1996.07.10号
 
ボクはオフショアのサバが大好きなんだ


 夏真っ盛り、そんな言葉が聞こえてくる季節ももうすぐだ。この号が出る頃はまだジットリジメジメのイヤ〜ナ梅雨だろうけど、ボクたちソルトルアーマンにとってそんな事は全然関係ないよネ。だって釣れるんだもん…オサカナさんたちが。
 ボクは昔から雨が降ると喜んでフィールドに出ていた。何故って、サカナたちの警戒心が薄れる事によって爆釣の予感がしてくるからなんだ。雨の中での釣りなんてバカらしくてやってられねぇヨ…な〜んて言ってる読者の方は自ら最高のチャンスを捨てているのかもしれないヨ。
今年の相模湾はみんなも知っての通りシイラくんたちが5月末頃からビシバシ釣れている…日もある。まあ、当然回遊魚だからちょっとした水温の変化や風向きの関係などで釣れなくなってしまう事もしょっちゅうなんだけどネ。

 しかし、この不安定な時期にボクたちを確実に飽きさせることなく楽しませてくれるターゲットが居るんだよネ。普段は釣れてくるとな〜んだサバかぁなんてバカにしている人も多いんだけど、ボクはオフショアのサバが大好きなんだ。正直言って最近はシイラよりも楽しさを感じている。
だって専門にサバのナブラを狙ったって簡単に釣れてくれない時もあるんだヨ。専門に狙った事の無い人にしてみれば外道としてたくさん釣れてくる時の印象の方が強いらしくて、
『サバなんかいくらでも釣れるだろ〜。そんなの狙ってドコが面白れえんだヨ〜』
 こんな意見が聞こえて来そうだけど、これはホントはサバの難しさを知らないだけ。活性の高い時のサバしか知らない人を連れてって、シイラがダメな時にサバを釣らせてみると簡単に釣れないので、
『アシが速いから追いつかないんだ。こんなの狙っててもムダだよ』
暫くするとこんな返事が帰ってくることが良くある。ナブラばかり気にしているからトップばかりに目がいってしまうため、ジグを着水直後にファーストリトリーブしてヒットしないとサバのせいにしている人はいないかな。実はコレってアングラー側の勘違いであることが多いんだ。

 シイラやカツオとのトリヤマの違いってみんなは分かるかな。サバのナブラをジックリ見たことのある人なら知ってると思うけど、トリたちは上空をグルグル飛び回ってから低空飛行に切り替わる。この後四方八方に散らばってアタマを突っ込むことになる。すなわち狭い範囲に集中してベイトフィッシュを捕食するサカナと違って、サバはそのエリアがとっても広いんだ。
 もちろんこれだけ広い範囲でナブラが出ているならどこにキャストしても簡単に釣れそうだけど、こんな時でも釣りにくいのがサバの面白いところなんだ。

 ナンデ簡単にサバをルアーで釣れない人が居るのか…。答えは簡単だ。結局アシの速いサカナということに翻弄されてしまい、一気にキャストして、一気にファーストリトリーブしちゃうからなんだ。
 もう気が付いたかな。今までちゃんと釣っていた人には当たり前の事なんだけど、実はこれがとっても大事なんだヨ。船がトリヤマに近付いた時にはサバたちは既に水面下の捕食に切り替わっていることが多い。結局焦っている人はサバが無視している、もしくは居なくなった水面をジグがスキッピングしそうな程の勢いでトレースしているんだ。
 サバはトリヤマのエリアを見ても分かる通り、縦横無尽に走り回っている。当然自分が乗っている船の下だってトリヤマの去った直後はサバの集団がいるんだ。魚探を入れておくと良く分かるヨ。

 さあ、ここまで読んだアナタはもうサバプロだ。バスプロに優るとも劣らないテクニックの持ち主になったはずだ。但し、冷静になれないとダメだよ。だってキャストしたらジグをちょっとばかりカウントダウンしてやらなきゃいけないんだからネ。興奮している時にはジグを沈めている間にサカナが居なくなっちゃうんじゃないかって不安になる人が多いんだよネ。

 さあ、最後にまとめてみようか。サバらしきトリヤマを見つけたら焦らずにとにかくジグをキャストする。次に忘れてならないのがカウントダウン。これは通常5〜10mを目安にするといいだろう。ベールを返したらロッドをスローで大きくあおり、ジグの存在をアピールする事が大切だ。活性が高ければこの時点でサバは自分からフッキングしているはずだ。
 アタリを感じなければ軽いジャークを加えながらミディアムファーストリトリーブすればOK。2投目からは船の真下に20m沈めてファーストリトリーブするだけでいいヨ。