1996.12.25号
 
鋭いシェイクにアオリイカも興奮して活性が高くなる


 今回はいよいよ本番と言うに相応しい様相になってきた西湘のアオリイカを紹介しようと思う。

 今シーズンは水温が高すぎたのが影響していたのか、思ったほどのサイズはたいして釣れていなかった。ところが突然の朗報が飛び込んできたんだ。なんとホットラインの編集長からネ。
 それまでは早川港や江の浦港でノンビリ楽しんでたんだけど、いかんせん小型のリリースサイズが多すぎた。それでも最初のうちは数が出たので気分転換で密かに楽しんでいたんだけど、そんな小さなアオリイカしかほとんど釣れてないような時期から新聞なんかで宣伝してしまう不届き者も出てきていた。
 それを見ている人達は当然の事ながら通うよね。釣れてるって聞いたらやっぱり誰だって食べたいもんね…アオリイカ。
 でもそんな事言ったってエギとたいして変わらない位のちっちゃなサイズまで持ち帰られるようだと悲しくなってしまう。ボクたちも情報はたくさん持っていたんだけど、もう少し大きめのが増えてくるまで…と思って黙ってたんだよ。

 秋口のアオリイカっていうのは大きな群れで集まっているから、その場所さえ見つけてしまえばいくらでも釣れちゃうんだよね。面白がって通いつめたらそれこそ居なくなっちゃうよ。今回アオリイカの情報を流すのが例年より遅くなっていたのはそんな理由からだったんだ。
 最もタコのエギングの記事を見て早川港や江の浦港に通っていた人は知ってたと思うけど…。いっぱい人がいたもんね…。我ながらまずいタイミングで紹介したと反省だよ。タコ釣りのゲストとしてアオリイカが釣れてたからね。

 ところで、今回言いたいのはもうひとつあるんだ。それは最近危険な場所で釣りをする人が急に増えてきたって事だ。特に防波堤の周辺に入れてある消波ブロックは危ない。当然立ち入り禁止になってるはずなんだけど、堤防釣りの延長なんだろうか。少しでも人の入ってないポイントで釣りをやりたいんだろうけど危ないよ。
 今回の取材の途中で早川港の横磯にあるテトラポットの上にたくさんの人がいた。いずれもエギをキャストしているルアーマンたちだったようだ。カラフルなウエアに身をまとい、いかにもといった感じで偉そうにロッドを振っていた。
 最近仲間にはテトラの釣りは危ないからやめろと忠告してるんだけど、実はとっくにテトラのスキマには何人か挟まったまんまに…なんて事が無いことを祈りたいよ。
 でも、なかなか堤防だと人が多すぎて思ったように釣りが出来なくなってきているのも事実だよね。まあ、決して絶対に安全な事なんて無いとは思うけど、少しでも安全で釣りやすい場所があれば徐々に紹介していきたいと思っている。

 そんな訳でポイントとしてはスレにくい磯場のアオリイカを薦めたい。今回紹介したい岩の屏風岩は比較的足場のいい磯なので、初心者でも釣りやすいのではないかな。もちろん月明りの下でナギの夜の話だよ。
 今回も編集部のNさんが最近ひとりでいい思いをしていると情報が入ってきた。多いときは2ケタは確実に釣れそうな勢いだ。もちろんここに見合ったテクニックで誘わないと釣れないけどね。
 なんだか危ないって話しばかりしてるうちにページが終わっちゃいそうなんで、テクニック編に突入しよう。ここでのお勉強はシャクリの方法だよ。他でも通用するはずだから覚えておいてよね。

 一般的に岸からのエギングでは棒引きかシャクリの2通りが知られているよね。ボクもこの日は棒引きでチャレンジしてみたけど、思ったほどの反応は無かった。シャクリも同様に良くない。結局ルアー屋さんが得意としているジグのボトムバンピングのようなやり方がベストだった。
 船のシャクリ釣りではビシッと大きくシャクリをするけど、ここでは小さめのストロークでシャクル事でエギはボトムをバンピングする。この直後のフォール中にアオリイカはエギに抱き付き、次のシャクリで確実にフッキングするみたいだ。
 シャクリは大きすぎず小さすぎずがコツなんだよ。素直にメタルジグを投げてバンピングしてるのと同じようなイメージでいいから簡単だよね。
 いままではノリが悪くなると棒引きで静かに探ってたけど、鋭いシェイクでアオリイカも興奮して活性が高くなるのかもしれないとこの時ばかりは感じた。シイラにしてもメッキにしても、スレた時は消極的にナイーブにならず、常に攻めの姿勢が大切なんだね!