1996.09.10号 小田原で開催されたイナダのルアーフィッシング大会
今回はちょっと趣向を変えて、先日小田原の早川港で開催された『みなと祭り』の話しをしようと思う。 今回のみなと祭りでは一風変わった催し物が企画されていた。地元の方は参加した人も多いのでご存じでしょうが、なんと関東で初めてイナダのルアーフィッシング大会が開催されたんです。漁業面とルアーに関して詳しい人が聞いたら『なんて大変な事にチャレンジしたんだ』と思うことでしょう。 当然の事ながらこの大会は多くの方々の多大なるご苦労によって実現にこぎつける事が出来たようだ。 実際に陣頭指揮をとっていたのは某ルアー専門誌でも有名な堀氏だ。どっぷりとバスの世界にのめりこんでいる彼は、他地区でも実現に成功した海のルアー専門の管理釣り場が関東でも出来ないだろうかと考えていたらしい。でもなんでバスマンが突然ソルトルアーの世界に飛び込んで来たんだろうネ。 そこに、うまいタイミングで小田原のみなと祭りが開催されるのをチャンスとして、イナダパラダイスという関東で初めての試みがスタートすることになったんだ。 イナダと言うからには立派なイナダサイズでなければならない。しかし、この時期の開催となるとワカシサイズしか自然の海では準備出来ない。当然の成り行きで養殖モノのイナダを入れることになった。 さて、ここで注意しなければならないのは養殖で育ったイナダが突然ルアーを追ってくれるかどうかだ。しかも、網で仕切られた港に放されるのは大会の前日だし…。関係者で海のルアーを良く知る人達は物凄く心配であっただろう。 イナダを放した日の夕方、ボクはたまたま試し釣りをするチャンスに恵まれた。お手伝いさせてもらっているヨーヅリさんがブースを出すので来て欲しいとの依頼だ。もちろんボクは喜んで快諾し、さっそく早川港へと向かった。 結果から先に言ってしまうと、大会前日の夕方と当日の早朝にヒットはしたもののランディングまでには至らなかった。しかし、大会中にルアーへアタックしてくるイナダに参加者のみんなも興奮を隠せない。 だが、残念ながらこの大会中に釣れたイナダは全部で10尾。しかも、あまりの反応の少なさに主催者がオキアミを撒いて活性を上げての結果だったんだ。 関係者もこれほどまでイナダたちが人的プレッシャーの影響を受けるとは思っていなかったと思う。 また、港内を仕切っているためイナダにもかなりのストレスがたまっていたのかもしれない。そのうえ港内の浅い水深が干潮時には3m以下となり、加えて真夏の太陽に照らされたイナダもエサを食べるどころじゃなかったのかもしれない。このあたりは次に開催するときには重要な課題となるだろう。 決して爆釣とは言えなかったけど、参加した多くのルアーマンたちがそれなりに楽しめたパラダイスだったとボクは思っている。だって、イナダが水面でボコボコとボイルしながらルアーを追ってくる姿を見られたし、強烈なイナダとのファイトを楽しめた人もいたんだから…。 ところで、大会中にイナダがヒットしたルアーはボクが確認した中ではほとんどがソフトルアーだった。喰い渋った時のソフトルアーの強さをこんな所でも実感させられるとは思ってもみなかった。試し釣りではちゃんと11cmのミノーでもヒットしたからネ。 でも、嬉しいことにボクの近くにいた子供がヨーヅリのエンペでイナダをキャッチしてくれた。これはとっても価値ある1尾だったとおもう。釣った本人はこんなので釣れるとは思ってなかったからビックリした…って言ってたけど、彼はこの日のイナダパラダイスを絶対に忘れられないだろう。 思うようにルアーへ反応してくれなくて主催者がオキアミをチャミングしたけど、結果としてはイナダのボイルも見れたし良かったと思っている。 まあ、何にせよ来年が待ち遠しいと感じさせてくれたイナダパラダイスだった。堀氏を始めとする関係者の方々、暑い夏の一日を本当にお疲れさまでした。来年はもっと素晴らしい大会になることを期待しています。 ちなみにその後の早川港の美味しい話を教えておこう。大会翌日の朝、仕切ってあった網を取り払ったのだが、当日の夕方エサ釣り氏が撒き続けたコマセの影響か、イナダたちが港からあまり出ていかなかったようだ。 早朝、港の入口で突然イナダのトリヤマが出来たり、港内のコマセ釣りの仕掛けにイナダがヒットしたりと、暫くの間は早川港でのイナダパラダイスが続いていたようだ。 さすがに養殖のイナダってコマセに弱いんだネ。こんなんで生きていけるのかな?