おいっ!。。。



 いつものように、とある漁港に向かって車を走らせた。目当ての釣り場には誰もいらず、ちょっとロッドを振ってみたけれど、魚の気配すらない。早々に諦めて、ちょっとばかり南下した漁港へと移動した。ここは堤防の先端に常夜灯があり、とても明るくて釣りやすい場所だ。まずは堤防の途中にある常夜灯下に立ち、港外に向かってキャストしてみた。しかし魚の気配は全くなし。港内は水面に無数の小魚が漂っていた。一面が小魚の群れなので、ちょっと驚き。

 次は目的としていた堤防先端の常夜灯下で、そこに向かって歩いていった。カドには何やらポツンと立っている姿が・・・。やはりというか・・・、いつものアオサギがたたずんでいた。そして近づいていくと、「ギャ〜!」と声を出して飛び立っていった。飛びながらもまるで文句を言いたいかのごとく、「ギャ〜!」と騒いでいる。いつもそこにいるので、自分の場所を荒らされたとでも思っているのだろうか。

 堤防先端のちょっと高くなった部分に立ち、港外に向けてキャストを開始した。しかしテトラ際、足元のヘチ、船道などをくまなく探ってみたが、まったく魚からの反応はなかった。それでもしばらく投げ続けていると・・・。自分の顔の右横後方あたりで、「おいっ!」というハッキリした男の低い声がした。驚いて振り返ってみたが、そこには誰もいない。明らかに人の声に間違いない。

 イヤ〜な気分がしたけれど、とりあえずもう1回キャストした。するといきなりゾクゾクして、寒気と鳥肌が立ってきた。「ヤバイッ!」と感じて、リールを巻きながら堤防からダッシュして車の方へ走り出した。走りながら巻いているから、ラインは引きずりながらだ。手元まで巻き終わって、さらにスピードを上げて車へと戻った。慌てて車に乗り込み堤防先端方向を見るが、まったく何ごともない。堤防先端から離れてきたら、寒気や鳥肌も落ち着いていた。あの低い声の主は誰だったのだろう・・・。


お帰りは こちら ですよぉ〜