後ろが気になる人へ。。。


 これは小田原にある堤防の話です。このK堤防は昼間はかご釣り、夜は真鯛やイカ釣りでとても賑わう堤防なんです。もともとは僕はこの堤防で、かご釣りをしていました。まぁ昔から年に2,3人は土用波等で人が流される事で有名なんですけど・・・。

 この話を聞いたのは、結構最近で、1年半位前です。いつものように僕は餌木を持ってK堤防の先端に行きました。タックルをセットしているときに、堤防には一人だけ居たので、まずは、挨拶がてら「こんばんはー今日はどうですか?」と話しかけたところ、かなり驚いたようで、「わぁ!ビックリしたー また出たのかと思ったよ」と返事が返ってきました。

「えっなんですか?すみませんビックリさせて」と謝ったところ。
「実は・・・一昨日 出たらしいんだよ。そのゴミかごの所から。

 仲間が餌でイカを狙ってたら後ろで、なんか変な感じがしたんで振り向いたら、着物着た女が迫って来て、何も言わずにピッタリとくっついてきて、身動き出来なくて、とっさに後ずさりしたら海に落っこったんだよ。海に落ちて必死になって堤防を見上げると笑みを浮かべた女が立っていて、その足は見えなかったらしい・・・、だから俺も今帰ろうとしてたところなんだ。」

「えぇっ出るんですか?」と聞くと
「他にもいろいろ聞いてるんだよ、なんせ2人以下になるとやばいみたいなんだ。今日も今まで、5,6人いたんだけど、みんな今日はだめだから帰っちゃったんだ。やるんなら一緒にやろうよ」
と言っていたその人の目は、瞳孔が開いたかのような変な目をしていた。

「いや、そんな話を聞いたら出来ませんよ」と僕もビビって帰ろうとすると、僕の腕をワシづかみしてきて「ちょっと待ってくれよ、俺も帰る!」と言いながらさらにもの凄い力で、僕の腕をつかんだ。そして帰るに帰れない僕は、一緒に仕掛けを片づけた。一緒に車まで戻ってくるとその人は安心したかのように、話し出した。

「さっきはとっさのことで言えなかったけど、君が帰ろうとしたとき、君の後ろのかごから出てきたんだよ! 君が居てくれてよかった。あのままじゃ僕は間違いなく海に落とされていた。実は僕が一人でこの堤防に居たのも、君が来る前堤防から帰る人の車の音がして、後ろを振り向いた時、かごの所に居て帰れなかったんだ。」

忘れようとしていた出来事だったんですけど、書いてしまいました。


お帰りは こちら ですよぉ〜