何で見えないの?。。。


 久し振りに早起きして、サーフへワカシを釣りに行ったのですが、前日に地元のおじさんたちの話しを聞くと、4時には来てないと場所が無くなるほどの混雑だとのこと。せっかっく早起きして釣りへ行く気になったのだから、中途半端な時間に行って場所が無かったらつまらない。しかし、この時期に朝の4時と言うと、まだまだ辺りは真っ暗だ。4時半くらいになると、徐々に空が白み始めてくる。

 朝の4時に家族と出かけ、予定通りサーフのポイントへ到着した。このサーフに通っている人達は、以前からの知り合いなので、せっかくだから家族みんなで会いに行こうと考えたのだ。
 辺りが真っ暗な中、前日の夕マヅメに調子が良かった場所へ到着。荷物を置いて、タックルを準備して、空が白み始めるのを待った。何気なく後ろにあるテトラを見ると、間に入り込んで足を組み、タバコをふかしている人影に気がついた。時々帽子を被った影が動いて、タバコの火と煙が見える。それまで気がつかなかったけど、どうやら斜め後ろに先客が来ていたようだ。たしかに前日のナブラの立ち具合からすると、この位置が一番安定しているように思える。みんな考える事は同じなんだと、その時は思ったのだった。

「やっぱりもう来てる人がいたんだね。後ろのテトラの影に座ってる人がいるよ」
「えっ? どこにいるの?」
「ほらっ、そこのテトラの間だよ」
「誰もいないじゃん?」
「いるよー、そこそこ。テトラの間に帽子を被って、足組みしてタバコを吸ってる」
「どこ〜? いないよぉ〜?」
「いるの!! 明るくなったら見えるよ。そのうち支度するでしょ。あっ、でも竿とかが見えないなぁ? 釣りの人じゃないのかなぁ?」
「誰もいないけどなぁ・・・?」

 しばらくして空が白み始めた頃、同行者が到着した。周りにも徐々に人影が見え始めて、竿をセットしている。フッと先ほどの後方の人影に目をやると、テトラの間には誰の姿も見えなくなっている。

「ほらー、やっぱり気のせいだよ。誰もいないじゃん」
「そんなはずないよ。でも帰るわけないし、近くに人はいないなぁ」
「あっ、大木が挟まっているけど、あれと見間違えたんでしょう」
「そんなはずないよ。大木が足を組むかぁ? タバコを吸うかぁ? 帽子を被った頭も動いていたし、タバコの火だって見えたんだぞ!」
「だって大木しかないじゃん」
「ひょっとして、見えたのって俺だけ・・・?」

 ちなみに後で娘に聞いてみたら、娘にもそれが見えていたそうです。どんな人が見えた?って聞いたら、私が見たのと同じでした。足を組んで帽子を被り、タバコを吸っていたと同じ事を言っていました。どうやらテトラの間に見えていたものは・・・。


お帰りは こちら ですよぉ〜