お店の中を光が。。。


 それは今から7〜8年ほど前のことです。とあるルアーフィッシングのお店に入りびたっていた頃の話です。当時はクラブの仲間と集まっては、釣りの話をして楽しんでいました。気が向くと近くの港へ釣りに行ったり、そのまま遠出して明け方近くまで釣っていることもありました。お店にいる時は、釣りの話だけではなく、くだらない話にドッと沸きながら、楽しいひと時に喜んでいたものです。

 そんなある夜のことです。いつものように数人でお店に集まり、毎度のごとくくだらない話で盛りあがっていました。その頃は、なぜかみんな怖い話が大好きで、その日も100物語のように、お互いが体験した怖い話をし合っていたのです。夜もふけゆくというのに、みんなは大騒ぎしながら様々な体験を話していたのです。当然、雰囲気を盛り上げるために(節電だったかな?)、部屋の明かりは暗くしてあります。小さな明かりだけを部分的に灯して、お店の中は薄ぼんやりと見える程度です。

 そのお店は2階にあり、小さな路地に面していました。時折下の道路を車が通過していきます。そのたびに、お店の中にはサーッと明かりがさしこんできます。そんな時に、それは起きたのです。

 それまで、車が通ったときの明かりは、部屋の中全体に広くさしこむような照らし方でしたが、その時さしこんだ光は・・・いや、光がさしこんだのではなくて、我々の頭上に入ってきたのです。どうみても外からの光がさしこんでいるのではなく、直径にして10cmほどの光の玉のようなものが、部屋の中をヒュンヒュンと飛び回っているのです。目の前の光が頭上を通り越して後ろへ飛んでいったかと思うと、振り向けばその光は壁に当たって跳ね返ってくるのです。それを繰り返しながら、部屋の中で我々の頭上を自由奔放に飛び回っているのです。

 とてつもない恐怖心に襲われ、我々は叫び声を上げながら、椅子に座ったまま、ただジッとしているだけでした。時間にしたら一瞬の出来事だったのかもしれませんが、我々には凄く長い時間に感じました。

 その明かりがいなくなって、あることに気がつきました。何気なく目をやった壁に掛けられている商品のルアーに目が止まりました。たくさん掛けられているルアー中のひとつだけが、何故か揺れていたのです。部屋の中には風も吹いてないし、当然誰も触っているはずもありません。そのルアーが勝手に揺れているのですから、我々の驚きは極限に達していました。

「もうこんな話やめようぜ!」
「そうだね。変な話してるから、霊が入ってきたのかも」
「今の光は何だったんだろう?」
「そのルアーも揺れてるのが止まらないよ」
「あっ、急に止まった!」

 気がつくと、それまで揺れていたルアーは、突然静止したのです。一体何がどうなって、こんな現象が起きたのでしょう。いまだにこの時の衝撃的な事件は忘れられません。突然入ってきた光といつのまにか揺れていたルアーには、一体どんな因果関係があったのでしょう?

 ちなみに、後ほど勇気を出して揺れていたルアーを手で揺らしてみたのですが、どうやってもひとつだけを揺らすなんて事はできませんでした。隣り合っているルアーのパッケージに触れてしまうので、ひとつを揺らすと周辺のルアーまでもが揺れてしまうのです。これがこの年の一番怖かった体験です。


お帰りは こちら ですよぉ〜