沼津へ向かうその夜。。。


 それはボクが沼津のナイトゲームにはまっていた頃のお話しです。いつものように、仲間と2人でカサゴを狙いに箱根峠を車で越えている時の出来事でした。時間はたしか夜の9時を回ったくらいだったと思います。山中城址のS字コーナーを抜けている時に、何気なく右方向へ目をやると、対向車線側の歩道を長い行列が動いて行くのが見えました。その日は照明があるとはいえ、なんとなく薄暗さを感じるような雰囲気でした。
 そんな状況ですから、「こんな遅い時間に何でゾロゾロ歩いているんだろう?」と思ったのです。人数にして10人以上はいたでしょうか。最も、それが人である事がハッキリと目に映っていたわけではありません。当然人であろうという思いこみだったのかも知れません。

 ところが、右のコーナーを抜ける時に再び目をやると、そこにはガードレールをすり抜けるように道路の下へと降りて行く行列が見えたのです?

「あれぇ〜? こんな所に降りる道なんかあったっけぇ?」
「えっ? 誰か居たんですか?」
「今そこに行列がいたじゃん。そのガードレール横を降りていったんだよ」
「私は気が付きませんでしたよ。気のせいじゃないですか?」

 この時は、大して気にもせずに二人の会話は終わったのです。いつものように沼津でカサゴを釣って、毎度のごとくホクホクな気分で箱根を越える帰り道に、再びその場所を通過する時、何となく思い出して行列の降りていったガードレールの辺りを注意して見ていました。

「ねぇ、やっぱり降りるところなんてどこにもないよ。ガードレールを乗り越えてるような感じにも見えなかったし、なんか気味悪いなぁ!」
「そんなのある訳ないですよ。気のせいだったんじゃないですか?」

 何となくスッキリしないまま、この日は家に帰りました。そして1週間が過ぎ、週末に家族で伊豆半島へ遊びに行った時に、その時の事を再び思い出させられる出来事が起こったのです。明るい時間に例の場所を通過したので、今度はハッキリとガードレールの辺りが見えます。その時、信じられないような光景が目に飛び込んできたのです。
 それまでは間違いなく降り口など無かったのに、新しく仮説の降り口が作られているのです。しかも、看板が立ててあって、そこには遺跡?発掘調査の文字が書かれていたのです。その一帯は発掘のために大々的に掘り起こされていました。何が発掘されたのかは聞いてませんが、その時にはかなりの寒気を感じたのを、今でもハッキリと覚えています。

 今になって思えば、これから掘り起こされてしまう土地に眠っていた人?たちが、何かを訴えようとして歩き回っていたのかも知れません。それがいつの時代の人なのか、どんな風貌の人だったのか、今となっては知るよしもありません。しかし、あの時の行列は未だボクの脳裏に焼き付いているのです。


お帰りは こちら ですよぉ〜