1996.06.10号 前々からやってみたかったムギイカにチャレンジしてみた
先日、某スポーツ新聞の釣り欄でガックリくる記事を見てしまった。それは、早い話がルアーを引っ掛け釣りと勘違いさせるような内容だった。 その舞台となっていたのはシーバスで有名な沼津の狩野川だ。マグナムラパラに遠投と安定したスイムを与えてやるために、フックの軸にヒューズを巻く方法があるのはご存じの方も多いと思う。そこまでは多くのライターの方々が書いているので別に気にならないのだが…。 そして、フッキングを確実にするためにハリ先を研いで鋭くしておくことが大切だと書いてあった。ここまでも当たり前のことなので問題ないだろう。気になったのはこの前に書いてあった一言なんだ。ナンテ書いてあったと思いますか。 『ヒットする場合は背中にかかる事が多い。フックの先が甘いと、ウロコで滑ってハリがかりしない。ルアーは全て砥石で研ぎ、ハリ先を鋭くしておくことが大切だ』 読者の皆さんはどう思いますか。まるで背中に引っ掛ける事を前提の釣り方のような説明だと思いませんか。まるで狩野川でシーバスを狙っているルアーマンは、みんなが引っ掛ける目的でルアーをキャストしていると誤解されそうな気がする。本誌の読者の方にはそんなこと考えている人はいないよね。 何だか今回の本題から大きく外れちゃったけど、確実にフッキング(もちろんルアーにチェイスしてきた魚の口の事だよ)させるためにフックを良く研いだり、軸の細いものやバーブレスに交換するといった考えならいいと思う。 今回紹介するターゲットは確実にフッキングさせるためにフックをフッキングしやすいものに交換して望む。こういった考え方の発展になって欲しいものだ。さあ、それじゃあ紹介するゾ〜ッ。 ムギイカと言えば多くのアングラーが御存じのターゲットだと思う。しかし、ルアーで狙った経験のあるルアーマンはまだほとんど居ないのではないだろうか。しかもこれを専門に狙ったとなると何考えてるんだって言われそうな気がする。 実は以前からイカヅノで釣れるんだからルアーでも釣れるだろうと思っていたところに早川港・亀蔵丸の船長からお誘いをいただいたんだ。最初はエッ?と思っていたけど、ボクも前々からやってみたかったのでチャレンジしてみた。 結果として、この日は周囲の船でもほとんど釣れず、同じ船での手釣り仕掛けにもノッテこなかった。ところがルアーでのノリは何度か感じ取ることができ、たったの一杯だったけど無事に取り込むこともできた。手釣り仕掛けにバリバリとノッテ来るような条件の日に当たれば十分ターゲットとして成立するとの手ごたえを感じられたんだ。 もちろんルアーはひとつしか使わないから手釣りのように5杯も6杯も連なって釣れる事は無いけど、オモリを使わないダイレクトなムギイカのファイト?を楽しむには結構楽しい釣り方だと思ったのはボクだけかな。 さて、タックルは図で紹介してみたけど、特別な細工をしてみたのはメタルジグのフックの部分だ。ムギイカは通常ボクたちが使っているジグのフックそのままだとまずフッキングしてこないと思う。イカにはイカのハリがあるのはみんなも知ってるだろうけど、今回はアオリイカのエサ釣りに使うカンナを選んでみた。 これだとうまい具合にフッキングしてくれるのでなかなか気持ちのいい釣りができると思う。スレ掛かりさせるんじゃあなくて、ノリを確実にフッキングさせるための手法なんだ。先程のシーバスは捕食の気が無くても引っ掛けてしまえという考えだけど、これはノッテきたムギイカを確実にフッキングさせるのだから、釣れたのではなく立派に釣ったという事になると思う。 もうひとつは取り込み時のバラシについてだが、これはダブルラインの考え方でかなり解決できると思う。従来のようにナイロンラインを使ったらラインの伸びでイカのノリが分かりにくくなるだろう。従ってここでもまたPEラインが登場となる。しかしこれが曲者で、伸びの少ないPEラインではこれがバラシの原因となってしまう。 この解決策としてリーダーを長めに取った上でダブルラインも長くすれば、クッション効果が期待できるという訳なんだ。手釣りでもヨリ糸を付ける事から考えても納得できるのではないかな。 最後にイカ釣り初心者の方にひとつだけ注意しておこう。ムギイカは小さいけど釣り上げた時には立派にプシュ〜ッとやってくれるから、このスミや潮吹きの洗礼を受けないようにしようネ。潮吹きなら我慢できるけど、スミを顔に浴びたら大変だゾ!