボと埋まってしまう。軽いジグヘッドなのに…。
 エサ釣り師たちは、どうやらアナゴを狙っていたようだった。話によると、既にこの日は大型が8本ほど釣れていて、時にはビール瓶級のオバケアナゴも釣れるらしい。
「ここでアナゴのソフトルアーでもやりますか?」
「アナゴでカラーページを飾るのもちょっとなぁ。個人的には嫌いじゃないけど。スプリットショットリグで漂わせると釣れるんだよねぇ」

 そんな会話を交わしながら、念のため河口側の対岸へ歩いて移動を始めた。すると、ここでもボクの携帯電話が鳴った。
「あ〜、雨海です。釣れましたよ、クロソイが!」
「えっ、今どこにいるの?」
 電話の主は、さっきまでそこにいたフィッシング大洗店長の雨海さんだ(お店サボってるの?)。話しを聞いてみると、どうやらボク達が向かおうとしている市場対岸にいるらしい。読みは当たっていたのか?!

 カメラを持って向かうと、雨海さん、kimijiさんの2人が、仲良くクロソイをぶら下げてくる。Kimijiさんのクロソイは、なかなかのサイズだ。だいたいの話しを聞いて、その場所へ移動してみた。
 ここは銚子外港の最も利根川に近い岸壁で、どう考えても川の流れが混じる汽水域と思われる。こんな場所でもクロソイが釣れるって、何となく不思議な事だよね。でも、ひょっとしたら汽水域って、みんなが根魚を真面目に狙わないから、凄い穴場のポイントなのかも知れないという期待感も膨らんでくる。

 早速みんなで釣ってみると、それほど苦労せずにまずはボクがクロソイをキャッチ。その後もみんなでクロソイやドンコを釣り上げて、予想外のクロソイポイントを発見する結果になった。もちろん、案内役のさかいさんも、これだけ河口に近い場所でクロソイが釣れるとは思ってなかったらしい。過去の実績にとらわれない探求心が、こういっケースを多々生み出してくれる。
 夜中の12時頃に、そろそろ帰りましょうとの声が聞こえ始め、みんな満足できた様子だ。最後に河口が見える位置まで行ってボトムを探っていると、小さな反応があった。一瞬それは、何となくドンコと似たようなアタリにも思えた。

 ところが、ドンコマスターTaka直伝の効きアワセでフッキングさせると、突然の首振りダンス。どうやらかなり大型のアイナメのようだ。途中まで浮かせたけど、急激な突っ込みでドラグが効き始め、そのまま岸壁下のエグレになっている部分に潜られ、蠣殻であっけなくラインブレイクしてしまった。

 最後の最後になっても、このフィールドの凄さを知らされたというのが、ボクの正直な感想だ。マリンタワー前は知られたポイントだけど、このポイントで釣ったと言う話しは聞いたことが無い。狙っている人が少ない…と言うか、ほとんどいないからこそ、これだけの反応に恵まれたんだろう。そう言えば、那珂川の河口でも、大きなクロソイがミノーで釣れているなぁ。これからは、視点を変えてみると面白いかもね!


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