●1999/08 金沢周辺のシーバスとムラソイ●

 普段は車で片道4時間程度のエリアを中心に釣っているんだけど、今回はちょっと頑張って倍の距離を走ってきた。北陸の能登半島だ。インターネットでは以前からお世話になっている天狼さんという方のお誘いで、そろそろシーバスが良くなってきたとの情報を受けての釣行をすることになったんだ。実はボク自身、日本海側でシーバスを狙うのは全く初めてのこと。

 待ち合わせ場所のゲームセンターで、今回の釣行の段取りを綿密に打ち合わせして、潮の状況などから天狼さんに割り出してもらったフィールドは、何と目と鼻の先。知る人ぞ知る金沢港だった。よく釣果情報などでは金沢港って名前を目にするけど、広大な港の中で実績のあるポイントは決して多くないらしい。
 彼の知る範囲では、金沢港に流れ込んでいる大野川が、大型はあまり出ないけれども実績から判断すると良いらしい。その場所へ着いてみると、有名ポイントらしくズラ〜っとアングラーが並んでいる。しかもルアーマンではなく、そのほとんどが投げ竿を使った切り身エサのブッ込み釣りってのが意外だった。

 まずは実績ポイントの橋ゲタを攻めてみたけど、残念なことに反応は何も無かった。軽快的釣遊戯と言うことで、ボクの使うタックルは7ft以下のバス&トラウトロッドに限定されている。この広い場所で、ちょっと遠めにある橋ゲタはちょっとばかり辛かった。本来だったら、10ftクラスの本格的なロッドで釣りたい場所だと言えば、そこの雰囲気が分かってもらえるだろうか。
 周りを見渡すと、護岸されて特に変わった地形変化も見受けられないので、この橋ゲタ周辺で粘ってみたものの、結局シーバスの反応らしきものは水の中から帰ってはこなかった。う〜ん、やっぱり初めての場所って難しいなぁ!

 潮の動きがあまり良くないとの事なので、軽く夕食を済ませてから、気分転換にクロソイとメバルの小さいので遊ぶことにした。向かった場所は、羽咋の滝港だ。羽咋はUFOで有名な町として知られている。それから写真にも載っているけど、出雲の白ウサギと同じ伝説が、この羽咋の海にもあることを知って驚かされてしまった。
 滝港では、飽きない程度に小型のクロソイとメバルが姿を見せ、ボクたちを楽しませてくれた。立ち寄った時間が干潮で浅くなっていたためなのか、普段釣れると言う大型はお目に掛かることができなかった。ただ、アイルマグネットの105mmにアタックしてきてスレで掛かってしまったクロソイくんには脱帽だ。

 この日は仮眠して、次の日の早朝にチャンスをかけることにした。残された時間は、この早朝と夕方のマヅメのみだ。元々は夜行日帰りで計画していた釣行だったので、時間的なプレッシャーが遠慮せずに襲いかかってくる。
 天狼さんの話では、早朝が今までは良い実績が出たという。ところが大野川のポイントへ行ってみると、ナント船の出入りが物凄く激しいではないか。キャストしても船が全開で走ってくるから、遠投しての釣りがまともにできない。そんな状況で頑張っては見たものの、船の往来が落ち着いた頃には、日が完全に昇ってしまった。

 う〜ん、残されたチャンスは夕マヅメだけ。日中は再び羽咋の周辺でムラソイ狙いだ。ここでのムラソイの魚影はかなり濃く、ヨロイメバル混じりでそこそこに楽しめる。そして夕方には再び大野川のポイントへ立っていた(実はその前に、気分転換で開き直ってゲームセンターで1時間も遊んでしまった)。
 しばらくキャストを続けたけど、結局掛かってきたのはボラだけ。夕闇が迫ってきて、いよいよ最大のチャンスが終わりに近づいてきた。意を決してポイント移動を決めたんだけど、何とか天狼さんお薦めポイントで姿を見たいと言うのが正直な気持ちだった。ここまで付き合ってくれたのに、何も釣れませんでしたでは申し訳ない。

 そこでフッと目に入ったのが、対岸の橋ゲタの下だ。気がつくと水が下げてきているため、対岸の足ゲタ周りがシャローになっている事に初めて気がついた。「きっと、夕マヅメにシャローへエサを求めて寄ってきているシーバスがいるはずだ!」、そう信じて対岸へと移動した。
 結果が、写真のかわいいセイゴちゃん。最近はなかなかこのサイズは釣ってないけど、大きさに関係無くボクと天狼さんにとっては価値ある1尾だった。
 正直言っちゃえば、もうちょっと大きいサイズに出会いたかった。だけど、これも今回の遠征で出会えた良き思い出になってくれた1尾のシーバスだ。何てったって、ボクにとっては初めての日本海で釣ったシーバスなんだから!


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