マラソンしていた人が。。。


 それは伊豆半島へ釣りにいった帰り道のことです。西伊豆から海岸線を走り、そのまま沼津へ抜ける途中に、夜になると全く人気の無い暗い道があります。ダイビングで有名な大瀬崎を過ぎ、しばらく走ると江梨という漁港に出るのですが、それはその区間を走っているときに起きたのです。
 大瀬崎を過ぎると道が急激に狭くなり、道路に街灯も無くなります。しばらくは真っ暗な道のりを、自分の車のライトが照らすわずかな明るさを頼りに走っていくのです。その日も暗い中を、自分の車で照らすライトの明かりを頼りにノンビリと流すように走っていました。

 すると、ちょっと長めの直線で、遠くの方になんとなくライトに浮かび上がる人影が見えました。こんな時間に、真っ暗闇の中で何をしてるんだろうと不思議に思いました。距離が近づくにつれて、一定のリズムで上下に動いているのが見えてきました。よく見ると、どうやらジャージ姿?で走っているようです。おそらくジョギングをしているのでしょう。しかし、そんな真っ暗闇の中でジョギングするなんて、常識で考えても信じられない光景ですよね。

 車はそのままジョギングの人へ近づき、そして脇をすり抜けてその人を抜き去りました。どう考えても、こんな暗闇の中を走るなんていい度胸しているなぁと思い、抜き去った直後にバックミラーで後ろを確認しました。当然の事ながら、そこにはジョギングしているその人の姿が見えています。

 不思議に思いながらもバックミラーから目を離し、そのまま前へ目をやったその時です。突然目の前にタヌキらしき姿の飛び出してくるのが見え、慌てて急ブレーキを踏みました。海側から飛び出したそれは、そのまま山側の斜面へと入り、そして消えていきました。ホッと安心して、再びバックミラーに目をやると・・・。

 なんと、たった今まですぐ後ろをジョギングしていた人の姿が見えないのです。後ろを振り向いて、周囲を見まわしてみたのですが、どこにもジョギングしている人の姿が見えないのです。ちょっと前には20〜30m程度しか離れていなかったので、急に見えなくなるなんて考えられません。それに、この場所には横道や民家も当然ながらありません。ジョギングの人がいなくなる理由など、どこにも見当たらないのです。しばらく(1分ほど)車を止めていたのですが、やはりどこにも姿は見えません。

 何となく怖くなってきて、そのままその場を走り去ったのは言うまでもありません。消えてしまったジョギングの人は一体なんだったのか? そして突然飛び出してきたタヌキとは、何か関係があるのでしょうか?


お帰りは こちら ですよぉ〜