1996.08.10号
 
今年はライトタックルでシイラに遊ばせてもらうのも・・・


 梅雨明けだよ〜。みんな〜、シイラにもう会えたか〜い。今シーズンは5月の末頃からシイラたちがビシバシとヒットしていたんだよ〜。例年なら7月から始まるシイラのルアー船も、今年は6月から出船している船宿があったんだよ、知ってた?
 どこの船宿も7月に入らないと宣伝を始めないから、そんなに早くからシイラが釣れてたなんて案外知らなかった人が多いんじゃあないかな。情報は常にアンテナを伸ばして新鮮なものを仕入れられるようにしておかないと美味しい思いは出来ないんだヨ。
 毎年最初に相模湾へ入ってくるシイラは大型が多く、記録もののビッグサイズが釣れるのも初期が多いんだ。今年も6月の初旬にはかなりデカイヤツがゴロゴロしてて、メーター級はかなりヒットしたようなんだ。

 実はボクも以前、このシーズン初期に忘れられないシイラをキャッチした貴重な経験を持つ一人なんだ。しかも相模湾では滅多にお目にかかる事が出来ない19・5kgという超ビッグサイズだ。これを16ポンドラインで釣ったんだから凄い事だったんだなぁ、と今になって思う事がある。
 その当時JGFAに入会していなかったのでもちろん公認記録としては何も残ってないけど、ボクとしては信じられない出来事だったんだ。しかも…しかもですヨ、このシイラがボクの初めて釣ったシイラだったんだ。
世の中には信じられないようなウマイ事があるんだよネ。みんなにもチャンスはたくさんあると言う事を分かって貰えたかな。

 さて、ボクの懐かしい昔ばなしは置いといて…。今年のシイラについてちょっと。
 もうシイラを狙って沖に出た人は分かってると思うけど、ボクがこの原稿を書いている頃、相模湾は何だか分からない物凄い濁りで染まってしまっている。梅雨明け前に降った台風5号がもたらした雨以前にも既に濁りが入っていたので、追い討ちをかけた悲しい自然現象なんだネ。
 しかも、そのちょっと前には黒潮の分流と思われる速い潮が入ってきて、濁りで沖に追いやられていたシイラ達は多くがそのまま黒潮に乗って北上しちゃったようなんだ。
 本誌が発売される頃にはこの濁りも無くなっているんじゃないかと思いたいんだけど、この濁りは漁師さんの記憶でも無いくらいのものらしいんだ。早くボク達を楽しませてくれるホントの夏がやって来てくれるといいんだけどネ。

 いずれにしても昔ほどビッグサイズのシイラが多くない事には変わりない。しかも、たくさんのルアーマンたちに毎日攻められて、シイラたちもいささか食傷気味なんだ。当然ビッグサイズを狙うどころか、ちっちゃなシイラ(ボクたちの仲間はちっちゃなシイラをペンペンシイラと呼んでいる)すらヒットさせるのが難しい状況になってきている。
 一般のシイラ乗り合いが出る時期には、とっくに仕立て船やマイボートのアングラーに攻められた後の学習済みシイラを釣っているんだネ。ルアーを知っているシイラは昔のように全開ファーストリトリーブには滅多な事じゃあヒットしてくれない。
 当然ルアーも色々な種類が使われ、ジャークやスローリトリーブでのファーストトゥイッチなどのテクニックを駆使する必要も出て来ている。ついにはソフトルアーでシイラを釣ろうってルアーマンまで出てきているんだから不思議だよネ。

 別に人それぞれの釣り方をとやかく言わないけど、以前ほどトップにこだわりシイラにこだわるルアーマンは多くないような気がしている。夏のオフショアはトップでシイラだけ釣れればいいんだ…な〜んて人は貴重な存在だと思う。
 でも、最近のシイラは確かに釣りにくくなっているのは事実なんだよネ。ボクはスレたシイラはシンキングミノーか小型のペンシルタイプのものを使うことにしている。
 ミノーはデュエルのCSミノーだ。こいつは少し沈んだジグにも反応しないようなスレたシイラをもヒットさせやすいのでお気に入りのルアーなんだ。
もうひとつはペンシルとは言えないかもしれないけど、同じくデュエルのバナナボートだ。名前からも想像できるような形状から、弱ったイワシが水面を逃げ惑うようなアクションを見せてくれる。

 いずれも軽量ルアーなので本格的なボートロッドだと扱いにくい。従ってボクはバスロッドをメインに使っている。1m程度のシイラなら慣れてればアッと言う間にランディング出来るだろう。要するにシイラに主導権を与える前に寄せてしまえばいいんだ。
 大きいシイラもいいけど、今年はライトタックルでシイラに遊ばせてもらうのもいいかもしれないヨ。但し、シイラを弱らせない程度という事を絶対に忘れないでネ!